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[ エッセイのようなモノ ]
正しい辞書の使い方

1999.10.20

 前回、「電子レンジで犬をチンしちゃった人のはなし」を書いたところ、「これって、都市伝説ですね」というメールをいただいた。しまった、そうだったのか、とは思ったが、とりあえず訂正文なんぞは書かない。なんせ、ホントに都市伝説なのか、ホントにホントのことなのか、まだ確証を得ていないので、ことがはっきりするまでは、先送りすることにしたのである。ってことはつまり、一生訂正文は書かない、って意味ですが(笑)  
 まあ、暇があったら色々調べて、嘘かホントか、白黒はっきりさせてやろうじゃねぇかこの野郎!(笑) ってメールくれた人に喧嘩売ってるわけじゃありませんので、念のため。それどころか、ネタがない今日このごろ。「都市伝説」ってぇネタをいただいちゃったので、感謝してるぐらいですから。  
 さて「都市伝説」ってなに? という前にまず、「伝説」ってなに? である。  
 広辞苑によると、「うわさ。風説。神話・口碑などの「かたりごと」を中核にもつ、古くから伝え来った口承文学」とある。なんか、わかりにくい(笑)  
 辞書ってのは、どうしてこうわかりにくく書くんだろう。「風説」ってなに? 「口碑」ってなに? 「かたりごと」ってなに? である。そこで、順に調べることになる。  
 同じ広辞苑によれば、「風説」とは「世間のうわさ。とりざた。風評」なのだそうだが、ここでまた謎がみっつも出てくる。「とりざた」と「風評」がなんなのか、というのでまずふたつあるわけだが、「風説」が「世間のうわさ」という意味だとすると、「伝説」の説明として「うわさ。風説=世間のうわさ」となるわけで、つまり「うわさ」がふたつ重なってしまうことになるわけだ。これって変じゃないか?  
 とは思いつつも、残りの「とりざた」と「風評」に手を染める。「とりざた」に関してはいくつかあるが、まあこれだろうという意味がまた「世情の評判。世間のうわさ」ときて、みっつめの「うわさ」の登場だし、「風評」だって「世間の評判。うわさ」と来たうえに「とりざた」なんて書いてあって、わけがわからない。  
 ここまでをまとめると、伝説とは、「うわさ。世間のうわさ。世情の評判。世間のうわさ。世間の評判。うわさ。世情の評判。世間のうわさ」のことである、ということになる。通常、こんな文章を書いていたら、小学校の国語の授業で叱られることはまちがいない。  
 だが、こうなって来るとヤケである。  
 「口碑」とは、「昔からの言い伝え。伝説」って、戻ってくるし(笑)、「かたりごと」にいたっては「かたりをすること。詐欺。作りごと。うそ」とまでいわれてしまって、結局早いはなしが、伝説ってのは「うそ」のことらしい、と間をはしょって決め付けたくもなってくる。  
 なんとか深呼吸をして気持ちを落ち着けて、ここまでにわかったことをきちんとまとめてみよう。  
 「風説」を展開するところまではやった。残りの「口碑」と「かたりごと」を展開する。すると、こうなる。  
 伝説とは、「うわさ。世間のうわさ。世情の評判。世間のうわさ。世間の評判。うわさ。世情の評判。世間のうわさ。神話・昔からの言い伝え。伝説などの「詐欺。作りごと。うそ」を中核にもつ、古くから伝え来った口承文学」なのである。  
 伝説の説明の中に「伝説」という言葉が出てきてしまって、もうなにがなんだかわからない。これはひょっとして、「伝説とは、なにがなんだかわからないものである」ということを匂わせているのだろうか。だとしたら、それはそれですごいのだが。  
 そういえば「都市伝説」のはなしはどこへ行ったんだろう?(笑)  



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