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[ エッセイのようなモノ ]
書き味抜群

2006.01.30

 ご存知の方はご存知だと思うが、シャープペンシルという名称は、日本でしか通用しない。英語ではメカニカルペンシルと言う。  
 でまた、このシャープというのが「鋭い」という意味だから、「シャープペンシル」で「いつも尖った鉛筆」だと思っている人もいるらしいのだが、この製品、シャープという会社が開発したからシャープペンシルというのだそうだ。文具メーカーが開発したのではない、というところが面白い。おそらく、文具メーカーの発想になると、削る必要がなく、減っていかない鉛筆というのは、鉛筆だの鉛筆削りだのの売上が落ちてしまうので、発想として出てこなかったのだろう。というのは、わたしの勝手な想像だが。  
 このシャープペンシル、略したときにシャーペンと略す人と、シャープと略す人がいるらしい。ちなみに、マクドナルドはマックと略す人とマクドと略す人がいる。これは概ね、地方による違いらしい。  
 それに比べて、携帯電話はほとんどみんながケータイと略す。ケーデンと呼んでいる人に会ったことはない。最近は家の電話は家電と呼ぶらしいが、それはまた別のはなし。最近の略語は、地方によって大きく違う、ということがあまりないようだ。  
 それはおそらく、情報伝播の速度の問題だろう。  
 つまり、かつては各地方(小集団といってもいい)ごとに発生していた略語が、今はテレビだのラジオだの雑誌だの、まあメインはネットだろうが、そういったもので地方色がなくなってきた、ということにもなるのかもしれない。  
 そういえば、以前知り合ったばかりの女の子に「出身どこ?」と聞いたら「東京」と言われて、わたしはまったく疑いもしなかった。普通に喋っている分には、疑う理由がなかったからだ。ところが、後になって、彼女が青森出身だということがわかって驚いた。確かに、地元の友達だの家族だのと喋っていると、微妙に変わってきたりする。最近は、そういう番組もあったり、方言が流行っていたりするのだそうだ。わたしは、横浜生まれの横浜育ちなので、方言なんか出ないのが、くやしいじゃん。  
 いや、今回は方言の話ではない。テーマは筆記具。まあ、年頭にも書いたとおり、テーマはあってないようなものなのだが。  
 高校のころには、0.3ミリという細さのシャーペンを愛用していた。しかも、当時8ミリ罫という罫線のノート(正確にはルーズリーフのリフィルだが)があって、8ミリ罫とはいっても、罫の間に薄く線が引いてあって、4ミリ罫としても使えたので、4ミリ罫として使っていた。つまり、すっげぇ小さい字を書いていたのである。  
 それが何の役に立つか、というと、なんとなく字が上手に見えるような気がする、というだけの、ほとんど何の役にも立たない理由だったのだが。  
 その後、0.3ミリのシャーペンでは、紙に引っかかりやすかったり、芯が折れやすかったりしたので、0.4ミリのシャーペンに移行していった。ただ、当時は0.4ミリのシャーペンなんぞ、めったに売っていなくて、製図用のシャーペンを使用していたのだ。最近は、0.4ミリのシャーペンも、かなり市民権を得ているようである。  
 で、かなり長期に渡って0.4ミリのシャーペンを愛用していたのだが、現在ではほとんど使用しなくなってしまった。理由は簡単、字を書くことがほとんどなくなってしまったから。そのうえ、字を書くときは、ボールペンを使用することが多くなった。  
 なぜシャーペンからボールペンに移行したのか、今となっては記憶がはっきりしない。おそらく「なんとなく」である。あるいは、0.4ミリのシャーペンが市民権を得てしまったからかもしれない。へそ曲がりのわたしとしては、なるべく他人が使っていないものを使いたいのである。  
 そういう意味で、今密かに画策しているのが、普段のメモに筆ペンを使おうか、ということ。普通、そんなことする奴はいない。だから、やってみようか、と思うのだが、考えてみると、それはそれでは中途半端な気もする。いっそのこと、筆と矢立を使ってみようか、とも考えているのだが、いかがなものだろう。  
 問題は、今矢立を売っているかどうか。たぶん、どこかに売ってはいると思うのだが、わたしに使いこなせるかどうかも問題。残る問題は、読者のうち何人ぐらいの人が、矢立を理解してくれているか、ということなのだが、わからない人は自分で調べていただきたい。なお「矢立」と書いて「やたて」と読む。  
 念のために書き添えておくが、わたしが実際に矢立を使うことは、おそらくないと思うので、期待はしないように。  



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