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2001.11.21
さて、自信のなさという意味では、自分の性格に自信のない人というのも結構多い。
ポジティブ系では「落ち着きがない」「おっちょこちょい」など、ネガティブ系では「人見知りが激しい」「意志が弱い」「暗い」などがあげられる。中には「おっちょこちょいで意志が弱くて落ち着きがないのに暗い」などという、陰陽あわせ持ったつわものも、いるかもしれない。まあ自分の性格に関しては、ほとんどの人が、謙遜も含めて何らかの欠点をあげるだろう。
ところが、どういう理由からか、自分の性格に変な自信を持っている人というのも、世の中には少なからずいるのである。しかも、そういう場合は、ほとんどポジティブ系の性格になる。つまり「わたしは明るい」とか「他人を思いやる」とか。裏を返せば「騒がしい奴」「おせっかいな奴」ということにもなるのだが、本人はそれに気づいていなかったりする。
実際、本人が「自分は性格が良い」と思っている場合、その人物に対する他人からの評価の、実に95%が「あいつは性格が悪い」と思っているという統計結果がある。まあ、例のごとく総理府の統計による情報なのだが。しかし、細かい数字は別にして、これに異論をはさむ人は少ないと思う。「俺は性格が良い」と勝手に思い込んでいる本人だって、他の人が同じことをいったら「ふざけるな。おまえの性格の、どこが良いんだ!」と思うに違いない。
なにしろ、そういう人というのは、他人の言うことになんぞ耳を貸さない人が多いようだから、他人が何をいっても関係ないのだろう。それがまた他人の神経を逆なでしちゃったりする。
場合によっては、ネガティブ系の自信を持っている人もいる。「自分は暗い」「人づき合いが悪い」などと強く信じ込んでいる人もいる。おもしろいことに、そういう人に対する他人の評価は、本人の評価とあまり変わらないことが多い。まあ、ポジティブ系の人と違って、邪魔にならないからかもしれないし、暗い奴は誰が見ても暗い、ということなのかもしれない。
なんにしても、性格に対する評価というのは、自己評価と他人からの評価の差がかなり激しいもののようだ。
雑誌なんぞによく載っている「性格診断」なんぞも、ある人が自分でやった場合と、他人がその人に対して感じている印象でやった場合とでは、結果がかなり違うらしい。なんでも、本人が答える場合には、自分の実際の考えや言動ではなく、希望的な回答や理想的な回答をしてしまうことがあるために、本当に正しい結果が得られないのだという。そのため、正しい結果を得るためには、本人の回答だけでなく、他の人から見た回答も加味する必要があるという。しかも、他の人といっても、家族のように近い相手の場合と、友人などのように若干離れた相手の場合とで、また違う回答になることがあるというから、人間の性格というのはよくわからない。
よくあるケースが、友達なんぞが相手のときには周りに気を使うが、家族の前ではわがまま放題、なんてぇ人。しかも一人になると途端に暗くなっちゃったりして。そういう人、知り合いに一人ぐらいいるでしょ。
って、今、家族や友達の誰かを思い出しました? ひょっとして、今あなたが思い浮かべた人に同じ質問をしたら、その人はあなたを思い出すかもしれませんねぇ。そんなことは絶対にない、と言い切れますか? 言い切っちゃうと「自分の性格に変に自信を持ってる人」ということになっちゃう可能性もありますよ。
それはそれとして、なぜこのようなことが起きるのかといえば、これはもう評価される人物が、相手によって態度を変えているからに他ならない。まあ、普通は誰でも、相手によって多少は態度を変えているものだろうが。本人がそれをわかっていれば良いのだが、わかっていないことの方が多かったりするのが困りもの。
ある人に対しては優しくし、別の人に対しては冷たくしていた場合、優しくされた人物は「あの人は優しい」と評価するだろうし、冷たくされた人物は当然「冷たい奴だ」と思うだろう。そしてその両方を知っている人物が評価を下せば「相手によって態度を変える」となる。本人は、誰に対しても優しいつもりでいたりする。
まあ、本人がどう思っていようと、それはその人の本当の性格ではないのである。良い方向にしろ悪い方向にしろ、本人自身の判断と他人の評価が食い違った場合には、どう考えても他人の評価が採用されることになる。
なにしろ日本は民主主義の国。多数決をとられたら、どうあがいても本人には勝ち目がないのだ。
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