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2001.03.21
いったいいつ、誰が言い出したことなのかは知らないが、流れ星に祈ると願い事がかなうという。流れ星ではなく、単に星に祈る、という方法もあるようだが、流れ星を見たら願い事を言え、というのは、人を見たら泥棒と思え、というのと同じようにポピュラーなようである。いや、単に言葉のリズムが似ているような気がするだけだが。
総理府が、満１０歳以上の男女を対象に調べたところ、なんと98％以上が、流れ星に願い事をするとかなう、という言い伝えを知っていることが判明した。ちなみに、実際に流れ星に願い事をしたことがあるかどうかでは、全体の63％が「ある」と答え、男女の差はほとんどなかったという。
もちろん、例によって統計結果はわたしのでっちあげなので、本気にしないように。
それはさておき、流れ星に祈る、というのは、かなり大勢の人が知っていることだと思う。ただし、そのやり方については、多少の地方ルールのようなものもあるようだ。一般的には、流れ星を見たら、それが消える前に、願い事を三回言うことになっている。なぜ三回なのかはわからない。一説によれば、めったに見ることができない流れ星の、ほんの短い、消えるまでに、というまさにとっさの状態であるにもかかわらず、すかさず三回言えるようなことならば、それはその人の頭の中にいつでもあることだから、きっといつか必ずかないますよ、ということだ、という噂もある。ホントにそういう理由だとしたら、ちょいと寂しいが。
とにかく、流れ星を見つけたら、すかさず願い事を三回繰り返さなければならない。したがって、間違っても「バスガス爆発」なんてぇ願い事はしない方がよい。下手をすると舌を噛む。そんな奴はいないか。
立て続けに三回、願い事を言わなければならないということは、願い事はやはり短い方が良いようだ。一番良いのは「かね、かね、かね」だろう。「女、女、女」や「男、男、男」でも良いかもしれないが、ちょっと言いにくい。人によっては「毛、毛、毛」と唱える人がいるかもしれないが、横で聞いていると、変な笑い方のようで気持ちが悪い。
流れ星に祈ると願いがかなう、という言い伝えは有名だし、誰でも一度ぐらいは経験のあることだと思うのだが、では実際にそれで願いがかなったか、ということになると、あまり聞いたことがないような気がする。通常、あまり効果がないおまじないだの伝承だのは、いつのまにか廃れて行くと思うのだが。どうやら廃れずに残っているところを見ると、意外と願いはかなえられているのかもしれない。ひょっとしたら、願いがかなっていないのは、わたしだけなのかもしれない。願いがかなったことがある、という方、是非ご一報いただきたい。
で、皆さんご存知のことと思うが、流れ星という奴は、普段夜空に輝いている星が、突然尾を引いて流れて行くわけではない。そんなことをしたら、星の数がどんどん減っていってしまう。あ、それで都会では星の数が少ないのか？ そんなばかな。
流れ星というのは、おおむね、宇宙のチリだのゴミだのが、地球の大気圏に落ちて来ることによって起きる現象である。普段夜空に瞬いている星は、地球から何光年、何百光年も離れた場所にあるのだから、それが落ちて来ることはまずない。どんなにたくさん星が流れても、星座がなくなる心配はないわけだ。
先ほど、めったに見ることができない、と書いたが、実は流れ星というのは、それほど希少なものではない。夜中に一、ニ時間空を眺めていれば、必ずひとつやふたつは見ることができるはずだ。さすがに、夜でも明るい都心部なんぞでは、ちょっと難しいかもしれないが。で、夜空をじっと見つめていると、時々、やたらと息の長い流れ星を見ることがある。ほとんど空の端から端まで、ゆっくり移動して行くのだ。どんなに長い願い事をいっても、充分に間に合うほどの長さである。「東京特許許可局、今日急遽特許許可却下」をつっかえながら三回繰り返しても間に合う。実はこれ、流れ星ではない。人工衛星なのである。したがって、いくら余裕があっても、おそらく願い事はかなわない。
人工衛星といえば、ロシアの宇宙ステーション、ミールという奴が落ちて来るとか、落ちて来たとか。ミールといったって、女性の履くサンダルのような奴ではない。あれはミュール。だいたいイントネーションが違う。「彼氏」を昔風に発音したのと同じイントネーションが「ミール」、今風に発音したのが「ミュール」になる。だから何ってことはないのだが。
で、このミュール……じゃない、ミールが落ちて来る場合、それは一応流れ星と同じように見えるはずなのだが、それに祈った場合、願いはかなえられるのだろうか？
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