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[ 小説のようなモノの書き方 ]
内容を小説っぽくする
ネタの集めかた


 書きたいお話しがもう決まっている場合は、ここは読まなくて結構です。どんなお話しを書こうか決まっていない、という人だけお読みください。また、話しの展開上、「セブン」という映画の結末をばらしています。「セブン」をまだ見ていなくて、これから見ようと思っている方も、読まない方がいいと思います。  
 とはいっても、ネタの集め方を説明するのは、少し難しいんですが....  
 以前、「グレムリン」という映画がありました。普段はぬいぐるみのようにかわいい生き物が、飼育するときの三つの約束をやぶると、恐ろしいモンスター(グレムリン)に変わる、というストーリーの映画です。  
 この映画の脚本家は、この脚本を書いた当時はまったく売れていなかったそうです。安アパートに住んで、こつこつと脚本を買いては、プロデューサーに売り込みに行っていたそうです。  
 ある夜、その脚本家がベッドで寝ていると、ねずみが指をかじったのだそうです。  
 これが、映画「グレムリン」の元ネタになったのだ、ということです。  
 なんでだ? と思われることでしょう。  
 わたしもそう思います。なぜ、ねずみに指をかじられただけで、あの映画の脚本ができたのか、わたしにも謎です。  
 このホームページの「小説のようなもの」の中にある、わたしが書いた「間違い電話」という作品のネタは、その解説にも書いてある通り、現実の間違い電話でした。  
 子供からの「今から行くからね」という間違い電話が、留守番電話に残されていて、わたしがそれを聞いたのは、仕事から帰って来てからですから、夜の九時とか十時でした。そのメッセージを聞いたわたしは、  
 「ホントに来たら、恐いよな」  
 と思いました。それだけです。それだけで、小説のようなものを書いちゃうんですから、いい度胸をしてると思いますが、「グレムリン」の脚本家も似たようなものでしょう。  
 映画を見たり、小説を読んだりしていて、「わたしだったらこうするな」と思うこともあります。  
 お話し作りのネタにはしませんでしたが、わたしだったらこうする、という例をあげてみましょう。  
 「セブン」という映画がありました。  
 キリスト教の教えの中の七つの大罪にのっとって、連続殺人が行われる、というストーリーです。主人公はふたりいて、ひとりは年配の黒人刑事、ひとりは、若い白人の刑事で、この若い刑事の方が、結構怒りっぽい。七つの大罪に「怒る」ことの罪、というのがありますから、これはもう、この刑事も犯人のターゲットになるな、ということは予想がつきます。  
 で、この刑事には奥さんがいて、やがて子供ができたことがわかります。  
 犯人は、この奥さんを殺し、首を切って若い刑事に送り付けます。それをみた若い刑事は、逆上して犯人を撃ち殺してしまう、というエンディングでした。宣伝では、衝撃のラスト、となっていましたが、じつはわたしには、あまり衝撃ではありませんでした。  
 わたしが「セブン」を見たときに思ったことは、  
 「あの、奥さんの首と思われたものは、実は犯人が巧妙に作った偽物で、犯人を射殺したあとに、若い刑事の前に奥さんが現れ、刑事は犯人を射殺してしまったことにショックを受ける、というラストの方がおもしろいんじゃないか」  
 ということでした。  
 これは、エンディングを変えただけですから、お話し作りのネタにはなりませんでしたが、エンディングを変えるために、お話し全体を変える必要も出てきます。そうなればもう、それは自分が作ったオリジナルのお話し、ってことになるでしょう。  
 お話しのネタなんて、そんなもんです。  


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