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2000.12.16
みなさんのご家庭ではどうだか知らないが、我が家では食事時にはテレビのスイッチが入っていることが多い。家によっては、食事時にはテレビを消す家もあると聞くが、我が家ではわたしが幼いころから、食事時にはテレビはついていた。だからといって、テレビを見ながら会話もなく、黙々と食事をしているわけではない。その番組をネタに、話しが盛り上がるのである。それがクイズ番組だったりした場合には、家族全員でああでもないこうでもない、と考えながら食事をしているわけだ。だから、実をいうとドラマを見ていることはあまりないのである。敵がドラマの場合は、「リアルじゃない」と文句を言い続けるか、開き直ってじっくり見るかの、どちらかしか選択肢がなくなるからだ。
先日、家族で夕食を取っているときに、たまたまテレビでろくな番組をやっていないことがあった。そんな場合は、テレビのスイッチを切ってしまえばいいのだろうが、悲しいことにそれもできなくて、結局選んだ番組は、ＮＨＫ教育でやっていた番組だった。実はこのＮＨＫというテレビ局、金を取るだけあって、なかなか乙な番組をやっていることがあるから侮れない。そのときにやっていたのは、鳥の生態のドキュメンタリーだった。何回かの連続ものの一回だったようで、そのときには、色々な鳥の求愛表現というのをやっていた。食事時の、ゴールデンタイムと言われるような時間帯に、そんな番組を流してしまうＮＨＫもどうかと思うが、それを家族で見てしまう我が家もどうかと思う。まあ、その番組は実に面白かったのだが。
元来、人間も含めた動物たちの求愛というものは、オスがメスに対して行う場合が多いらしい。しかも基本的には、メスよりもオスの方が派手な場合が多い。たてがみのあるライオンも、真夏にやかましく鳴き続けるセミも、あれはみんなオスなのである。人間だけが、どういう事情でか、メスの方が派手に着飾る場合が多いのだが。そんな動物たちの中でも、鳥類の求愛表現というのは、視覚的にも美しかったりおもしろかったりするものが多いようで、有名どころでは、孔雀のオスが尾羽を広げてみせるあれがある。
その番組の中で紹介されていたものの中には、美しいものもあり、変わったものもあり、大笑いしてしまうようなものもあった。たとえば、名前や棲息地は記憶していないのだが、七面鳥やニワトリのように、肉のたるみのようなものが、くちばしの下というか喉のあたりにぶら下がっている種類の鳥がいて、この肉のたるみが異様に長い。それも、平らな面が正面を向いていて、その色合いがなんとも異様。ほとんど全面真っ青なのである。所々に派手な赤いポイントが入っていたと記憶している。イメージとしては、幅広で肉厚の、派手な青地に赤い水玉、という趣味の悪いネクタイをしめている鳥、と思っていただければいいだろう。で、この鳥のオスは、それをメスに見せることによって求愛するわけだが、その動きがまた間抜けで。鳥のくせに、という表現をすると、鳥のみなさんから苦情が来るかもしれない。これを読んでいる方の中に、鳥類の方がいらっしゃったらごめんなさい。ともかく、鳥のくせに思いきり胸をはって、メスに向かって駆け寄って行くのである。それもかなりの勢いで。
「どうだい、俺のネクタイ。いかすだろ。え？ どうだい？ よく見てよ」
と、スケベオヤジが、若い女の子に襲いかかっているような雰囲気なのである。そんなことをされたメスが、どんな反応を示すかといえば、こりゃもう鳥も人間も同じこと。一目散に逃げ出すのである。何のための求愛行動なんだか、わかったものではない。
他にも変な鳥がいた。オスは自分の脇の下を、メスに見せるのである。その鳥、全身茶色がかった羽につつまれているのだが、脇の下だけはほぼ純白に近いのである。どうやら、この白い部分の美しさで、メスを引きつけているらしいのだが、その格好が奇妙だった。最初のうちは、メスに対して横向きになり、片方の翼を高々と持ち上げて、脇の下を見せている。それを左右交互に、何度も繰り返す。やがて興味を引かれたメスが寄って来ると、今度は正面を向いて両の翼を広げて見せる。それをまた、メスが覗きこむようにじっくりと見るのである。場合によっては、一羽のオスのパフォーマンスに、複数のメスが集まってくる場合もあるようで、ほとんど場末のストリップの雰囲気なのである。残念ながら、音楽も流れていないし、スポットライトもあたっていないが。
このように、鳥のオスたちは、自分の身体のある部分をメスに見せることで、自分をアピールしているのだが、さて人間がそれをやるとしたら、いったい何を見せればいいのだろう。見せるモノによっては、犯罪になってしまうこともあるようなのでご用心（笑）
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