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2000.06.18
この「エッセイのようなモノ」でも何度か書いているのだが、最近の若者は、だらしなかったりするらしい。なにがだらしないのかはここでは棚にあげて「だらしない」ってなんなのか、ということを考えてみた。 そもそも「だらし」ってなんだ? ということである。「だらしある」状態ってのはどんな状態なんだ? 答えは後にまわすとして、この「だらしない」と同じような言葉に「みっともない」などというのもある。おおむねどちらも同じような使われ方をする言葉である。で、どちらも「否定形」なのである。そこまで考えたときに、世の中にはどういうわけか、否定形でしか存在しない言葉がある、ということに気がつくだろう。気がつかなくてはいけない。わたしは気がついちゃったんだよぉ。 「だらしない」も「みっともない」も使うときには必ず「ない」がつく否定形なのである。 この他に「さりげない」「ふがいない」なども、一般的に否定形でしか使用しない。もともとは肯定の形でも使用した言葉なのかもしれないが、少なくとも現在の日常会話の中には、これらの言葉の非否定形が出て来ることはないだろう。なんでなんだろう? やはり昔から、なにかを否定するという考えが、強く人々の中にあったからだろうか。 やっぱり、物事なんでも、否定した方が世間の共感を得られるってことなんだろうか。そういう意味では、うちの「エッセイのようなモノ」も、長く生き延びることができるに違いない。 って、なんだかオチがついちゃったみたいですが(笑) もともと、「だらしない」「みっともない」「さりげない」「ふがいない」などに気がついた時点で、「エッセイのようなモノ」のネタとして使えるな、とは思ったのだが、オチを考えついてしまった時点で、それ以上話しを膨らませることができなくなってしまった。ここから先は、単にお勉強の時間。読まなくてもいいです(笑) それぞれの意味である。 まずは「だらしない」の「だらし」。なんでも「しだら」の倒語なんだそうで。「しだら」と聞くと、思い出す言葉があるだろう。そう、「ふしだら」。つまり「だらしない」と「ふしだら」とは同じことなのである。 で、倒語ってのは、今では放送業界の業界用語のように考えられているが、もともとはジャズなんぞのバンドのメンバーが、「ラッパ」を「パツラ」といったり「おんな」を「なおん」といったりした、ああいう言い方とおんなじなのである。そうやって考えると、「だらし」自体が、あんまりお上品な言い方とは思えなくなって来る。まあいい。 さて問題は「しだら」である。なんでも、「しまり」とか「しまつ」とか「ていたらく」とかいう意味なんだそうで。一説では「自堕落」が変化したもの、という説もあるらしい。それでいくと、「ふしだらな女」ってのは「しまりの悪い女」ってことか? 子供は笑わなくてよろしい(笑) なんとなくわかったようなわからないような。まあはっきりわからなくてもかまわない。今回のテーマは「だらしない」の意味を知ることではないのだから。 次に「みっともない」。「みっと」がないわけだが、「も」といっているからには、他にも何かないものがあるに違いない、などと考えてはいけない。「他はバットやグローブだろう」などと考えるのはオヤジである。じつはこの「みっともない」は「見とうもない」つまり「見たくもない」という言葉から来ている。「なんですか、そのみっともない格好は」といわれたら、「じゃあ目をつぶっていれば?」と答えればいいことになる(笑) そして「さりげない」。これは「さもありげ」から来ている。「そのような様子」という意味だ。その否定なわけだから、「そのような様子もなく」ということになる。比較的わかりやすいような感じである。 最後の「ふがいない」がくせもの。 こいつだけ、辞書に非否定形の記述がなかった。「甲斐」というのは辞書に載っている。これは、行動の結果としての効果、という意味である。もちろん「ふがいない」も載っている。いくじがない、というような意味なのである。しかし、「ふがい」がどこにも見当たらない。ちなみに、うちのパソコンの日本語入力辞書では「不甲斐ない」と出てくるが、これは間違いのようである。「腑甲斐ない」が正しいらしい。「腑」は「五臓六腑」の「腑」。はらわた、という意味である。はらわたの行動の結果としての効果がない、が「いくじがない」だとすると、なんとなくわかったようなわからないような。 まあ、世の中なんでもかんでもわかりゃいいってものでもないだろうし(笑) |
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