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[ エッセイのようなモノ ]
正しい日記の書き方

2002.01.30

 文章の書き方系の本を読むと、時々「日記を書きましょう」というようなことが書いてあることがある。日記を書くことで文章を書くことに慣れ親しみましょう、ということだろう。たしかに、文章を書くことに慣れる、という意味では日記を書くのも良いことかもしれない。だが、ある程度文章を書くのに慣れて来た人には、小説(のようなモノ)を書く練習としての日記は、あまり役に立たない可能性がある。場合によってはマイナスになる場合の方が多いかもしれない。  
 って、なんだか「小説のようなモノの書き方」を書いているようだが(笑)。実はこの原稿、途中までは「小説のようなモノの書き方」のために書いた。ところが、書いていくうちに「日記(のようなモノ)の書き方」になりそうだったので、長いあいだお蔵入りしていたのだ。もちろん、貧乏性のわたしが、そのまま廃棄してしまうはずがなく、ネタもないことだし、エッセイのようなモノで使っちまえ、ということになったわけだ。  
 そんなものを読まされるのは勘弁してくれ、というような人は、もともとこの「エッセイのようなモノ」を読んではいないだろうから、気にせずに先に進む。  
 日記が小説のようなモノの練習にはマイナスになる、ということだが、それの最も大きな理由は、文体の問題。  
 日記風の文体の小説を書くのなら別なのだが、基本的に小説の文体と日記の文体は違うはずだ。それなのに、小説の練習として日記ばかり書いていると、小説風の文体の文章が書けなくなってしまう可能性がある。エッセイのようなモノばかり書いていると、小説のようなモノが書けなくなるのも、同じ理由に違いない。ということにしておこう。  
 もちろん、双方の文体が違うということを、きちんと意識して書く分には問題はないし、まだ文章を書くのが少々苦手、という人が慣れるための手段としても、日記は有効だろう。また、毎日の記録を取る、という意味での日記ならば、それは続けた方が良いに決まっている。とにかく、文章を書くのは苦手ではない、という人は、小説を書く練習として日記を書くのは、やめた方が良い。  
 さてまず、日記はいつ書けばよいか、ということなのだが。これは通常、ほとんどの人が夜寝る前に書いているようだ。これが大間違い。日記は可能な限り朝書くようにするべきなのだ。朝一番に、その日に起きるであろうことを書く、というわけではない。昨日のことを思い出しながら書くのである。そうしないと「なかなか眠れなくて、寝たのは結局夜中の三時過ぎだった」なんてことが書けるはずがないだろう。あるいは「夜中に電話でたたき起こされた」なんてことも、夜寝る前に日記をつけていたのでは、到底書けることではない。  
 したがって、日記は朝つけるのが正しい。  
 あるいは、日記帳を常に持ち歩いて、何かに気づいたら、可能な限りそのときに書いてしまう。別にまとめて書かなきゃいけない、ってものでもないはずだろうし。  
 何を書けばよいのか、ということだが、これはもう、何でも良いというのが日記の基本ということになっている。その日の天気、食べたもの。もしも書くことがなかったら、それだけでもかまわない、という意見がかなりある。ただ、気をつけたいのは、同じ天気のことを書くのでも、毎日同じ表現は避けた方が良い、ということだろうか。  
 晴れの日が何日か続いたとしても、「晴れ」「晴天」「雲ひとつない青空」「どピーカン」「晴朗」などと、多少は表現を変えてみる。もちろん、無理やりでかまわない。そうでもしないとすぐに飽きてきて、天気のハンコかなんか用意し始める奴がいるかもしれない。いないか。  
 「腹が立つぐらい良い天気」と書くと、天気が良いのに仕事だったりする、くやしい気持ちが込められている感じも出る。そういう部分に凝ってみるのもおもしろいだろう。  
 内容として気をつけたいのは、できるだけ反省は書かない方がよい、ということ。これを言っている人は少ないようだ。日記を反省の材料にするのはかまわないが、反省の内容をそのまま日記に書いてはいけない。意見や感想を書くのは構わないが、反省を書いてはいけないのだ。そんなことをすると、ほとんどの場合が反省だらけになってしまって、どんどん書くのがいやになってきてしまうだろ。って、そんなのはわたしだけなのか?  
 念のために書き添えておくが、わたしは日記をつけたことはない。小学生のころ、夏休みの宿題の絵日記ですら、ちゃんと続けた記憶がないぐらいだ。何度か挑戦はしたのだが、いつも三日坊主にもならなかった。ってことは、ここまで書いてきたことは、まったくあてにならないということになる。まあ、いつものことだ(笑)  



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