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[ エッセイのようなモノ ]
2000年問題未対応

1999.11.17

 2000年問題のことを「Y2K」と書いたりするらしい。何の略なんだか、わたしはよく知らないが。  
 プログラマの間でも、よく同じような略し方をするのだが、その場合の「2」は数字の「2」としてではなく、英語の「TO」として使用する。つまり「Y2K」だったら、「Y TO K」ということになって「YをKに変換する」ようなロジックの名前として使用するわけだ。だが、そうだとしてもこの場合の「Y」と「K」が何なのか、まだよくわからない。  
 あまりポピュラーな使い方ではないが、「2」をそのまま「に」と読んで使用するとどうなるか、というと「YにK」ということになる。この場合「Y」を「山」の、「K」を「川」の頭文字と考えると、「山に川」ということで、そうなればもう、日本人にはお馴染みの合い言葉、ということになる。時期的には、ちょいと早いが。  
 ということで、今後「Y2K」と表記してあった場合には、赤穂浪士のこととさせていただく。  
 それはそれとして。前回にも書いたが、事情がよく飲み込めていない人は、何がどうなっているのかわからなくて、かなり困るらしい。自分の家の冷蔵庫や掃除機は大丈夫なんだろうか、と心配して、メーカーに問い合わせをした人がいるとかいないとか。このあたりはまあ、都市伝説に近いような気もするが。  
 ただ、同じ「何が起きるかわからない」にしても、ノストラダムスの予言よりは、こちらの方がかなりましになる。なにしろ2000年問題の場合には、「少なくともこいつは絶対大丈夫」というものがはっきりしているからだ。「はっきりしている」とはいっても、それはもちろん「わかっている人には」という但し書きついてしまうわけで、わかっていない人にとっては、相変わらず「これは大丈夫なんだろうか」という不安がつきまとうことに変わりはない。そういう場合はやはり、わかっている者が、わかっていない者を安心させてあげる必要があるだろう。  
 そこでだ。  
 まず「2000年問題無関係」シールというのを用意する。そして、事情がわかっている者は、明らかに大丈夫という品物に、そのシールを貼っていって、わかっていない者の不安を解消してあげればいいのだ。  
 まあ、「対応済」シールなんて物の場合、貼るのはなかなか難しいものがあるかもしれないが、「無関係」シールの方はジャンジャン貼れる。机とか椅子とか、本やノート。鉛筆や消しゴムなんぞも、絶対大丈夫。これでみんな、かなり安心して生活することができるようになる。間違いない。  
 ただし、間違っても電化製品に貼ってはいけない。大丈夫だとは思っても、どこでどう2000年問題にからんでいるかは、素人が判断してはまずい場合もあるからだ。ことによっては、掃除機が子供を吸い込んじゃったりすることがあるかもしれない。普通に考えれば、あるはずないんだけどね。  
 そして最後に一枚だけ「2000年問題未対応」シールというのを作っておく。これは、年が明けてから威力を発揮する。  
 来年一月には、この「未対応」シールを自分のおでこに貼っておくのである。そうすれば、何かミスをした場合でも、とりあえずは「2000年問題に、まだ対応してないもんで」という言い訳がきく。いわれた方も「未対応じゃぁ、しかたがないな」ということになる。文句の持って行きようがない。せいぜい「早く対応しておけよ」というが精一杯で、すべては丸く収まってしまうのである。絶対に(笑)  
 この手はおそらく、一月いっぱいは使えるはずである。千年に一度の間抜けなギャグ。誰か試していただきたい。わたしは遠慮しておくが。  



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