縦書きで読む
[ 小説のようなモノの書き方 ]
書くための練習のようなモノ
道具は使いこなしてこそ役に立つ

1998.05.05

 ここで言う道具とは、もちろんワープロやパソコンのことです。せっかく便利な道具なんですから、使いこなさなきゃもったいないでしょ。とはいっても、なにもワープロのあらゆる機能を使えるようにしよう、とか、パソコンで表計算ソフトやデータベースを使えるようにしよう、とか言うつもりはありません。まあ、できるにこしたことはないでしょうが、「小説のようなモノ」を書くのには必要ありません。  
 ここで必要なのは、ワープロにしろパソコンにしろ、文章を入力する道具として使いこなすための技術です。  
 早いはなしが、いかにすばやく正確に文章を入力できるようになるか、ということ。ブラインドタッチとか、タッチタイピングとかいう、あれです。ここでは、便宜上タッチタイピングと呼ばせていただきます。最近は、練習用の本やらソフトやら、いろいろと出ているようですから、適当に選んで努力してみてください。  
 わたしは、十年ほど前に一週間ばかりかけて練習したおかげで、文章の入力は、はっきりいって紙とペンを使うよりもキーボードを使った方が早いほどです。ただし、いい加減な性格のせいで、あまりちゃんとした練習をしなかったので、キーボードの一番上の列、数字が並んでいるところは、多少カンニングをしないと入力できません。それから、「シフトキー」を押しながらの入力も、いまひとつ正確ではありません。まあ、そのあたりは通常「小説のようなモノ」を書く場合には使用しませんので、あまり気にすることはないんですが、仕事では思いきり使いますので、結構苦労してます。ということで、これから練習を始めよう、という方は、できればきちんと、練習を最後までやり遂げることをお勧めします。  
 中には、「チャットで鍛えたから大丈夫」と、片手三本指ぐらいでかなり高速に入力のできる方もいらっしゃるでしょうが、三本指でそれだけ早ければ、五本使えば(両手で十本)もっと早くなるはずです。ただ、おかしな癖がついてしまっている場合、正しい指使いに直そうとすると、吐き気がするほどイライラしてくるものです。前の状態の方が絶対に早い! と思いたくもなることでしょう。でも一週間ほど我慢して練習してください。タッチタイピングの練習は、小説のようなモノを書くためばかりのものではありません。まずなによりも、見た目が格好いい。これだけでも充分に練習する価値があるというものです。人によっては、仕事にも役立つでしょうし、もちろんチャットだって速くなります。ボケの防止にも役立つそうですが、天然ボケには効果はないようです。一週間程度の練習で、その後一生役に立つわけですから、こりゃもうやらないよりはやったほうがいいってもんでしょう。  
 さて、タッチタイピングの練習には、「かな入力」と「アルファベット(ローマ字)入力」とがあります。どちらがいいか、という点についてはいろいろな意見があるでしょうが、わたしは断然「ローマ字入力」をお勧めします。  
 まず、基本的にどんな機種のワープロ、パソコンでも使える、という点。これは大きいです。「親指シフト」という特殊な入力方法を推奨している富士通のワープロでも、アルファベットの配置は同じですし、ちゃんとローマ字入力もできます。しかも、ローマ字入力を覚えるということは、当たり前のことですが、アルファベットの入力を覚える、ということですから、ワープロ・パソコンだけでなく、タイプライターだって打てるようになるわけです。まあ、和文タイプは無理でしょうが。  
 もし「カナ入力」だけしか覚えなかった場合、小説のようなモノを書く際に、アルファベットが一切出てこないというのならば別ですが、一文字でもアルファベットが出てきたら、それまで軽快にキーボードの上を踊っていた指がピタリと止まり、「A,A,A。Aはどこだ?」と探し回る羽目になります。それを避けるためには、「カナ入力」と「アルファベット入力」の両方を覚えなければいけません。単純計算で、「カナ入力」は約50、「アルファベット」は26です。合計80近いキーを指先が覚えなければならなくなります。  
 でも、「ローマ字入力」ならば、基本的にアルファベットだけ覚えればいいわけですから、26だけで済みます。もちろん、各種記号や数字の配置も覚える必要はありますが、これは「カナ入力」のときにも同じこと。そう考えれば、「ローマ字入力」の方がお得だってことはわかるでしょう。  
 人によっては、「文字を入力するときに、いちいちローマ字に直して考えるなんてできない」という人もいるでしょう。が、よく考えてください。普通、紙にペンで字を書くときに、「ひらがなの”あ”はこう書いて、ひらがなの”い”はこう書いて」などと考えているでしょうか? ひらがなを覚え始めたばかりの方なら別ですが、そうでなければ、もういちいち字の形なんて考えていないはずです。ローマ字入力だって一緒です。一度指先が覚えてしまえば、頭の中でいちいち変換しなくても、指が勝手に動いてくれます。要は慣れの問題です。  
 ただ、ときどき特殊な文字の入力で困ることがあるかもしれません。たとえば「ぁぃぅぇぉゃゅょっ」などの小さい文字。これは、通常それぞれの前に「L」(大文字小文字の区別はありません、たぶん)を入れることで、入力が可能になります。つまり「ぁ」だったら「la」。「っ」だったら「ltu」です。これは、ワープロの機種によっては「L」ではなく「X」の場合もありますので、ご使用のワープロ、パソコンの説明書を見てください。ほかにも、「でゅ」とか「ぢゅ」なんてぇのもありますが、この手の文字の変換も「dhu」や「dyu」を覚えれば、あとは指が勝手にやってくれます。これも、説明書のどこかに書いてあるはずです。この手の特殊な表記の変換は、最初にすべて覚える必要はないと思います。出てきたところでちょいと調べる。もしくは当たりをつけてやってみる。まずは基本の文字の入力を覚えましょう。  
 ある程度キーボードを見ないで入力ができるようになったら、あとは慣れる努力をしてください。そのうちに、紙にペンで書くよりも、キーボードで入力する方が確実に早くなります。そうなるともう、頭の中にあふれ出てくるイメージを文章にするのも、かなり楽になるってもんです。  


Copyright(c) 1997-2007 Macride
ご意見ご感想は メール 掲示板