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[ エッセイのようなモノ ]
失われた能力を求めて

1999.06.30

 同じ超能力でも、手を使わずに物を動かすとか、一瞬で別の場所に移動してしまう能力とかは、ちょっと難しい気がする。  
 あ、先週の話題と続いてます。  
 仮に超能力が存在するとしたら、たとえば他の人には聞くことのできない音を聞くことができるとか、見ることのできないものを見るとか、そういったものの方が、可能性が高いのではないかと、わたしは思う。とはいっても、宇宙人からの声が聞こえるとか、見えない虫が体中を這い回っている、とかいうのは困るのだが。  
 ある種の動物や昆虫は、人間には見ることのできない光線を見ることができたり、人間には聞くことができな音を聞くことができるという。紫外線や赤外線を認識できる昆虫もいるし、コウモリやイルカなどは、自分で超音波のようなものを発して、その反射を受信することで、まわりの状況を判断するという。  
 もともと音も光も、人間に見えるものがすべてではない。実際には存在しているにもかかわらず、人間には認識できないだけなのだから、目や耳の機能が通常よりも高かったりすれば、場合によっては人間にもそれらの色や音を識別することができるかもしれないわけだ。それを超能力と呼ぶかどうかは、別にして。一般的にそういう能力は、医学的には目や耳の機能異常、というような扱いをされてしまうことが多いようである。  
 この手の光や音は、機械でも検知することができる。  
 同じように、機械では検知することができるのに、人間の五感では検知できないもので、なおかつ人間自身が発しているものがある。  
 脳波というやつだ。  
 この脳波というやつを検知できる動物や昆虫がいるのかどうか、あいにくわたしはよく知らないが、いてもおかしくないような気はしないでもない。動物や昆虫は、人間のように言葉を持っていないくせに、かなりきちんと意志の疎通ができているように見える。ということは、もしかしたら、お互いの考えていることを、脳波を介して理解しているのではないだろうか。  
 脳波を調べると、リラックスしているとか、緊張しているとかいうことがわかるのだそうである。脳波からは、その程度のことしかわからないのだろうか。本物の脳波計というのを見たことはないが、テレビなどで見るかぎり、脳波もかなり細かい波になっている。だが、実際にそれを分析する際には、あまり細かい部分は見ないで、大きな振幅だけに着目しているようだ。これって、たとえば音で言えば、大きい音とか小さい音、高い音や低い音、という分類しかしていないことになるのではないだろうか。つまり、分析する側の理解力が足りないわけだ。  
 脳波の細かい振幅がきちんと理解できれば、細かい感情はもとより、考えていることもわかってしまったりするのではないかと思うのだが、いかがなもんだろう。  
 だがここで、大きな問題が生じる。どうやって脳波を検知すればいいのか、ということだ。もちろん、機械に頼ればいいわけだが、今は超能力のはなしをしているのだから、機械に頼っていては意味がない。  
 そこでわたしは、ひとつの仮説をたててみた。  
 音を聞くためには耳が必要なように、光を検知するためには目が必要なように、脳波を検知するためにも、何か専用の器官が必要になるのではないだろうか。  
 動物や昆虫にあって、人間にはない器官。そう。尻尾か触角だ。それさえあれば、人間にも脳波を受信し、理解することができるに違いないのである。  
 誰か確かめてくれないだろうか?  
 無理だろうな。  



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