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映画「ディープ・インパクト」 |
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1998.07.08
洋物のポルノ映画のようなタイトルですが、残念ながら裸はおろかおっぱいすら出て来ません。 巨大彗星が地球と衝突する! その時人類は! ってな物語ですが、監督がインタビューに答えて言っているように、パニック映画ではなく人間ドラマの形を取っています。その証拠に、パニックのシーンはニュースの報道画面として出てくるのと、ラスト近くになって避難する人たちが出てくるぐらいで、パニックらしいパニックは画面にはほとんど出て来ません。 そのせいかどうか、全体を通して「巨大彗星が地球と衝突する!」という恐怖感や緊迫感のようなものは、ほとんど感じられません。 監督のミミ・レダーは、前作「ピース・メーカー」でもあまり緊迫感を感じさせてくれませんでしたから、ひょっとしたら緊迫させるのが下手なのかもしれません。いや、もしかすると、わたしが鈍感なだけかもしれませんが。 ただ、人間ドラマの部分もよくできているか、というと、それほどでもないような感じで、主要な人物たちが善人ばかりで、少し残念です。もっと悪人もいていいような気がしますが、そのあたりはまあよしとしましょう。 主要な人物たちといえば、この手の壮大なドラマにはよくあることですが、とりたててこの人が主人公、という一人がいません。主に、ニュースレポーターの女性、彗星を発見した少年、大統領、彗星を破壊しに行く宇宙飛行士たちを軸にそれぞれ話しが進みますが、この人たちが直接からむというシーンはほとんどありません。ニュースレポーターと大統領、宇宙飛行士たちと大統領、という形では、多少のからみはありますが、「インデペンデンス・デイ」のときのように、それぞれバラバラに進んでいたストーリーが、クライマックスに向けて収束していく、という展開にはなりません。 なんとなく、いろいろと詰め込みすぎて、全体が希薄になってしまった印象があります。それぞれの人がそれぞれなりに悩み苦しむ様が表現されてはいますが、今一つ書き込みが足りないような感じです。 そしてもうひとつ。 話しはすべてアメリカだけで進みます。アメリカ以外の国は、ワンカットも出てきません。まるで世界にはアメリカしかないような雰囲気です。かろうじて、セリフの中にいくつかほかの国や都市の名前が出てくる他に、彗星を破壊しに行くプロジェクトがロシアとの共同プロジェクトで、パイロットにもロシア人がいる、というぐらいで、巨大津波も、まるでアメリカにしかやってこなかったように見えます。まあ、それはそれで、日本は助かったんだ、と思えばいいですが(笑) さて例によって、疑問がいくつか。って、すでにここまで疑問だらけですが(笑) オープニングで星の観察をしています。その時に出てきた星の名前が北斗七星かオリオン座のどっちか(メモを取り損ねて、どっちだったかわからなくなりましたが)の星の名前だったんですよ。ところが、その前にベガとかアルタイルという星の名前が出ていて(これも実は不確実)、べガやアルタイルが出ている季節ならばオリオン座が出ているはずはなく、ベガやアルタイルの季節だったとしても北斗七星とは方角が違うんですね。どっちにしても変だぞ、と。 ただまあ、セリフにでてきた星の名前をきちんとメモできなかったために、べガやアルタイルが出てきていたかどうかも正確にはわかりません。わたしの勘違いの可能性もありますので、どなたか確認して来てください(笑) 次に不思議なのは、地下に百万人を二年間収容できる都市を作るわけですが、それだけの地下都市が、一年半やそこらでできてしまうものなのか、という点。それも極秘のうちに。それだけのものを作るとすれば、仕事に携わる人たちもかなり大勢いたでしょうに、そういう人たちから噂が漏れることはなかったんでしょうか? 彗星が衝突するらしいとまではいかなくても、政府が地下に巨大な都市を作っている、という噂が流れれば、すぐさまマスコミが飛びつくと思うのですが・・・・ で、この地下都市には選ばれた人々が収容されるわけです。百万人のうちの八十万人はコンピュータによる抽選ですが、残りの二十万人は学者や教師や兵士や芸術家。それは良いのですが、この中に大統領やNASAのスタッフは入っていなかったんでしょうか? 大統領は最後までホワイトハウスにいましたし、NASAのスタッフは最後までNASAにいました。こういう人たちこそ、早くに避難するはずじゃあないんでしょうか? この噂の地下巨大都市は、「エバンゲリオン」を見たことのある人なら、ああいう感じのものを想像するかもしれませんが、残念ながら入り口しか見せてもらえません。 それも、山の斜面にある、作りかけのトンネルの入り口のような感じの部分だけです。 他には、セリフの中に「部屋の中は空っぽで、日本式」というようなセリフがあります。これがいったいどういう意味なのかさっぱりわからなかったんですが、たった今わかりました。椅子もテーブルもなく、床に座ってる、という意味でしょう、きっと。納得いかないけど(笑) あと文句といえば、ニュースの中でホワイトハウスからの通達を読み上げるシーンがあります。そこで、最後まで読み終わったあとに、「以上です」というセリフが入ります。この通達は非常に大事な通達なわけですから、普通ならば「くり返します」と言うべきでしょう。 ひとつだけ誉めておきましょう。 彗星が大気圏に突入して、地球と衝突する際に、今までのいろいろなその手の映画の場合、ほぼ垂直に落ちてきましたが、この映画では斜めに落ちてきました。これはまあ、そうでなければおかしい、ということではなく、そうであってもいいよな、という程度ですが。ただ、大気圏に入って燃えているのはいいのですが、「ホントにこんな感じに燃えるの?」と言いたくなるような炎と煙です。まあ、実物を見たことがないんでなんともいえませんが。 で、最後は結局どうなるかという点ですが、これはある程度予想がつきます。知りたくない人は、ここから先は読まないように。 まず、宇宙船で彗星を破壊しに行くプロジェクトが成功するかしないか。これは、彼らが映画全体の半ばあたりで彗星に到着してしまう時点で、失敗することがわかります。成功するならば到着が早すぎます。 次に各国から核ミサイルを撃ち込む計画があるのですが、これはもうお話し作りの基本でもあり、最初から扱いが軽い点を見ても明らかなように、即刻失敗します。それどころか、ミサイルが飛んでいくシーンが数秒挟まれるだけで、あとは大統領の「失敗しました」の報告だけという扱いの軽さ。テレビ放映時にはヘタしたらカットされます。 で、あとは彗星との衝突を待つばかりになるわけですが、彗星破壊プロジェクトは失敗したものの、軌道が多少ずれたおかげでぎりぎり助かる、という考え方は、観客を馬鹿にしていますし、ずれたらずれたで、その時にわかるはずですから、これもありえません。 残るチェックポイントは、彗星破壊プロジェクトに失敗した宇宙船が、帰りつくためにはぎりぎりの燃料しかない状態にあり、なおかつ彗星のちょいと前にいる、という点。プラス、乗組員のほとんどが若く、出発前には宇宙へ行くことの恐怖も緊張感もなかったうえに、なぜかたった一人だけ、最後に月面を歩いた男という老練の、宇宙へ行くことの恐怖と緊張感を持ち、なおかつ宇宙に出るとリラックスしているように見えるクルーが乗り込んでいるという点。プラス、その宇宙船の推進装置が核燃料で動く、という点。 これらを見れば、おおよその予想はつきます。 大体、無事に地球に帰り着いても、すぐそのあとには彗星が突っ込んで来ることがわかっているのですから、彼らが作戦には失敗したが生きている、という状態がわかった時点で、見ている観客には結果はわかります。 まあ、いろいろ書きましたが、今回言いたかったことは最初の一行ですべてですけどね。 |
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