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[ 小説のようなモノの書き方 ]
名前をつける
登場人物の名前

99.09.30

 これはもう、名前に見えればなんだっていいんですが。一口に名前といっても、日本人以外の登場人物や、地球外生命体なんかの名前もつけなければならない場合も出てくるかもしれません。すべての登場人物が人間じゃない可能性もありますし。  
 そうなると、例のあげようがないんで、とりあえず、日本人の名前をつけることを前提にはなしを進めさせていただきます。  
 よく聞く方法で、電話帳から適当にひっぱってくる、なんてぇやり方があります。電話帳のかわりに、人名辞典のようなものを使う場合もあるでしょう。あとは、有名人や友人知人の名前を借用するとか。  
 有名人や友人知人の名前を借りる場合には、その登場人物の外見や性格も、本人のそれに近いものなることが多いでしょう。というよりも、そうでなかったら、借りてくる意味がないんですが。その場合は、名誉毀損で訴えられないように気をつけてください。  
 名前をつける場合に気を付けたいのが、主要人物とその他大勢の名前のつけかたの違いについてです。実際は、これにも特にルールはないのですが、できれば、主要人物には印象的な名前を、そうでない登場人物にはそれなりの名前をつけるようにしましょう。主要人物の名前が印象の薄いもので、ほんのチョイ役の名前が印象的だったりすると、読者が混乱に陥ることがありますから。  
 印象的な名前ったって、あまりに珍しすぎる名前も考えものです。  
 もちろん、珍しい苗字をつけるのがいけない、というわけではありません。ポイントは、見た瞬間に名前に見えるかどうかです。実在する苗字だとしても、「祁答院」なんてぇ、あまりなじみのない苗字をつけちゃうと、変なはなしですが、リアリティに欠けることになります。ちなみに「祁答院」は「けどういん」と読んで、九州の方にある苗字だそうです。  
 逆に存在しない苗字でも、いかにもありそうな感じを読者に与えることができれば、それはそれで成功なわけです。  
 読みにくい名前というのも考えものです。一時有名になった「サカキバラ」だって、「酒鬼薔薇」なんて書くと、どう読んでいいのかわかりませんし、どう見ても苗字には見えません。素直に「榊原」としてあげましょう。「祁答院」にしても、最初は何と読めばいいのかわからないでしょう。  
 ただ、このような場合には、あまりに印象的なために、読者には覚えやすいという利点もあります。困るのが、いろいろな読み方のできる名前の場合です。  
 たとえば「立川」と書いてある場合、これを「たちかわ」と読むか「たてかわ」と読むか。どっちでもいいといえばいえますが、できればちゃんと読んでもらいたいものですから、そういった名前は、主要人物にはつけない方が無難かもしれません。  
 印象的な名前という意味では、日本を代表する名探偵の名前というのは、印象的なものが多いようです。  
 どこかで読むか聞いたかしたはなしなのですが、印象的な名前をつける場合、苗字と名前の両方を派手にしてはいけないのだそうです。つまり、苗字が珍しいものならば、名前はポピュラーなものや野暮ったい感じのものに、名前を派手にするならば、苗字は地味に、というのが手法のようです。  
 あとは、できれば登場人物の性格にみあった名前をつけた方がいい、というのがあります。  
 「伊集院 光」という名前で、現実には太ったタレントを思い出すでしょうが、字面だけ見た限りでは、細身のイメージがあります。「鬼瓦権三」という名前だと、いかついイメージになります。  
 もちろん、それを逆手にとって、いかつい名前のやさ男にしてもいいわけですが、意味もなくそれをやると、読者から突っ込まれる恐れがありますので、気をつけた方がいいでしょう。  


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