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[ エッセイのようなモノ ]
消えますよ

2005.12.18

 ということで、ここでもうひとつ、欲しい文房具をあげてしまう。  
 実は去年、コンピュータ関係の、とある資格試験を受けなければならなくなった。いやまあ別に、強制されたわけじゃないんだが。久しぶりに勉強などというものをした気がする。確か、最後にまともに勉強をしたのは、小学校低学年のころだから……  
 なにしろ、もう何年も「意識して、ものを覚える」ということをしていなかったから、覚え方というのを忘れちゃって。忘れ方なら覚えてるようなんだが。  
 本当なら、仕事をしていても、覚えなきゃいけないことというのは、いくつも出てくる。だが、仕事の場合、たとえ忘れちゃっても、通常は調べればすぐに解決する。だから、無理して覚えようとはしない。何度もやっているうちに、なんとなく覚えてしまう、というのが普段の生活での記憶のパターンだ。  
 ところが、試験勉強ともなると、そうもいかない。はっきりいって、片っ端から覚えていかなくてはならない。試験勉強の基本は、やはり覚えることだろう。  
 なんでも、人間の記憶というのは「なんとか記憶」と「かんとか記憶」があるとかないとかで、それを海馬だか頓馬だか河馬だか海豚だか河豚だかがどうのこうので、シナプスだかシナモンだかシナチクだかが、なんたらかんたらだそうなので(ほら、覚えてない)、それを考えるだけでも、記憶というのがいかに難しいかがわかるだろう(これじゃ、わかんねぇって)。  
 当然のことながら、わたしは昔から、暗記と努力というやつが大の苦手で、勉強というやつにはずっと苦労し続けている。  
 で、やっと本題。  
 どんな文房具が欲しいかというと、まあ平たくいえば、暗記ペンという感じの商品。  
 すでにあるといえばあるのだが、今出ている商品は、暗記したい文字の上を赤いマーカーで塗り、その上に緑のシートを乗せると、マーカーで塗った部分が真っ黒になって、文字が読めなくなる、というものだ。あるいは、赤い字で書いた上に赤いシートを乗せると、字そのものが見えなくなる、という感じ。もちろん、マーカーや文字の色とシートの色は、赤と緑が逆転しても結果は同じになる。  
 これの面倒なところは、暗記するときには、教科書だの参考書だのノートだのの上にシートを乗せ、内容を確認したいときにはシートをずらさなければいけない、ということ。  
 たとえば、一行ずつずらせば済むような記述内容なら問題はないのだが、一行に二、三箇所、暗記するべき部分があった場合、確認するのが微妙に難しくなる。まとめて覚えればいいじゃん、というのは承知の上。でも、世の中そう思い通りにはいかないものだ。  
 しかも、シートは常に持っていなければならない、あたりまえだが。まあそれは、教科書だの参考書だのノートだのに、しおり代わりに挟んでおけば良いので、文句を言うつもりはない。とにかく、わたしの不満は、シートをずらしすぎちゃったりすることが、しょっちゅうある、ということ。みなさんはそういうことはないのだろうか?  
 そこで、わたしが欲しい商品の登場となる。  
 これは、まずマーカーAで文字の上をなぞると、黒もしくは白で文字そのものをしっかりと消してしまう。で、マーカーBでその上をなぞると、Aのマーキングの痕跡が消えて、その下の文字が見えるようになる、というもの。マーカーBの効力は、しばらくするとなくなるので、やがてマーカーAでなぞった文字は、また見えなくなる。  
 で、可能であれば、マーカーA自体の効力は、半年とか一年たつとなくなり、元の状態に戻ってしまう、という感じだとうれしい。もしくは、マーカーCでなぞれば、マーカーAの効力が完全になくなる、という感じでも良いのだが、自然に消えてくれた方が、使い勝手は良いと思う。そうすれば、いつかはマーキングしていない元の状態に戻ってくれるわけだ。仮にマーカーBをなくしちゃっても、困ることはない。  
 このマーカーを使って暗記をする場合、通常はマーカーBだけあれば問題ない。事前にマーカーAで消してある部分で、覚えていなかったところだけ、確認のためにマーカーBで見えるようにすれば良いのだから。  
 一本のペンの頭とお尻に、マーカーAとマーカーBがついていれば、なお良い。  
 この商品が実在するかどうかはわからない。もし既に存在していて、詳細をご存知の方がいらっしゃったら、是非ご一報いただきたい。  
 もしくは、文具メーカーの開発担当の方で「うちで作ってやろう」という方がいらっしゃいましたら、アイデア料として商品送ってくれれば文句はいいませんので、ぜひ作ってください。売れると思うんだがなぁ……  
 試験の結果? 聞くな!  



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