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[ 小説のようなモノの書き方 ]
書くための練習のようなモノ
書くのが苦手な人

2001.01.10

 最近は、E−MAILが市民権を得た関係からか、メールで長い文章を書くことのできる人がだいぶ増えたようです。まあ、携帯電話やPHSを使ったメールの場合には、長いといっても限度があるでしょうが、それでも「文章を書く(入力する)」という意味では、かなりの方が抵抗なく取り組めるようになっているのではないでしょうか。  
 ところが、そういう人でも相変わらず「文章書くのが苦手で」なんて言っていたりするわけです。えらく長いメールを書いたり、掲示板にガシガシ書き込みしているような人が、です。そういう人にとっては、メールや掲示板への書き込みと、「ちゃんとした文章」とは別物なんでしょうねぇ、きっと。  
 どこが違うのかは、実はわたしにはよくわからないのですが。なにしろわたし自身はあまり区別してませんから。「なんでも掲示板」あたりを見ていただくとわかると思いますが、そこにわたしが書いている文章と、この「小説のようなモノの書き方」や「エッセイのようなモノ」にわたしが書いている文章とは、それほど違いはないはずです。ってことはひょっとして、メールや掲示板への書きこみと「ちゃんとした文章」とを区別している人から見ると、わたしの文章って、全部ちゃんとしていないのかもしれませんが。「人に読ませる文章なんだから、もっとちゃんと書けよ」と思われているのかもしれません。でも、それはそれでわたしの文章の特徴、ということもできるでしょう。と逃げておいて。  
 文章を書くのが苦手、といっている人の特徴として、いざ書こうとしたときに構えてしまう、というのがあるようです。「さあ書くぞ」と思ったとたんに、頭になんにも浮かんでこなくなる。「書こう」と思えば思うほど、書くべきことがどんどん消えていく。その結果、「俺にはやっぱり文章なんて書けないんだ」と思ってしまったりするわけです。  
 本来なら、日本語を喋れる人なら誰でも、いや、喋ることができなくても、日本語でものを考えることさえできれば、日本語の文章は書けるはずなんですけどね。まあ、少なくともひらがなぐらいは書けないとまずいでしょうが。少なくともひらがなさえ書ければ、頭に浮かんだことをそのまま文字にすることができるはずです。  
 「そんなこといったって、頭になんにも浮かんでこないんだよ」  
 という方もいるでしょう。でも、誰かと話しをしているときのことを思い出してください。独り言を言っているときでもかまいませんが。普通、よほどのことがない限り、会話を交わしているときに、いちいち「次はこれを言って。あ、むこうがこう言ってきたから、それにはこう答えて」なんて考えていないはずです。いや、実際には頭の中でそういう論理が働いて、その結果として会話を交わしているのかもしれませんが。でも、それも一瞬のことのはずです。  
 まあ、会話を交わしている時だって、一瞬頭が真っ白になって、何も思い浮かばないこともあるでしょうが。それはそんなにしょっちゅうあることではないでしょう。独り言を言っているときや、頭の中で勝手に想像しているときはなおさらです。書くときだって、本当は同じはずです。それがどうして、できなくなってしまうんでしょうねぇ。  
 書きたいことは山ほどあるのに、どう書けばいいかわからない、という場合もあるでしょう。書きたいことは頭の中にあるのに、それが文章にならない。良い文章が思い浮かばない、ということもあるでしょう。そういう場合はまず、「良い文章」という考えを捨てましょう。書くということは、話すのと違って、あとからいくらでも訂正することができるのです。普通に話しができるのならば、それ以上に書くのは楽なはずです。  
 文章にならない、というのも不思議なはなしです。少なくとも、話しをすることができるのならば、それは文章にすることができる、ということのはずですから。  
 じつはすべて、慣れの問題なのです。書くことに慣れる。これが重要なのです。  
 文章を書くのが苦手な人は、とりあえず慣れてください。慣れてしまえばどうってことありません。その第一歩として、硬い文章を書くのも、メールを書くのも違いはないんだ、ということを忘れないようにしてください。話すことと書くことも、それほど違いはないんだ、ということも忘れずに。むしろ、話しをするよりも、書く方が後からいくらでも訂正できる分、楽なんだ、と考えてください。  
 そしてもうひとつ。どうしても文章が頭に浮かんでこない、という人は、まず文章を書くのをやめてみるのもひとつの手かもしれません。おかしな話しかもしれませんが。  
 文章を書くのをやめて、とりあえず文章を「考える」だけにしてみてください。パソコンや原稿用紙やノートを前にせずに、頭の中だけで文章を考えてみてください。たぶん、頭の中で考えた文章は、浮かんでは消え、消えては浮かび、最初のうちは取り留めのないものになってしまうでしょう。同じ文章のつもりでもどこか違っていたり、違う文章を考えているつもりでも、同じになってしまったり。そんな状態になるでしょう。最初のうちは、それで問題ありません。そうやって、色々な文章を頭に思い浮かべてみてください。そうやって、話しをするのと同じように、文章を考える、ということに頭を慣れさせてやってください。  
 これは別に、わざわざ机に向かってやる必要はありません。電車の中とか、歩いている最中とか、退屈な会議の最中とか。まあ、ぼんやりしていて怒られたり、事故にあったりしても、わたしは責任を負いかねますが。  
 まあ、何事も無理せず、のんびりと。文章なんぞ書けなくたって、それでいきなり死んじゃうことはありませんから。  


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