縦書きで読む
[ エッセイのようなモノ ]
計算してはいけない

2006.02.26

 ご存知の方もいらっしゃるだろうし、ご存知でない方もいらっしゃるだろうし、ご存知だろうがご存知でなかろうが興味のない方がほとんどだろうと思うが、二月二十五日は祝日である。マックライド・デルスタイン・ゴザイ様の御降誕祭なのである。あいにく、まだ国民の祝日にはなっていない。今後なる予定もない、たぶん。  
 既に当日は過ぎてしまったし、プレゼントの受け付け期間は、当日を含んで前後半年間だけなので、プレゼントを贈ろう、と思っている方は、急いだ方がいい。もちろん、プレゼントを贈っても何の見返りもない。プレゼントとは、本来そういうものだ。  
 何歳になったのかと聞かれても、最近は悲しいことに年のせいか、思い出せないことが多い。思い出せないなら、せめて計算で導き出そう、と思うのだが、計算しようとした場合、自分の生まれた年と今年が何年かというところから始めなければならない。ところが、自分の年齢が思い出せないぐらいだから、自分が生まれたのが何年だったか思い出せなかったり、今年が何年だったかわからなかったりする。そのうえ、もともと計算が苦手ときているので、自分の年がいくつだったか、もうさっぱりわからない。  
 ためしに今、電卓を使って計算してみたら、二十五歳という結果が出た。なんだか少し違うような気もするが、電卓が計算間違いを犯すはずはないので、きっとあっているのだろう。いや、もしかしたらわたしの入力ミスかもしれない。なにしろ計算式が複雑なうえに、緯度だの経度だの、風速、風向、気温、気圧、湿度なんぞも考慮しなくてはいけないので(何の計算をしてるんだ?)、多少の間違いは発生するかもしれない。だとしても、それほど大幅に間違っているとは思えないので、今年はわたしは「ほぼ二十五歳」ということにしておく。  
 石を投げないように。  
 念のためにいっておくが、自分の年齢がわからないのは、あくまでも記憶力と計算力のせいであって、わたし自身が年齢を言いたくないからではない。普通は、ボケて思い出せない、というのをごまかすために、言いたくないんだ、というポーズを取るものかもしれないが、わたしにそんな見栄はない。自分がボケたと思ったら、大手を振ってボケをかます。というより、ボケたフリしていたずらし放題である。まあ、実際にはボケるにはまだ少し時間がかかると思うが。  
 なにしろ、小学生のころから勉強が嫌いで、特に算数だの数学だのは「惨数」とか「数が苦」と呼んでいたぐらいだから、いまだに足し算も引き算もよくわからない。掛け算は手抜きをした、という話は、何回か前に話題にした。  
 数字といえば、以前仕事の打ち合わせを社内でしていたときに、「お客さんから、データの登録可能件数は最大1000件にしてください、といわれたんですが」と、いう話が出たとき、そこにいた数人のSEが一斉に「そりゃまた半端な数字だな」と言ったのを思い出した。  
 普通に考えれば、1000件という数字は半端な数字ではないのだろうが、コンピュータの世界では16進法というのが使われる関係で、10進法でいう1000という数字は半端な数字になる。丁度いいのは1024。一般的には、この方がよっぽど半端だ。これも一種の職業病だろうか。まあ、16進法で丁度いいったって、10進数の1024は16進数に直すと400なんてぇ数字なので、それほど丁度良くはないのだが。ホントに16進法で丁度いい数字となると、10進数に直すと255だの65535だのになる。  
 そういえば、30代のほとんどの間、年齢を聞かれると「20です。ただし、頭に0Xをつけてください」と言っていたのを思い出した。「まるばつ」ではない。「ぜろえっくす」と読む。数字の前にこれをつけると、その後ろの数字は16進法で表記しています、という意味になる。つまり「0X20」は16進法での20であって、10進法に直すと32になる。  
 よその業界では使えないギャグである。まあ、うちの業界でも使っている奴はほとんどいないが。  
 あいにく、今の年齢は16進数にするとアルファベットが入ってしまうので、この手を使うことはできないのだが、あと3年もすれば、また使えるようになるので、それまでの我慢である。という書き方をすると、16進数がわかる方には、わたしの今の年齢がわかるようになっている。わかったからって、賞品も賞金も出ない。  
 しかし、最初の方で「自分の年齢がわからない」といっていたくせに、今の年齢を16進数に直せるというのは、さて、いったいなんででしょう?  



Copyright(c) 1997-2007 Macride
ご意見ご感想は メール 掲示板