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2000.01.12
冬といえば炬燵でミカン。異議は認めない。と言おうと思ったが、よく考えてみたら、最近は炬燵のない家も多いようなので、さすがに無理があるようだ。うちにも炬燵はない。
ってことでやり直し。
冬といえば雪である。雪の降らなかった年は、冬が来なかったといっても、言いすぎではない。いや、いくらなんでも、それは言いすぎか。地方によっては冬になっても雪が降らないところもあるだろうし。
以前、沖縄出身の人に聞いたのだが、彼は子供のころに本物の雪というのを見たことがなかったのだそうである。小学校のころに一度、雪国からトラックか何かで雪を運んできてくれたもので、遊んだことがあるのだそうだが、それはあとから考えると、雪というよりもかき氷に近かった、といっていた。しかも真っ白じゃなかったらしい。大人になってから、スキーなんぞをやるようになって、はじめてスキー場で見た雪には、涙が出るほど感動してしまった、といっていた。この感動は、雪を見慣れている人には、味わえないものだろう。雪国の人は、損である。
わたしは生まれてから今日まで、ずっと横浜で育ってきた。で、その横浜も、時々大雪に見舞われたりする。まあ、大雪ったって、たかだか三十センチぐらいのものだから、雪国の人にとってみれば、「何が大雪だか」ということになるのだろうが、東京横浜近辺では、その程度の積雪で交通がマヒするのだ。電車は止まる、飛行機は止まる、船も止まる。人や車は逆に止まれずに、ツルツル滑ったりしているようだが。
実はわたしは、この大雪が毎年楽しみなのである。梅雨のときにも書いたが、大雨や大雪だと、ワクワクしてしまうのだ。これはたぶん、わたしだけではないはずだ。雨がジャンジャン、雪がドカドカ降ってきたら、ほとんどの人がワクワクして、じっとしていられなくなるはずである。
もちろん、大雪に慣れている雪国の人や、大雨がしょっちゅう降る雨国(なんてあるのか?)の人にとっては、ワクワクなんぞはないだろうし、毎年それによって大きな被害を受けている場合もあるわけだから、本来ならばワクワクしたりするのは、失礼なことになるのだろうが、ワクワクしてしまうものはしょうがない。それはつまり、「飢饉で困っている国もあるのだから、ご飯を食べたからといってお腹がいっぱいになってしまうのは失礼だ」、といっているようなものなのである。たぶん全然違うと思うが。
まあ、大人はどうだか知らないが、子供はおおむね雪が好きである。まれに、そうでない子供もいるようだが、そういう場合はほぼ確実に心が病んでいるに違いないので、早めにカウンセリングに連れて行くことをおすすめする。いや、マジで。普通の子供は雪が好き。異議は認めない。
ってことは、雪が好きな奴は子供だ、という論理になりそうだが、実はそうでもない。本当は、大人だって雪が好きなはずなのである。なにしろ大雪になったのを「いやだなぁ」といっている奴が、週末にはスキーに行ったりするのだから、本当に雪が嫌いだとは思えない。そもそも、今「雪はいやだなぁ」と思っている大人たちだって、子供の頃は雪が大好きだったはずなのだ。なのに、いつの間にやら「雪なんて嫌いだ」とか言い出すようになってしまっている。悲しいことだ。
なぜそうなってしまうのか、よくわからないが、雪がいやだという大人も、実は本当に嫌いなのは「雪」ではない、と思われるフシがある。つまり、雪は大好きなのだが、それより先にやらなきゃいけないことがある。そのため、雪を目の前にしても遊べない。遊べない雪なんて嫌いだ、ということになるのではないだろうか。だから、本当に嫌いなのは、「雪」ではなくて「仕事」のはずである。
みんなそろそろ正直になるべきである。
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