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[ エッセイのようなモノ ]
忘れたころにやってくる

2001.09.06

 かれこれ20年ぐらい前のことになるだろうか。当時わたしは、今のこの「エッセイのようなモノ」の前身のようなものを書いていた。もちろん、当時はまだインターネットなんぞなかった。したがって、書いたものを誰かに読ませるという暴挙には、出たくとも出られなかったし、そもそも書いたものを誰かに見せようとは思ってもいなかった。  
 始めた理由は、文章書きの練習、というもっともらしいものだったが、内容は今の「エッセイのようなモノ」よりもひどかったように記憶している。しかも、原稿用紙ではなく大学ノートに書いていたし。まあ、表向きの理由はもっともらしかったが、実際には「日記でもつけてみようか」という程度の軽いものだった。  
 とはいえ、わたしは日記というものをつけたことがない。いや、つけようと思ったことは何度かあるのだが、いつも三日坊主にもならない。二日と続いた記憶がない。これは、夏休みの宿題なんぞでも同じこと。自分でも呆れてしまうが、こればっかりはしょうがない。20年前にはすでにそのことには気づいていたから、自分でも日記をつけるのは無理だろう、とは考えた。そこで、身辺雑記やら思いついたこと、ふだんから気になっていることなどを書くことにしたのだった。つまり、今の「エッセイのようなモノ」とほぼ一緒ということ。  
 もちろん、日記が続かないということは、内容はどうあれ毎日書くなんてぇことができるわけがないということなので、最初から、定期的に書くのはあきらめていた。つまり、書きたいことがあったら書く、と。これはつまり、ほぼ書かない、ということに等しい。それは最初からわかっていた。わかっていたから、その雑記帳の表紙には「テンサイコラム」とタイトルを書いた。この「テンサイ」は、もちろん「天災」のこと。つまり「忘れたころにやってくる」という意味だ。ついでに「書き手が天才」ってな気持ちも、ほんの少しだけ入っていたことも白状しておく。  
 なんにしても、その「テンサイコラム」略して「テンコラ」は、開始から数年間続けられた。なにしろ最初から不定期のつもりで始めたものだから、思ったとおり、平気で数ヶ月あるいは数年も間があいてしまったこともあって、結局ノートは数ページしか埋まらなかった。まあ、ほとんどやらなかったのと同じこと。  
 それに比べれば、今のこの「エッセイのようなモノ」は、時々サボるとはいえ、ちゃんと続いているのだから、ましな方だろう。  
 って、今回はそういう話しではない。「テンサイ」の方。にしても前フリで半分以上使っているが(笑)  
 「天災」を含む災害というのは、ホントにいつやってくるかわからない。まあ、雷だの台風だのは、気象庁のみなさんの努力のおかげで、ある程度の予測はできる。地震も最近では多少予測できるようだが、まああまり当たってはいないかもしれない。ただまあ残念なことに、これらははっきりいって、少なくとも今の科学では、防ぐということはできない。火事というのが「天災」になるのかどうか知らないが、災害というくくりに入れた場合、防ぐことができる数少ない災害のひとつだろう。それでも起きるときは起きる。天災の二次災害として起きる場合には、なかなか防ぎようがなかったりもする。  
 なんにしても、災害は起きないに越したことはない。起きないにこしたことはないが、地震雷台風なんぞは防ぎようがない。そうなると、いざというときの準備を、きちんと整えておくしかないだろう。  
 ところが、準備がきちんとできているときに限って、たいした被害はなかったりするのだ。で、ついうっかり準備を怠ったときには、ひどい被害にあったりする。  
 で、気がついた。これを逆手に取れば、天災を含む災害を防ぐことができるのではないだろうか。地震だろうが雷だろうが台風だろうが、防ぐことができちゃうのではないだろうか。ひょっとしたら、地震や雷や台風やらを、消したり止めたりもできるかもしれない。  
 つまり、災害に対する備えを、完璧にしておくである。非常持ち出し袋をきちんと用意し、中のものもきちんと定期的にチェックする。非常時の避難場所などもちゃんと確認しておく。とにかく、ありとあらゆる場合を想定して、すべてに備えておけばよいのである。そうすれば安心、という意味ではない。そうすれば、災害はやってこないのだ。万全の準備を整えているときに限って、準備したものが無駄になるのは、世の中のセオリーである。  
 これは、国をあげてやるべきじゃないか?  
 もちろん、ついうっかり準備を怠ったときには、とんでもない被害が出ることになるので、これは一度始めたら一生やめるわけにはいかなくなる。辛いからやっぱやめるか。  



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