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[ エッセイのようなモノ ]
パンプキン・ファイターズ

2003.09.16

 時々、わたしの名前「マックライド・デルスタイン・ゴザイ」の意味を聞いてくる人がいる。  
 その時の気分によって「親がつけた名前です」とかなんとかテキトーなことを答えるのだが、だんだん面倒になってきた。ちゃんと説明するのが一番いいのだが、毎回それをやるのも面倒なので、今回ここで説明しておくことにする。  
 そもそもの発端は、十代後半だか二十代前半だかに書いた「パンプキン・ファイターズ」という小説だった。より正確にいえば、「途中まで書いた」ということになる。完結していないのだ。  
 設定としては、ヒロイックファンタジーのような物語で、剣と銃、魔法と科学が入り混じった異世界が舞台だった。この設定、当時は斬新だったのだが、今ではそれほどめずらしくない。ゲーム、ファイナル・ファンタジーなどではあたりまえのように銃と剣が同居している。  
 この作品は、わたしの普段の性格を反映して、かなりいいかげんに書かれた。  
 まず、主な登場人物はすべて友人知人がモデルになっている。どうせ読ませる相手は友人知人だけである。キャラクターの説明をしなくて済む、という理由だけで、まわりの人間をモデルにさせてもらった。登場人物の名前だけではない、出てくる土地の名前なんぞも、ほとんどが既存の名前を元にしている。  
 舞台となるコハマ大陸にあるルミ公国という地名は、わたしが住んでいる横浜市鶴見区から取った。クノツ、ラーヤ、ラオ、ト・ヨーカなどという町が出てくるのだが、それも鶴見区内の町名をご存知の方なら、元ネタがなんなのか想像がつくかもしれない。  
 まず、マルヤマカズトシという友人をモデルにして、マール・ド・カズトーシャという主人公の貴族を設定した。はっきりいって、このネーミングを最初に思いつき、かなり気に入ったために書き始めた物語だといっていい。マールの他には、カツヒだのヒーラツだのスギボだのコイチだのンダ・クンだのといった、あまりひねりのない名前が多い。とはいっても、ここでこれらのキャラクターの名前だけ出しても、どれほどひねりがないかはわからないだろうが。  
 マールのほかに気に入っている名前としては、科学者の「H・G・ハゲルズ」というのがあった。これはもちろん作家のH・G・ウェルズから取ったものだが、キャラクターのモデルはちゃんと存在するし、そのモデルとこの名前も完全に一致する。ちなみに「H・G」を「エイチ・ジー」と読んではいけない。  
 このキャラクターのモデルになった友人は、おでこが広かったがために、わたしが知り合った高校の時には、すでに「ハゲ」という立派なあだながついていた。後輩から「ハゲ先輩」と呼ばれるほどのみごとな定着ぶりだった。で、以前にも書いたが、わたしは高校のころには吹奏楽部にいて、この「ハゲ」も吹奏楽部の部員だった。音楽なんぞをやっている人ならご存知だろうが、音符はドレミやらハニホヘトやらの読み方の他に、ドイツ語読みというのがある。そうHは「ハー」Gは「ゲー」と読むのだ。したがって「H・G・ハゲルズ」は「ハー・ゲー・ハゲルズ」と読むのが正しい。モデルとぴったり一致する。  
 さて、この物語には、もちろんわたし自身も登場する。しかも、脇役である。自分を主人公にしていないところが奥ゆかしい(笑)  
 ここでわたしをモデルにしたキャラクターの名前が「マック・デ・ゴザイ」だったのである。もちろんわたしの本名はマックでもなければゴザイでもない。それに近くもない。一見何の関連もないように聞こえる。これを説明するのがまた面倒臭い。  
 確か高校二年の時だ。友人たちと映画を作った。で、その主人公の名前が、通称「マッキー」というもので、なぜかわたしが演じた。それ以来、わたしは時々マッキーという名前を使用するようになった。たとえばゲームセンターでハイスコアを出したとき、プレイヤー名を登録できる場合がある。そういうときにはこの名前を使った。ところが、マッキーと全部入れられるゲームは少なく、主に頭文字を意識していたのだろう、記号あるいはアルファベットで三文字だけ、という機械がほとんどだった。そこでマッキーを略して「MAC」と入力することの方が多かったのである。これでやっとわたしとマックが繋がった。「マックでござい」これがもともとのネーミングの由来なのである。  
 このキャラクター、相棒のバクショ・デ・ケサラ(もちろんモデルがいる)とともにヒーカンコの森(当時、珈琲館という喫茶店が溜まり場になっていて、通称「ヒーカン」と呼ばれていた)に住んでいる、第一級ハンターという設定だった。何をもって第一級なのかは、当時は考えてもいなかったのだが。  



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