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[ エッセイのようなモノ ]
取り扱い注意

1999.10.06

 なんでも、東海村とかいうところが、大変なことになっているらしい。何がどう大変なことになっているのかは、新聞やテレビのニュースを見るなり、お父さんお母さんに聞いてもらうなりするとして、とにかく、大変なことになっているのである。  
 ただし、だからといって、ここで「原発がどうの」とか「核の管理がどうの」とかいった話題を出すつもりはない。読者がそんなことを期待してここを読みに来ているとは思えないし、だいたい、わたし自身まじめなはなしは苦手だ。したがって、その手の話題をまじめに語り合いたい人は、間違ってもここには来ないと判断して、はなし先にを進めさせていただく。もし間違ってここに来てしまったのならば、これから先は読まないことをおすすめする。ろくなことが書いてないことだけは保証する。  
 最初にニュースを見たときに、「科学技術庁長官」という人が出てきた。これを見た瞬間に、「南部博士か?」と思ったり「ギャザー・ゴッドフェニックス、発進!」と考えた人は、わたしと同年代である。「科学忍者隊ガッチャマン」を知らない世代の人は、まわりにいる三十代後半ぐらいの人に聞くといい。聞いたからといって、何の得にもならないことはたしかだ。  
 新聞やテレビのニュースによれば、この事件が起きた原因は、ほぼ人災ということになるようである。規則にのっとった手順を踏まず、本来やるべき安全対策をしていなかったのである。まあ、マスコミの矛先は、ほとんどそこに向いている。  
 ところが、よく考えてみると、これってよくあるはなしなのである。  
 たとえば、自動車の免許証を持っている人ならば、たぶん教習所へ行った経験があると思うのだが、あのときに教わったことを、いまだにきちんと守っている人が、いったい何人いるか、ということだ。交通法規のことをいっているのではない。もちろん、それすら忘れてしまっている人は大勢いるようだが、それ以前に、乗車前には、車の前と後ろそれに車の下を、指差し確認して安全を確かめてから車に乗るように、と教わったはずである。それだけではない、ボンネットを開け、キャブレターだのファンベルトだのをチェックする、なんてぇことも、「やれ」といわれた記憶がある。だが、実際にはやっていないはずだ。  
 タクシーの運転手さんあたりならいざしらず、日常車をあたりまえのように運転する営業職の人だって、あまりやっていないに違いない。ましてや、職業ではなく車を運転している人で、毎回毎回それをやっている人というのに、わたしはお目にかかったことがない。  
 だからといって、車に乗っている間ずっと危険を感じているか、というと、そんなことはないだろう。というよりも、特に危険を感じないから、「まあ大丈夫」と考えて、手順を省略してしまうわけだ。これ以外にも、日常の生活の中で、その手の「まあ大丈夫だろう」ノリで簡略化されていることは山ほどあるはずだ。東海村で起きた事件も、これに近い。かなり極端なはなしなのだが。  
 だからといって、今回の事件を「まあしかたないよね」といってしまうつもりはないのだが、だからどうしろという意見も、残念ながらわたしは持っていない。  
 ひとつだけ言えることは、以前から思っていることなのだが、こういう事態が起きる前でも、起きてからでも「安全です」といっているお偉いさんが、現場で危険を冒して作業をしている、というはなしを、一度も聞いたことがない、ということである。  
 それに、体験ツアーというのも存在しない。安全なんだったら、作業を体験させてもいいのではないか、と思うのだが・・・・  
 まあ、わたしは参加したくないが。  



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