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映画「髑髏城の七人」 監督:いのうえひでのり 主演:古田新太/水野美紀 |
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2004.09.27
久しぶりの「感想文のようなモノ」ですが、小説でも映画でもありません。舞台です。とはいっても、生の舞台ではなく、舞台を映像に収めたものなのですが。だからといって、NHKの劇場中継のようなイメージを持つと、良い意味で大きく期待を裏切られることになります。観る前は「劇場中継を金とって見せるのか?」と思っていたのですが、とんでもない。ちゃんと映画してます。場合によっては「こんな映像、劇場のどこからどうやって撮ったんだ?」と思えるような映像もあって、映像スタッフの苦労のほどがうかがわれます。 不思議なことに、観ているうちに、映画を観ている気分と、舞台を観ている気分を、同時に味わうことができてしまうんですね。まあ、そもそも舞台の演出が、映画風になっていたようなのですが。正直いってこの舞台、生で観たかった。十月に市川染五郎主演で同じ舞台をやるのだそうですが、わたしとしては、この古田新太版を生で観たかった。 初演は1990年。次に1997年にやり、7年毎の公演で今度が三回目になるのだそうです。初演のころと比べると、主役の体重が倍以上になっているのではないか、と思うのですが(笑)。にもかかわらずあの身の軽さ。見事なものです。 で、内容なのですが、これがまた。わたしの好きなパターンにかなり近くて。 過去にも何度か書きましたが「プロフェッショナルたちの集団の物語」がわたしは大好きなんですが、今回この作品を観て気がつきました。特に、無理してプロフェッショナルである必要もないのかな、と。ただ、ド素人たちが集まって、ひとつの目的のために血のにじむような努力をしていく話し、っていうのは好きじゃないんです。ある程度の技だの力だの個性だのを持った連中が集まって、多少の冗談を言いながら、最初は反目しあっていても、最後には互いの力量を信頼しあって力を合わせる、こういう話しが、わたしは好きなんです。 そういう意味でこの作品、わたしの好みのツボをピタリと押さえてくれました。 戦国の世。信長が倒れて八年。秀吉の手で天下が統一されようとしている中で、唯一残された荒地、関東に天魔王と名乗る仮面の間人が住む髑髏城と呼ばれる城があった。天魔王の部下たちに追われ「絵図面を出せ」と迫られる沙霧を助けた捨之介と二郎衛門は、色街の主人蘭兵衛のもとを訪れ、やがて極楽太夫や兵庫などを巻き込んで…… といったお話しは、ちょいとドラゴンクエストだのファイナルファンタジーの趣があります。ワクワクドキドキの活劇です。この新感線という劇団は、もともと活劇が好きなのだそうですが、作家も演出家も出演者も、それを楽しんでいるのがよくわかります。 ストーリーはある程度単純です。活劇ですから、それで構わない。でも、きちんと伏線の張ってある部分もあって、例えば捨之介が女には甘いが男には容赦ない、という性格で、女を傷つけるぐらいだったら自分が傷つく方を選ぶ、という設定が、ラスト近くできちんと意味をもって使われます。あと、ギャグの持っていき方も、お約束的なギャグが多いのですが、それもきちんと楽しめる。 舞台の不思議なところは、駄洒落に近いギャグを平気で連発する一方で、シリアスな会話をしたりするところ。もちろん、そうでない舞台もあるのでしょうが、この作品に関しては、ギャグもシリアスもちゃんと作品世界の中に溶け込んでいるんですね。 で、この作品の面白いところは、「髑髏城の七人」というタイトルからもわかる通り、ラストには七人の勇者が髑髏城に乗り込むのですが、その七人が実は当初の予想を一部覆されてしまうところ。新しいキャラクターが出てくるたびに「こいつは七人の一人だな。こいつは違うかな」とか考えながら観ていたのですが、一部「うっそぉ!」という展開があって、とても楽しめました。 それに加えてこの作品、音楽がまたいい。いまだに、頭の中で音楽な鳴り響いてます。サントラ出てねぇかなぁ。 ってか、この作品、映画化されないかなぁ。随所にかなり出てくるギャグを削るか、質を変えて(でないと、映画としてはコメディになっちゃいますから)、音楽もこのままで、充分に映画になると思います。というか、すでに舞台の雰囲気が充分映画してますから、今更映画にする意味はないかもしれませんが。 残念ながら、この映像版の公開も、まもなく終了するようですが、十月以降は東京以外の五都市でも上映するようですから、チャンスがあったら観ることをおすすめします。普通に映画みるよりは高いんですけどね(笑) 最後に文句をひとつ。舞台の最後の挨拶部分は、エンドロールの後に入れてもらいたかった。その方が、最後に拍手しやすいと思うぞ(笑) |
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