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[ 小説のようなモノの書き方 ]
書くための練習のようなモノ
敵を知り己を知れば
 百戦危うからず(らしい)

1998.05.05

 ここで言う敵とは、「小説のようなモノ」のことです。いや、「小説」と言っておいた方がいいでしょうか。自分で書くのは「のようなモノ」だとしても、参考にするのはちゃんとした「小説」の方がいいに決まってます。  
 はっきり言って、一度も小説を読んだことがない人には、たとえ「のようなモノ」だとしても、小説を書くことはできません。本当は、一度や二度読んだだけでは全然足りないのです。たぶん、百や二百でも足りないでしょう。読めば読むほどいいのは当たり前のことです。  
 ただ、なんでもいいから読めばいいか、というと、もちろんそういうわけにはいきません。ひどい作品を山ほど読んで、それがあたりまえだと思ってしまうと、ひどい目に会います。だからといって、「すばらしい!」といわれる作品ばかり読んでも、何がどう「すばらしい」のか、わからなくなってしまいます。もっとも、「ひどい」にしろ「すばらしい」にしろ、何がすばらしくて何がひどいのかは、読んだ人の感性に左右されますから、結局はたくさん読んでその中から自分で「これはすばらしい!」という作品を探し出すしかないんですけどね。  
 そういった事情で、わたしが「これはいいですよ」と薦めるわけにはいきません。もっとも、わたしに薦められたところで、何の信憑性もないんですから、誰も知りたいとは思わないでしょうが(笑)  
 一応、「感想文のようなモノ」なんてぇコーナーもありますが、読んでいただければお分かりの通り、必ずしもいいと思った作品を取り上げているわけでもありませんし、悪いと思った作品だけをやっつけているわけでもありません。場合によっては、誉めながらけなしたり、けなすだけけなしてからちょいと誉めるなんてこともやってます。  
 ついでに言ってしまうと、読んでも「感想文のようなモノ」を書かない場合もあります。その場合でも、ひどすぎるから書かない場合もあり、文句のつけようがなくて書かない場合もあり、なんとなく書かない場合もあり、とさまざまです。  
 なんにしても、いいと思うものも悪いと思うものも、たくさん読んでください。そういう場合でも、ついつい興味のあるジャンルのものばかり読んでしまうものですが、できれば興味のないジャンルの小説にも、多少目を通すようにしておきましょう。どこでどんな役に立つかもしれませんし、それがきっかけで興味が湧いてくるかもしれません。  
 本当は、小説ばかりでなく、小説以外の文章にも慣れ親しんでおく必要があります。いろいろな専門書とか、エッセイやコラムとか。文章の書いてあるものは、かたっぱしから読むのがいいんですが、なかなかそうはいきません。まあ、可能な限り、ということで、できるだけ本を読んでください。小説以外の本から、なんらかのアイデアを得られる場合だってありますから。  
 ただ、ひとついえることとして、できればたくさん読む中でも、好きな作家を見つけてください。で、その人の作品を何度も読んでください。何度も、というのはもちろん、同じ作品を何度も、という意味です。おもしろい作品ならば、結末までわかっていても、何度読んでも面白いはずです。べつに、同じ作品を繰り返し、続けて読み続ける必要はありません。書店に行ってもおもしろそうな本が見つからなかったとき、自分の部屋の本棚から取り出して、もう一度読んでみる、という感じで充分です。  
 同じ作者の同じ作品を何度も読んでいるうちに、その文体が自分のものになってきます。本当は、意識して真似るようにした方が早く身につくのですが、「のようなモノ」を書くのにそこまでする必要はないでしょう。  
 さて、「敵を知り」ってことですので、本当はただ読めばいいというものではありません。ある程度、その作品を分析するようなことをしなければなりません。  
 分析の内容に関しては、いずれ別の章で詳しくやるつもりですので、そちらをご覧ください。  


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