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[ エッセイのようなモノ ]
左の手の悪霊

2005.03.13

 ここ最近、右脳がブームのようである。右脳を鍛えるクイズだの、右脳を鍛える運動だの、右脳を鍛える食べ物だの、右脳を鍛える生活のしかただのという、本だの番組だのが、世の中にあふれている。  
 個人的には、右脳に関しては、かなり前からマイ・ブームな状態なので、関連情報が増えるのはうれしいことなのだが、その一方で、何を今さら、という気がしないでもない。まあ、関連知識が増えるのはありがたいことだから、素直にありがたく受け止めておくことにする。そもそも、ブームが来る前に「これからは右脳だ!」などと言っていたわけでもないのだから、わたしは「何を今さら」などと偉そうに言える立場にはいない。  
 過去にも多少、右脳の鍛え方というか、そんな感じの話題で何か書いた気がするが、良く覚えていない。よく覚えていないのは、わたしの右脳が鍛えられていないからなのか、左脳が鍛えられていないからなのか、あるいはどちらも鍛えられていないからなのか。それ以前に、いい加減な性格のせいなのかもしれないが、なんにしても、記憶が定かでないので、ひょっとしたら、書いたつもりになっているだけのことかもしれない。興味があって暇のある方は、探してみると良いかもしれない。その作業が、右脳強化に役立つかどうかは知らないが。  
 そもそも、右脳を鍛えると本当に頭が良くなるのかどうか、わたしにはわからない。なにしろ、これまでにもさんざんその手の情報を仕入れてきているわりには、ちっとも頭が良くなっていない見本がここにいるのだから。もちろん、情報を仕入れることと、それを実践することはまた別問題で、仮に右脳を鍛えれば頭が良くなるのだとしても、右脳の鍛え方を知識として知っているだけで、それを実践しなければ、ちっとも頭は良くならないないだろう。ということは、わたしの頭が良くなっていないのが、右脳を鍛えた結果なのか、鍛えていない結果なのか、判断することは不可能、ということになる。いや、自分では判断できるはずなのだが、読者の皆さんには、わからないだろう。何もしていないようなフリをして、実はみんなには内緒で、日々血のにじむような努力を繰り返しているかもしれないし、本当に何もしていないのかもしれないし。まあ、内緒にする理由はないのだから、内緒で努力しているとは思えないが。  
 また、仮にわたしが右脳を鍛える努力をしていたとしても、それがどの程度の努力なのか、という点も問題になるだろう。毎日かかさず、過酷なトレーニングを繰り返しているのか、気が向いたときに申し訳程度に、トレーニングをやっているフリをしているだけなのか。そういった情報がなければ、読者の皆さんは、右脳を鍛えることと頭がよくなることの因果関係を、わたしを例にして判断することはできないのである。もっとも、わたしを例にして判断する理由もないのだが。  
 あるいは、わたしが頭が良くない、というのが実は単なる謙遜で、実際にはすごく頭が良いという可能性も……こちらはまあ、ほとんどないというか、まったくないというか、うちのサイトの文章だの内容だのを見てもらえれば、すでにもうバレバレなわけで、こればっかりは、読者のみなさんが明確に判断できることか。  
 そもそも、小説なんぞ書いてもいないくせに「小説のようなモノの書き方」などというサイトを立ち上げちゃったことからしてご理解いただけるように、うちのサイトなんざぁ最初から、実践を伴わない情報満載でお送りしているわけなのだから、何を今さらという感じではある。この「何を今さら」は、いえる立場に、わたしはいるはずである。  
 わたしが右脳を鍛えているのかいないのか、その結果頭が良くなっているのかいないのかはさて置き、右脳の鍛え方である。これは前にも書いたかもしれないが、とりあえずもう一度書く。  
 簡単な鍛え方としては、もっと左手を使え、ということらしい。  
 左手で、字や絵を書いたりするのが一番良いのかもしれないが、あまり複雑なことをいきなりやろうとすると、挫折するのが目に見えている。そこで、もう少し簡単なことを、日常何かのついでにやるのが良い。  
 たとえば自動販売機に小銭を入れる。ペットボトルのキャップを開ける。缶ジュースのプルトップを開ける。鍵穴に鍵を差し込む。どれもこれも、左手でやろうとすると、これでなかなかむずかしい。  
 で、最近わたしが実践しているのが(実践してるんじゃねぇか!)、コンピュータのマウスを左手で操作する、というやつ。マウスを机の左側に置いて、慣れない左手でマウスを操作すると、まどろっこしいのなんのって。ちっともうまく操作できないのが、ある種快感(笑)。  
 これで面白いのが、だんだんマウスを使うのが面倒になってきて、可能な限りキーボードで処理しようとし始める、ということか。ウィンドウズでいえば、ショートカットキーという奴を多用するようになるのである。わたし自身、今までもかなりショートカットキーを使っていたのだが、それがいきなり倍増した(当社比)。  
 この場合、左手を使うという、当初の目的が達成できるのかどうかが、ちと疑問だが。  
 それと、マウスを使った後にキーボード入力しようとすると、左手が思うように動かないことがある。特にマウス操作に使用する人差し指と中指の反応が、少しおかしな感じになるのだ。このじれったさもまた快感で(笑)  
 これが、右脳強化にどの程度役に立つのかも、頭が良くなるのかどうかも、わたしにはわからないが、退屈な日常の軽いスパイスに、なるかどうかもわからない。  
 まあ、プチマゾ気分ぐらいは味わえる。  



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