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栞 |
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2005.06.25
「新耳袋」という本がある。現代の怪談やら不思議な出来事を集めた本のシリーズで、文庫ではつい最近、第七巻が出版された。 短い話がいくつも載っていて、短いものはわずか1ページ。ものによっては、長い話をいくつかに切っている場合もあるのだが、そのひとつひとつがきちんと怖い。正確には、一冊に九十九話。百物語のパターンにのっとっているのである。怖い話ばかりでなく、なんだか正体不明な話や、ちょっと怖いが心温まるような話も入っていたりする。 わたしはこれを、文庫版で買い揃えている。 仕事帰りに書店で見つけた七巻を買って、帰りの電車で鳥肌まじりで読み始めた。当然、やがて降りるべき駅に着く。文庫本に挟んであった紙の栞を挟みなおして、わたしは電車を降りた。こういうときに、短い話がたくさん載っている本は、きりの良いところで中断しやすいからありがたい。 家に着き、晩飯を食い風呂に入り、一息ついたところで、栞の位置から本を開き、続きを読み始めた。怖がりつつも読み進め、やがて再び栞を挟んで就寝。至高のひととき。 さて「新耳袋」というからには、当然単なる「耳袋」という本も存在する。これは、江戸時代に、どこかの藩の家老だか大目付だかが、人から聞いた話を書きとめたものだという。怖い話ばかりでなく、不思議な話が山ほど収められているらしい。 人から聞いた話といっても、話してくれる人もまた、他の人から聞いた話だったりするものもあり、どこまで本当かわからないような場合もあるようだが、基本的に書き手は、聞いた話をそのまま書いていて、創作はしていないらしい。「新耳袋」も、そこは一緒。 その抜粋現代語訳版が、岩波文庫だかどこからか出ていて、読んだことがあるのだが、実はあまり印象に残っていない。 同じようなものに、岡本綺堂の「中国怪奇小説集」という本がある。これは、中国の古い本に書かれている話を、いろいろな人が紹介する、という形式になっていて、ある種百物語風の趣もある。こちらも、紹介されている話は、怖いものばかりでなく、心温まるものもあり、ちょっと笑えるような話もありとさまざまだが、不思議な話ばかりが集められている。こちらには創作も含まれているらしいが、ホントに中国の古い話ばかりでは、あるらしい。 残念なことに、本家「耳袋」にしても綺堂の「中国怪奇小説集」にしても、「新耳袋」のように、冷水を浴びせられるような恐怖感を味わうことは、あまりない。 百物語といえば、杉浦日向子の「百物語」という漫画もある。こちらも、長いものでも数ページ、短いものは一ページにもならないようなものなど、やはり九十九の話が載っていて、怖いものや不思議なものが盛りだくさんだ。 どれも、どこかの文庫で出ているはずなので、興味のある方は読んでみると良い。 そして、「新耳袋」の読書の続き。 翌日会社で、昼休みに「新耳袋」を鞄から取り出し、栞の位置から読書を再開したのだが、何話か読み進んだ後、おかしな感覚に襲われた。 この話、知っている。同じような話を知っている、という意味ではない。細部に至るまで、はっきりと知っているのだ。 これ、昨日読んだよな。間違いなく読んだよな。同じ話が二回載ってるのか? そんなばかな。編集のミスか何かか? そう思って本の前半をパラパラめくってみたが、それらしい話は載っていない。だが間違いなく、この話は昨日読んだばかりだ。そしてここまでは、間違いなく、記憶にはない話だったのだ。 試しに次の話を読んでみたが、これもはっきり、読んだ記憶がある。その次の話に至っては、冒頭だけではっきりわかるほど記憶に残っている。 いったいどういうことだ? 百物語をやると、最後に本当に怪異が起きるというが、それと同じようなことが起きたのか? 鳥肌が立ってきた。 背筋が凍る思いとともに、本をあちこちめくっていると、少し後ろにもうひとつ、栞が挟まっていた。よく見ると、そのページの直前までは、読んだ記憶があるのである。 そう、間抜けな話で、出版社が挟んだものと、書店が挟んだもの、二枚の栞が挟まっていることに、気がつかなかっただけなのだ。 前日、家に帰って読み始めるときに、栞が二枚あることに気がつかず、本当なら前の方に挟んであった栞の位置から読み始めなければいけなかったのに、後の方の栞の位置から読み始めてしまっていたのだ。そして今日は、後ろの栞に気づかずに、前の栞から読み始めてしまった、と。 いや、確かに間抜けな話だけど、最初はマジでビビッたんだってばよ。 |
2005.06.25(追記)
いやぁ、間抜けなことをしてしまいました。 いや、栞の件じゃなく。今回のエッセイのようなモノを書いているときに、本のタイトルが思い出せなかったんですよ。で、とりあえず適当なこと書いて、あとでちゃんと調べて書き直そう、と。筆が進んでるときには、調べ物でペースが狂うのはイヤですからねぇ。 ところが、書き終わったあとに、調べるの忘れちゃったんですよ。ってことは、書き直すのも忘れてた、と。で、そのまま公開しちゃったわけですね。推敲ぐらいちゃんとしろっての(笑) 最初に公開してから約12時間。この文章が読める状態のときには、すでに修正されちゃってますんで、ミス版を読めた人はラッキーだったかも(笑) |
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