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[ 小説のようなモノの書き方 ]
有名な作品のパクり方
他の話しを混ぜてみる
次のステップはない>

2001.06.03

 さて、「シンデレラ」をベースにした骨格を単純にあらわすと、「辛い目にあっている主人公が逆境を跳ね返す、サクセス・ストーリー」ということになります。単純でわかりやすいですねぇ。もちろん、もう少し詳しく書けば「骨組みをそのまま使う」で説明しているような形になります。  
 ただ、これだけでは少々さみしい。わたしはさみしいと思っちゃうんです。もうちょっと複雑でもいいんじゃないか、と。  
 そこで、この骨格に他のお話しを混ぜてみましょう。というか、おそらくそういうことをする場合、「他のお話し」の方がメインになるような気がします。「シンデレラ」のこの骨格は、基本的にはお話しの骨格というよりも、どんなお話しにも通用する、主人公の動機付けのようなものですから。  
 で、どんなお話しを混ぜてみるか、ということですが。これはもう、どんなお話しでもかまいません。ただ、あまり同じような内容のお話しには、しない方が良いかもしれません。そりゃもちろん「シンデレラ」と「白雪姫」を混ぜたって、わたしが文句を言う筋合いのことではありませんけど。ためしにちょいとやってみましょうか。  
 
 ある国に、とても美しい、白デレラというお姫様がいました。ところが、彼女の継母は白デレラをいじめて、召使のように扱っていました。あるとき、隣国のお城で舞踏会があるという知らせがありましたが、継母のお妃は、白デレラを舞踏会に参加させるつもりはありませんでした。なぜならば、お妃が魔法の鏡に聞いたところ、世界で一番美しいのは白デレラで、白デレラが舞踏会に出たら、その姿を見た隣国の王子がたちまちほれ込んでしまうことがわかっていたからです。  
 舞踏会の当日、白デレラは城で留守番をさせられていました。そこに魔法使いが現れます。魔法使いは白デレラに、隣国の舞踏会に行かれるようにしてあげよう、といいました。実はこの魔法使いこそ、お妃だったのですが、実はお妃は、白デレラをだまして、森に置き去りにしてしまうつもりだったのです。  
 (中略)  
 隣国の王子様は、白デレラの残したガラスの靴を持って森の中をさまよっていました。すると、森の奥から悲しげなすすり泣きが聞こえてくるではありませんか。行って見ると、七人の小人が、美しいお姫様の亡骸を囲んで泣いているではありませんか。しかもそのお姫様は裸足でした。隣国の王子が試しにガラスの靴を履かせてみると……  
 
 まだ続けても良いのですが、このあたりでやめておきましょうか。こうやって書いてみると、意外とおもしろそうな気もしてきましたが(笑)。でも、どうせ混ぜるなら、異質なものを混ぜた方がおもしろい、というのは、世の中の常識でしょう。って、ホントに常識かどうかは知りませんが。  
 たとえば、「シンデレラ」と「桃太郎」を混ぜてみるとか。「シンデレラ」と「浦島太郎」を混ぜるとか。「シンデレラ」に「鶴の恩返し」を入れてみるとか。いや、べつに昔話じゃなきゃいけないわけでもありません。選ぶ素材はなんでもかまいません。混ぜるお話しも、なにも二つだけに限らなくてもかまいません。三つ四つ混ぜても良いのです。ただ、あまりたくさん混ぜてしまうと、何がなんだかわからなくなってしまいますから、まあ、多くて三つ。できれば二つぐらいでやめておいた方が良いでしょう。  
 どう混ぜるかは、みなさんの自由です。全体のストーリーは「シンデレラ」をベースにして、お城に行く途中に「桃太郎」を混ぜてみるとか(どうやってやるのか、わたしは知りませんが(笑))。  
 あるいは、浦島太郎が竜宮城で見たものは、継母にいじめられる乙姫の姿で、帰りにもらった玉手箱の中には、再会を約束した乙姫が入れた、ガラスの靴が片方入っていて、太郎は乙姫を探す旅に出たのでした、なんてぇ展開にしてみるのもおもしろいかもしれません。その先で、乙姫様を探す太郎が、旅の途中で犬だの猿だの雉だのに会って、鬼が島に鬼を退治しに行くことになったり、退治したはずの鬼の一匹が、切られた腕を取り戻しに来たり、その鬼まで仲間に引き入れて、乙姫が天竺にいると聞いてそこを目指してみたり、やっと出会った乙姫だと思って、ガラスの靴を履かせてみたら、サイズが全くあわなくて、別人だったのかと思ったら、年月が経ちすぎて乙姫も中年太りになっていたりとか……  
 
 こうなってしまうと、ただ単に昔話をいくつも繋げただけ、ということになってしまいますが。限度をわきまえないと、変なお話しになってしまうでしょうが、そこはそれ、書いてる本人が楽しければそれでよし、と。  


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