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映画「踊る大走査線 ＴＨＥ ＭＯＶＩＥ」 |
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1998.11.01
ご存知の方が多いとは思いますが、この映画は１９９７年の一月から三月にかけて、フジテレビ系列で放映されたテレビ番組の劇場版です。テレビシリーズ放映中にもかなり人気があって、その後もスペシャルが何度か作られ、今回の劇場版が制作されたわけです。 じつをいうと、わたしはあまり日本の映画を劇場で見ないのですが、今回はなんと、公開初日に見にいってしまいました。そのぐらい期待していたわけですが、結論から先にいうと、その期待は裏切られることはありませんでした。まあ、一部不満もありますけど。 ってことで、ここから先は例によってかなりネタばらしをしてますので、自分の判断で読んでください。 事件は三つ起こります。 その一。水死体があがる。 その二。湾岸署内で盗難事件が発生する。 その三。警視庁副総監が誘拐される。 それぞれの事件は、それぞれに進行していきます。水死体の事件はサイコホラーっぽく、盗難事件はコミカルに、誘拐事件はまるで刑事ドラマのように（笑） まずは先に不満をぶちまけちゃいましょうか。 オープニングとエンディングのバックは、テレビシリーズの方がわたしは好きです。これはまあ、好みの問題でもあるでしょうからなんともいえませんが。 それから、全体の構成が、テレビシリーズを見ていたことを前提に作られています。したがって、テレビの方を一度も見たことのない人には、人間関係が多少わかりにくい場合もあります。もしテレビシリーズは見たことがないけど、映画は見ようと思っているのなら、先にテレビシリーズのビデオを借りてきて、人間関係を把握してから見に行くことをお勧めします。まあ、テレビシリーズを知らないと全然理解できない、ってことじゃありませんが、細かいギャグがわからなかったりして、多少損をしてしまうことは確かです。おはなしそのものは独立してますから、そちらは問題ありません。ただ、事件がほぼ同時に三つ起こりますから、最初のうちはちゃんと見ておかないと、何がなんだかわからなくなる可能性もあるようです。 ほかには、テレビシリーズのときにも少し気になっていたのですが、休憩所というか、喫煙所というか、そういう場所が出てくるのですが、そこがいつ行っても誰もいないんですよ。それって、かなり変じゃない？ それと、身代金の受け渡しのときに、あちこちにビデオカメラをセットするのはいいのですが、ごみ箱の口にセットして、誰かがゴミ捨てたらどうするんだ、って気がしたんですが・・・・ 一番の文句は、ラスト近くですかね。 見ればわかると思いますが、「担架使えよ、担架」と怒鳴りたくなるシーンがあります。 あと、これは不満とはちょっと違うのですが、単なるギャグだと思っていたことが、あとで伏線だとわかったりします。あとになってから「ここでこういうことがあった」というのがわかる部分が何個所かあるのですが、なんせ映画なもんで、巻き戻して見るということができないんですよ。ビデオになるのを待つか、もう一度劇場に見に行くか、難しいところです。 さて、多少話題になっていた、小泉今日子の犯人役ですが、かなり気持ち悪くていいです。「羊たちの沈黙」のレクター教授を意識している部分がかなりあるなぁ、と思っていたら、何のことはない、明らかにはっきりとそれを意識した作りだ、ということが後半になってわかります。 「羊たちの沈黙」以外にも、黒沢明監督の「天国と地獄」の名シーンが出てきますが、これは主人公のセリフではっきりと「天国と地獄だ」と言わせてますから、知ってる人はちゃんとわかります。が、「天国と地獄」を見たことのない人には、「何が天国？」ってな感じかもしれません。 で、わたしは、小泉今日子が犯人になる方の事件がメインストーリーになるのかと思っていましたが、実はそうではありませんでした。そこはそれ、レクター教授です。って、わからない人にはわからないか。 ストーリーの先読みをすると、ある程度予想のつくシーンもあります。特に領収書を盗んだのは誰か、というのは、かなり早い時点でわかるでしょう。 ただ、ラストでいくらなんでもそれはないだろう、とは思っていても、まさかいびきが聞こえてくる、という演出にするとは思いませんでした。さすがに大笑いしてしまいました。 全体的に、テレビのときよりも派手なギャグはおさえているようです。もちろん、この作品にギャグがないはずもなく、思い切り笑えるシーンも山ほどあります。泣かせるシーンもありますが、あんまり素直に泣かない方がいいと、わたしは思います。 日本の刑事物でも、このぐらいの映画は作れるんだなぁ、と思わせてくれる、必見の作品でしょう。 |
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