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1998.02.18
今更紹介の必要はないでしょうが、第54回ベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した、北野武監督の作品です。ちなみに、主演はビートたけしです。ってわけわかんないですが(笑)
実はわたしは、この監督の作品を見るのはこれがはじめてなんですが、なんで今まで他の作品を見なかったかというと、これがもう、なんとなくとしか言えないんですけどね。まあ、そういった事情で、この監督の他の作品との比較はできませんのであしからず。
それと、いつものことですが、今公開中の作品にもかかわらず、平気でネタをばらしますので、これから見ようという方はこの文章は読まない方がいいかもしれません。まあ、場合によっては、読んでから見に行けば、「おお、ここがあのシーンか」ってな感じで一層楽しめるかもしれませんが、それはどっちとも言えませんので自分で責任取ってください。
さて、物語のあらすじは、まあ、どっかで見てもらうとして(笑)
お話しは全体的に淡々と進みます。暴力シーンでさえ、比較的淡々としてます。それが逆に、全体を通してひとつの雰囲気を作り上げていて、さすがという感じです。
ただ、前半、過去と現在が交錯しますので、少しわかりにくいシーンがあります。時間的に、どれが一番古くてどれが現在のことなのか、よく見てればわかるんですが、ちょっとぼんやりしてると、「あれ?」ってなことになってしまいます。それはそれで緊張できていいんですけどね。
さすがに賞を取った作品だけあって、全体的に文句をつける場所は少ないんですが、それじゃあわたしの「感想文のようなモノ」らしくありませんから、ちゃんと文句はつけます。
まず、ヤクザの金貸しの所にいる殺し屋みたいな人(ボディガード?)なんですが、もう少し何かするのかと思ったら、なんにもしないで殺されちゃうのは、ちょっと残念です。主人公が金借りに行ったときと、そのあと他の男が返済できないと言いに来たときのシチュエーションを同じような感じにしてるわりには、いまひとつその対比がはっきりしないし。
それから、旅をしている主人公夫婦のところに、刑事よりも先にヤクザがたどり着いてしまうってのは、よくわかりません。どこかに、彼らが情報を得てるシーンかなんかがあればわかるんですけどねぇ。刑事の方にはそれ(車椅子にぶら下がったお守りを見せるシーン)があったのに、ヤクザの方にはそれがないから、現れるのがなんだか唐突で。
あと、わたしの理解不足かもしれないんですが、マンションの前のエピソードで、三輪車の方はなんとなくわかるんだけど、靴が落ちているエピソードの方は、どうもよくわかりませんでした。誰か教えてください。
銀行強盗も、あんなに簡単にできちゃうもん? って感じで。奥に引っ込んだ女子行員が、なんでその時点で通報しないのか、すごく謎です。手に入れた金を何個所かに送るんだけど、銀行から持ってった金、そんなにあったかい? って感じもしましたし。
ラストのエンドロールが、最近ありがちな横書きのものが上に流れて行くパターンでなく、縦書きだったのが、昔の日本映画っぽくてうれしかったんですが、最後の銃声は、エンドロール前ではなく、エンドロール終了後に入れてほしかったなぁ。それまでの雰囲気で銃声が入るだろうってことはわかるんだから、銃声入れずにエンドロール出しちゃって、見てる方に「あれ? 銃声は?」と思わせるのもひとつの手だったんじゃないか、と。わたしが見た劇場では(入りが少なかったせいもあるかもしれないけど)、エンドロールが始まって席を立った人はほとんどいませんでしたから。
まあ何がなんでも劇場で、ってことはないでしょうが、できれば劇場で見た方がいいでしょう。もしビデオで見るとしても、部屋を暗くして、集中して見るようにしましょう。わたしとしてはお薦め。
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