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[ エッセイのようなモノ ]
健康診断

2000.08.25

 年に一度の健康診断に行ってきた。というか行かされたというか。  
 よく聞くはなしで「健康診断に行くのが面倒で」というのがある。なんで面倒なのか、わたしにはよくわからない。そりゃたしかに会社員ではなく、予約からなにから全部自分でやらなきゃいけないとしたら、間違いなく面倒臭いだろうとは思う。だが、サラリーマンでも「面倒だ」という人はいるのである。何がどう面倒なのだろう。すべての段取りを会社の方でやってくれて、自分は行けばいいだけなのに。まあ、前日あたりから食事の制限なんぞがある場合もあるが、多少のダイエット効果もあるかもしれないのだから、気にすることはないはずである。  
 とはいっても、実はわたしも辛かったのだが。何が辛かったって、タバコも吸っちゃいけないのである。わたしにはこれが辛い。実は今回の文章の後半は、健康診断に行く前日の夜に作成した。夜中に自分の部屋でパソコンに向かって文章を打ち込んでいるときにタバコが吸えないのが、これほど辛いことだとは思わなかった。普通にしてれば、数時間タバコを吸わずに過ごすなんてのは、まったく平気なんですけどねぇ。  
 面倒臭いという意見の他に、忙しくてそんな時間はない、というのもあるだろう。確かに、段取りの悪い健康診断は無茶苦茶時間がかかる。ある程度の年齢になっている場合、半日ドックだったりするから、本当に時間がかかる。わたしもこの歳になると、その手の精密検査扱いになるわけだが、わたしなんぞはどちらかというと、半日仕事をしないでいいんだ、と思って喜ぶくちなのである。  
 ところがだ。今回の検査は、なんと1時間以内に終わってしまったのである。受付けをするところから、終わって建物を出るまでがわずか55分という短さだったから、実際には45分から50分程度で済んでしまったことになる。しかも、胃のレントゲン撮影の待ち時間が20分ほどあったから、実質は30分ぐらいということか。この時間で、胃のレントゲンは当然として、超音波によるエコーとか、心電図とかはもちろん、眼底検査だの眼圧検査だの、その他もろもろやったわけだ。これって、異常に早いような気がする。ホントにちゃんと検査してるのかい? と不安になってしまう部分もある。  
 まあ、実際には受付の時刻まできっちり指定されているから、無駄な待ち時間がほとんどなかった、というのがある。通常、この手の検査で何が一番時間がかかるって、待ち時間ほどかかるものはないのである。それが、待ち時間がほとんどないだけで、正味1時間で終わってしまうのだから、よそで検査した場合にどれほど無駄な時間を過ごしているかがよくわかる。みんなが行きたくなくなるのもうなずけるというものだ。  
 それ以外の人間ドックに行きたくない理由として、以前誰かが言っていたのだが、  
 「たいして悪くもないのに悪いといわれてしまう。基準の範囲から少しでも外れていると、大袈裟に要注意とかいわれるのがいやだ」  
 というのがあった。それってなんだか変じゃないか? というよりも、ドックの意味を間違えているのではないか、という気がする。  
 例えば飛行機だの船だのがドックに入って精密検査をする場合、その目的は「問題がないことを確認するため」ではないのである。少しでも問題のある箇所を、早期に発見するために精密検査をするわけだ。つまり「問題を発見するため」のドック入りなのである。  
 飛行機の部品なんぞをチェックしたときに、「これは少し危ないかもしれないけど、ギリギリ基準の範囲内だからいいだろう」などという判定はしないはずだ。そんなことをして、事故が起きてしまってはまずいのだから。  
 それを「大袈裟に要注意といわれる」とは何事か。それがいやならドック入りなどしなければよいわけだ。まあ、そうはいかないのが世の常だろうが。  
 わたしの知り合いの知り合いが(って遠いな)、会社の健康診断の結果、腸内にポリープがあるといわれた。その人はまじめな人なので、ちゃんと病院で精密検査を受けて、結果それを取ることになった。取ったポリープの細胞を調べたところ、前癌細胞とかいう奴だったとか。つまり、もう少し遅かったら癌になっていたかもしれない、ということらしい。これなど、健康診断の見本のような結果なのかもしれない。  
 まあ、検査の結果、問題ありといわれたにしろ問題なしといわれたにしろ、最終的にひっかかるのは、医者を信用するかどうか、という問題かもしれない。なにしろ、世の中にはちょっと不安な医者もいたりするのだから。だからといって、検査を受けないわけには行かない。手遅れになってからでは遅いのだ。  
 しまった。今回のタイトルは、全然ひねりがないじゃないか。  



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