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2000.08.03
小説の書き方系、メモや手帳系、催眠術系の本に次いでわたしの本棚に多いのが、睡眠系の本である。催眠ではなく、睡眠。
催眠と睡眠がどう違うかというと、本から得た知識によれば、催眠中は意識があり、睡眠中は意識がない、ということになるようである。もちろん、本当はまったく違うものなのだろうが、なにせわたしは、催眠状態というやつになったことがない。いや、もしかすると、催眠状態になったことはあっても、それをわたしが自覚していないだけなのかもしれないのだが、自覚していなければ同じこと。どっちにしろ判断のしようはない。
睡眠に関する本が山ほどあるのは、わたしが朝起きられないことに起因している。つまり、どうしたら起きることができるのかを知りたかったのだ。
ひとくちに睡眠系の本といっても、いくつかのパターンがある。
まず、純粋に「睡眠とはなにか」を書いた本。著者はおおむね、医学博士だったりその手の研究をしている人である。睡眠とはなにかということから始まって、正しい睡眠とはどんなものかとか、果ては人間以外の動物の睡眠について教えてくれている本もある。レム睡眠だのノンレム睡眠だのという言葉を聞いたことがある人もいると思う。平たくいえば、浅い眠りと深い眠りのことなのだが、それを小難しくいうとレム睡眠とノンレム睡眠と呼ぶのである。そういったようなことが書いてある。
ご存知でない方のために一応説明しておくと、レム睡眠のレムとは、ラピッド・アイ・ムーブメントの頭文字を取ったもので、日本語に訳すと「目がキョロキョロ動いている状態」ということにでもなるだろうか。時々いるでしょ。居眠りしてるときに、薄目を開けたような状態の人が。そういう人の目を見てみると、これが良く動いている。これがレム睡眠の状態。目がキョロキョロ動くぐらいだから、眠りは浅い。夢を見ているのも、この状態のときなのだそうだ。これに対してノンレム睡眠というのがあるのだが。このネーミングがなんとも間抜けである。単純に「レム睡眠でない」という意味。つまり「目がキョロキョロ動いていない状態」ということ。このときは眠りは深い。夢も見ていないらしい。
この手の本には、そういったことが書いてあったりするわけだ。もっとも、わたしは医学を学んだことがあるわけでもないし、今後も特に学ぼうと思っているわけではないので、ここでいっている「睡眠とはなにか」について書かれている本というのは、別に学術系の専門書でも論文でもない。そこらの書店で普通に売っている本ばかりである。
次に多いのが、不眠に関する本である。これはご存知、夜眠れない人のための本だ。これも医学博士なんぞが書いていることが多い。不眠とは何かとか、なにが不眠の原因か、というようなことから始まって、いかに対処するべきか、というようなことが書かれている。対処方法のほとんどは「気にするな」「無理に寝ようとするな」といったようなことが多い。あとはまあ、寝る前に腹いっぱい食うなとか、飲みすぎもよくないとか、セックスは効果的だといったようなことが書いてある本もある。ハーブの効果だのリラクゼーションにまで及んでいる本もある。わたしは寝付きは良い方なので、あまり役には立たない。
その他には、短眠に関する本というのがある。3時間しか寝なかったらしいということから名前を取って、ナポレオン睡眠と呼ばれることもあるようだ。これはつまり、不眠の本とは逆に、いかに寝ないか、というようなことが書いてある。正しくは「いかに早く起きるか」なのだが、要はどれだけ睡眠時間を少なくするか、という内容である。
この手の本に書いてあることはおおむね同じで、まず一日は二十四時間しかないんだよ、というようなことから始まって、その中からより多くの時間を捻出するためには、睡眠を削るのが手っ取り早いでしょ、ということになる。もちろん、それほど極端な書き方をしているわけではない。色々な有名人だの出世した人だのを例にあげたり、前出の「睡眠とはなにか」系の本にも書いてあるような、人間に最低限必要な睡眠時間に言及したりして、結論として三時間寝れば充分、という答えを導き出しているのだ。
実は、わたしがもっとも興味を持っているのはこれである。短眠に興味があるわけではない。睡眠時間を短くするということは、眠くても起きる、ということである。その方法が書いてあるのならば、それを利用すれば、たっぷり寝たあとに起きる場合にも役立つはずである。と思って読んでみるのだが、どの本を読んでも、ほとんど精神論しか書いていない。要は「その気があれば起きられる」ということである。つまり、わたしには無理ってことだ。
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