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[ エッセイのようなモノ ]
アナグラム

2005.12.27

 アナグラムという言葉遊びがある。  
 穴倉にこもって何かするわけではない。わかってる? こりゃまた失礼しました。  
 ある言葉に使われている文字を入れ替えて、別の言葉にしてしまう、という遊びだ。元の言葉に使われている文字は、すべて使わなくてはいけないし、元の言葉にない文字を足してもいけない。正式なルールがどうなのかは知らないが、句読点だの疑問符だのを、入れたりはずしたりするのはOK(だと思う)。  
 イギリスあたりではかなりポピュラーな遊びのようで、たとえばハリー・ポッター・シリーズに出てくる「名前を言ってはいけないあの人」の名前は、本人がアナグラムで作成していた。あるいは、ドラキュラ伯爵の別名アルカードも、アナグラムだったはずだ。もちろん、英語でアナグラムをやるときには、アルファベットのレベルでばらすが、日本語の場合にはカナにばらしてやる。  
 有名なところでは、「郷ひろみ(ごうひろみ)」を「ごみ拾う(ごみひろう)」にするとか、「松井秀喜(まついひでき)」を「暇できつい(ひまできつい)」にするなどがある。  
 最近では、テレビのクイズ番組なんぞで、これを問題にしていることがあったりする。変換後の言葉から、元になる人名を当てろ、というやつだ。  
 もちろん、通常の言葉遊びとしてのアナグラムの場合、元になる言葉は人の名前である必要はなくて「大化の改新(たいかのかいしん)」を「硬いイカの芯(かたいいかのしん)」にするとか、「今、品川駅(いましながわえき)」を「まわし着替えない(まわしきがえない)」にしてもいい。  
 「硬いイカの芯」ってなんだよとか「まわし着替えない」ってどういう状況だよ、などと突っ込み入れたりしないように。通常は、入れ替えた結果できる言葉は、かなり意味不明であることが多いのだから。むしろ、まともな言葉になることの方が、珍しいかもしれない。  
 また、場合によっては、ひとつの元ネタから、ふたつ以上の変換結果が出てくることもあるだろう。「松井秀喜」からは「ま、引き継いで(まひきついで)」というのも作れる。無理やり作れば「いつまで引き?」なんてぇのも作れるが、ここまでくるともう、無理やり以外のなにものでもない。  
 暇があるようなら、ひとつの元ネタから、いくつ作り出せるか、がんばってみるのも面白いかもしれない。  
 ただし、アナグラムの難しいのは、元になる言葉の選び方で、選んだ言葉によっては、どういじってみても、他の言葉にはならないこともある。特に、あまり短い単語だと、並べ替えようがない。「たこ」を並べ替えるったって「こた」にしかならない。最低三文字は必要だろうが、三文字でもまだきついような気がする。  
 だからといって、やたらと長い言葉を入れ替えようとするのも、かなりきつい。  
 もちろんきついが、やってやれないこともないだろう。暇と根気が豊富にあれば、おそらくはなんとかなる。どこまで長い文章を入れ替えることができるかに挑戦すれば、かなり頭も良くなるかもしれない。ならないかもしれない。わたしは知らない。  
 基本的には、まず自分の名前からやってみるのが、妥当なところだろう。もし自分の名前ではうまくいかない場合には、まわりの人間の名前でやってみる。  
 嫌いな相手の名前で、できるだけ変な文章を作ろうとしたら、却ってきれいなのができちゃったり、好きな相手の名前で、やたらおもしろいのができちゃって、それを相手に教えたばっかりに、ふられちゃったりして。そこまで深読みしなくてもいいか。  
 ちなみに「マックライド」でやると「暗い窓っ」というのができる。最後の「っ」が何なのか、聞かないように。「くっらい窓」にしてもいいか。あと、「マイ・ドラック」というのもできるな。こっちの方が、ちょいとましか。正しくは「ドラッグ」なんだが(笑)  
 なお、今回の「エッセイのようなモノ」は、前回の文章の、完全なアナグラムになっている。前回の文章をすべてカナになおして組みなおすと、今回の文章になるのである。もちろん、句読点やかっこ、記号なんぞは除外する。  
 実は前回の文章は、半年近く前に書きあがっていたのである。それを今回のネタに使おうと考え、どうせ公開するなら立て続けの方が良いだろう、と考えていたら、文章組みなおすのに半年かかっちゃったのである。  
 てなことを言うと、中には信じちゃう人がいたりするかもしれないが、もちろん、嘘ですので、念のため。  



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