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[ 映画の感想文のようなモノ ]
映画「ピース・メーカー」

1998.02.27

 ジョージ・クルーニーとニコール・キッドマン主演のアクション映画です。  
 ジョージ・クルーニーといえば、最近では「バットマン&ロビン」でバットマンの役をやってましたが、わたしはあの映画のせいで、ジョージ・クルーニーには良い印象を持っていませんでした。  
 いや、「バットマン&ロビン」が映画として悪い、という意味ではありません。まあ、サブタイトルに「Mr.フリーズの逆襲」なんてのをつけていたし、そのMr.フリーズにアーノルド・シュワルツェネッガー(いつも思うけどこの名前、入力するの面倒だなぁ)にやらせたうえに、ポスターやプログラムも、Mr.フリーズが前面に出てて、誰が主役かわかりませんでしたが(エンドロールなんかでも、シュワルツェネッガーが最初に出てくる)、ひどい映画じゃぁありません。もともとバットマンシリーズは、画面は暗いし、展開も暗いけど、基本は「暗く作ったコメディ」ですから(笑)  
 だから、「バットマン&ロビン」という映画のせいでジョージ・クルーニーに悪印象を持ったというよりも、バットマンをやったジョージ・クルーニーに納得がいかなかった、と言うべきでしょうか。いや。もう少し正確にいえば、「ジョージ・クルーニーにバットマンは似合わない」かな? それも少し違うな。バットマンは、どうせマスクで顔隠しちゃうんだから、誰がやっても同じです。  
 ブルース・ウェイン役が、ジョージ・クルーニーに合わなかったんだな。もちろん、これはわたしの好みですけど。  
 知らない人のために一応書いておくと、ブルース・ウェインというのは、バットマンの普段の姿。ウルトラマンでいえばハヤタ隊員、ウルトラセブンでいえばモロボシダン、仮面ライダーなら本郷猛ってことですね。  
 で、このブルース・ウェインというのが、子供の時に両親を目の前で殺された過去を持っていて、執事に育てられた(この執事のアルフレッドがいいんだ、また)という男なんですよ。で、現在は大金持というか、巨大企業のオーナーをしているわけですね。だから、金持ちである、という顔と、暗い過去を持っているという顔と、二つの顔をもっているんです。あ、あくまでも、ブルース・ウェインとしての顔ね、バットマンは除く。しかもこれは、映画シリーズでの設定で、昔のテレビシリーズの設定がどうだったかとか、原作のマンガの設定がどうなっているのかとかは、わたしは知りません。で、ジョージ・クルーニーの顔って、どう見ても金持ちの顔じゃないんですよ(笑)  
 まあ、苦労してそうな顔はしてるんですが、金持ちっぽくない。細かいこと言わなければ、ジョージ・クルーニーでも別に問題はないんですけどね。それでも、なんだか違うような気がして。個人的には、一作目と二作目でブルース・ウェインをやったマイケル・キートンの方が好きなんですが。それはそれで、色々な意見もあるんですが・・・・  
 しまった、これ、「バットマン」の話しじゃなくて、「ピース・メーカー」の話しだよな。  
 「ピース・メーカー」というと、わたしのようにかつて西部劇大好き少年で、しかもモデルガンで遊んだ経験なんぞを持っていると、どうしても拳銃の方に頭が行っちゃうんですけどね。  
 西部劇でガンマンが腰にぶら下げている拳銃。あれはほとんどがコルト社で作ったピース・メーカーという銃なんですよ。あ、南北戦争のころに使ってたのは、どうだったか忘れましたが、多分違うでしょう。詳しいかた、ご一報ください。  
 形としては、銃の主要な部分に、シリンダーと呼ばれる、レンコンみたいな形をしたものがあって、それが回るようなやつ、と思っていただければ。似たような形の銃としては、まあ次元大介が持っているような感じの銃、ってとこですか。ほんとは違うんだけど。  
 で、あの手の銃というのは、弾丸を撃った後に、空薬莢というのが残ってまして。その手の銃をリボルバー、空薬莢を自動的に排出してくれる銃(「リーサル・ウェポン」という映画でメル・ギブソンが使ってるのがその手の銃です)をオートマチックと、一般的には言うんです。で、オートマチックに関しては、ここでは関係ないので、説明は省きますが、リボルバーの銃というのは、弾丸を詰めるときには、空薬莢が残っているので、それを一度捨ててから、新しい弾丸を詰めなければならない。  
 南北戦争のころの拳銃というと、弾丸を入れる時には、あのレンコンみたいな形した部分が、銃身ごとパカッとこう、前に倒れるような感じになるんです。で、空薬莢をまとめてザッと捨てて、新しい弾丸をせっせと詰める。次元大介が持っているような銃、あれは、シリンダーが横にカシャッと出てくる。で、残ってる空薬莢をザッと捨てて、新しい弾丸をせっせと詰めるか、クイック・ローダーという道具を使って、まとめてガシャッと詰める。まあ、最近のはほとんどこういう感じですね。  
 ところが、コルトのピース・メーカーは、レンコン部分は前にも倒れなければ、横に外れもしないんですね。  
 じゃあどうやって弾丸を詰めるか、というと、シリンダーの後部のカバーにあたる部分の一部がカシャッと開いて、そこから空薬莢を一発ずつ抜いて、次に弾丸を一発ずつ詰めなきゃいかんと。つまり、弾丸を詰め込むという点では、他の二種類とそれほど変わりはないんですが、空薬莢を捨てるのが、かなり面倒なんですよ。かなり昔に、「荒野の少年イサム」というマンガがありまして、これで弾丸をいかに早く詰め変えるか、という練習をするシーンがあって・・・・  
 いかん、映画「ピース・メーカー」の話しだったな。  
 さて、この映画のジョージ・クルーニーは、いいです。なんだか、とっても似合ってます。粗野な感じと、叩き上げ! って感じと、切れ者って感じが良く出てます。まあ、筋の上では、あんまり切れ者らしさとかは出てないんですが。  
 ストーリーは、旧ソ連の核ミサイルを解体するために運送している列車が、衝突事故にあいます。が、これは、実は積んであるミサイル(ったって、核弾頭部分だけですが)を盗もうとした奴らが、捜査を遅らせる目的で、一発だけ意図的に爆発させたんですけどね。そうすれば、しばらくの間は事故現場に近づけないから、盗まれたことがわかるまでに時間がかかる、と。  
 でもまあ、すぐに盗まれたことがわかって、ジョージ・クルーニー扮する軍人と、ニコール・キッドマン扮する学者が捜査に乗り出す。  
 まあ話しは、結構よくできていると思います。多少わかりにくい部分もありますが。  
 疑問と言えば、核弾頭を盗んだ連中の一人が、移動中のトラックから降りて歩いて移動をしはじめるんですが、やがて仲間がヘリコプターを用意して待っている場所にたどり着きます。こう書くと、一人で歩いて移動しはじめた奴は、自分の意志で歩き始めたみたいに見えるじゃないですか。でも、映画を見ている限りでは、追手が迫って来たので、他の仲間に気づかれないように、そっと抜け出したように見えるんですよ。もちろん、その一人以外は、みんな追手にやられちゃいます。こうなると、歩いて移動したのは、予定の行動じゃぁないはずなんだけど、そのへんの説明はありません。予定の行動だったのかそうではなかったのかすらわかりません。待っていた方は、まるでそいつが歩いてくるのがわかっていたようなそぶりでした。  
 それと、ラスト付近。犯人が教会に逃げ込むんですが、その時点で追いかけている方は、犯人を見失っています。それなのに、教会から聖歌隊の歌声が聞こえて来ると、「こっちだ!」みたいに教会に向かって走っていくのは、なんでかなぁ、と。  
 あと、最初に爆発した核の影響については、最初の方で「この爆発による被害については、まだ発表はありません」てな感じのニュースがちょいと出て来たあとは、「北欧あたりまで被害が広がる見込みです」てな続報が出るだけで、結局どれほどの被害があって、今後の影響はどうなのか、ということには一切触れていません。  
 一方では、盗まれた核の恐怖を描いておきながら、一方ではすでに爆発してしまった核の恐怖についてはほとんど触れない、という、まあアメリカ映画ならずとも、よくあるパターンなんですけどね。  
 そういう点を差し引いても、まあまあ面白い作品ではないか、と。  
 あわてて劇場に行く必要はないでしょうが、レンタルビデオ屋で見つけたら、ちょいと借りてみても損はないでしょう。  
 そういえば、劇場でプログラム買おうと思ったら売り切れていた。ビデオと違って、まき戻したり止めたりできないんだから、ちょっと辛いぞ。  
 そうそう、一個所だけ、ストーリー部分じゃないんだけど、誉めておきましょう。  
 盗まれた核を積んだトラックを、監視衛星で発見して出動するシーンで、格納庫の入り口付近で喋っているのを、格納庫の中から撮影しているところがありました。つまり、画面上は逆光になって、かなり画面が白い。で、ここに普通に字幕を入れると、読みにくくなっちゃうんですが、この映画では、そのへん気をつかってました。どう気をつかっていたかは、見てのお楽しみ。あ、ビデオだと字幕を新たに入れるから、劇場版とは違うかもしれない。気になる人は劇場に見に行きましょう(笑)  


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