1999.12.29
今年もそろそろ終わろうとしている今日このごろ、皆さんいかがおすごしでしょうか? 世の中の人は、どういうわけか年末になると忙しくなるようなのだが、そのあたりの事情が、わたしにはいまいち理解できない。
たとえば出版業界なんぞの場合は、年末特大号だの新年特大号だのを出さなければならないのに(って、別に出さなくたっていいのだろうが)、年末年始は印刷所は休み、流通もストップという状況になるから、実際には年末になるよりも前に「年末進行」なる状態になるのだそうで。それにつきあわされる作家やライターの人たちは、いい迷惑なのだとか。よく知らないが。それにしたって、出版業界の場合、忙しいのは年末ではなく、それよりも少し前になるはずである。
他の業界のことはよくわからないが、たとえばわたしが属しているらしいソフトウェア業界では、本来年末だからって忙しくなることは、そうあるもんじゃない。業務の流れ上、年末が何かの区切りになることは、あまりない。せいぜい、「年内に仕上げよう」とかいう奴がいるぐらいだが、それにしたって深い意味があっていっているわけではなかったりする。単に世間の流れにあわせて、「年末年始は区切り」と思い込んでいるにすぎない。通常は年度末に佳境を迎える。たぶん、ほとんどの業界がそうなんじゃないかと思うが、どうなんだろう。
そうやって考えると、年末だからといって忙しくなる理由というのが、どこにあるのかよくわからない。
休みが続くから、などというのは理由にならない。今時、年末年始なんぞよりも、ゴールデンウィークの方が、よっぽど連休が長かったりする。昔は、三が日にはほとんどの店が休みだったが、今ではデパートは開いているし、銀行だってとりあえずカードで現金の引き出しが可能なのである。コンビニエンスストアにいたっては、年末年始に関係なく24時間営業している。こう考えると、年末年始が忙しくなる理由というのが、ないような気がするのだが、いかがなもんだろう?
もういいかげん、年末だ年始だというのを何かの区切りにするのは、やめた方がいいのではないだろうか。いや。区切りにするのはかまわないのだが、年末だからといって忙しいふりをするのは、やめるべきだろう。世の中の人全員が、本当に年末だからといって忙しいのだろうか?
たしかに「師走」などといって、年末はセンセーも走るほど忙しい、ということになっているようだが、その前提として、センセーはそれ以外の時には走らない、ということのはずなのだが、今時そんなことは関係ないような気がする。まあ、この場合の「師」というのは、現代の「先生」というのとは違うのだろうが、なんにしたって、暮れが忙しいということの理由にはならない。
まあ、まわりを見ている限り、なにか理由があって忙しいのではなく、まわりが忙しそうにしているから、自分も一緒になって忙しくしていないと気が済まない、という感じの人の方が、多いのではないか、という気がする。あるいは、「年末は忙しいものなのだ」と思い込んでいて、それを律義に実行しているか。
べつに、新年明けたからって、何かが大きく変わるわけじゃなし、今年のことは今年のうちに、なんて思ったって、結局来年に持ち越しちゃったりすることの方が多かったりするんだし。何も焦ることはないじゃないか。
なんて考えていると、わたしのようにろくでもない人間になっちゃったりするようだから、やっぱり年末は年末として、ひとつの区切りをきちんとつけた方がいいんだろうな。
ってことで、今年一年いろいろお世話になりました。って、本気でそう思ってるわけじゃないんですけどね。(笑)
良い年をお迎えください。
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