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[ 映画の感想文のようなモノ ]
映画「アルマゲドン」

1998.01.13

 巨大彗星が地球と衝突する! その時人類は! ってな物語ですが、なんだかどこかで聞いたような感じがします。というよりも、アメリカ映画には少なくないパターンです。  
 ちなみに、今回の冒頭の文章は、他のページのパクリですので、念のため(笑)  
 ただこの映画、「ディープ・インパクト」とは、物語の視点が違います。あちらは一応、パニック的な要素が含まれていましたが、こちらにはそういうものはまったく出てきません。まあ、感じとしては、「ディープ・インパクト」で彗星を破壊しに行った連中にスポットをあてた、といった感じでしょうか。  
 で、この映画に限らず、宇宙空間が出てくる映画を見ていて、いつも思うのが、どうして必ず効果音を入れてしまうのだろう、ということです。まあ、「スター・ウォーズ」とか「スター・トレック」のような作品はべつにして、この「アルマゲドン」とか「ディープ・インパクト」とか、ある程度リアルに描こうとしている映画は、そろそろちゃんと、宇宙空間では無音にしてもいいんじゃないでしょうか。あの「アポロ13」にしてから、宇宙空間で「ゴー」とか音がしてたし。  
 あと、全然関係ないことですが。  
 スペースシャトルや宇宙ロケットの打ち上げの際に、発射台の下から白い煙がもうもうと出てきますが、あれは「煙」ではありませんので、念のため。じゃあなにか、というと、発射の際のジェット噴射は、かなりの火力になるわけです。それを直接地面なりカタパルトなりに当てると、火がついちゃうんですね。鉄なら熔けちゃうし。で、それを防ぐために、発射台の下は巨大で深いプールになってるんですよ。つまりあの白いのは、「煙」じゃなくて「蒸気」なんですね。ひとつ勉強になったでしょ?(笑)  
 それはそれとして、この作品。  
 すでに見ていた人から「ラストは感動するよ」と聞かされていたのですが、わたしはそれを信用していませんでした。というよりも、へそ曲がりなわたしの場合、  
 「感動はするだろうが、この手の映画の感動は、だいたい底が見えるぞ」  
 と思っていたのです。で、案の定・・・  
 いや、順番に行きましょうか。  
 まずわたしが一番疑問だったのが、それだけでかい彗星が近づいて来ているのが、なぜわからなかったのか、という点。それに関しては、一応映画の中で説明がありました。ただ、ちょっと苦しい説明ではあるんですが。なんと、宇宙観測に与えられた予算では、宇宙全体の3%しか監視できないから、という、なんともわけのわからないものです。まあ、なんの説明もないよりはマシですか。  
 それから、なぜ政府がハリーを選んだか、という理由も、なかなか笑わせてくれます。なんと、掘削作業の頂点に立つのは誰か、誰に聞いても同じ名前が返ってくる、という、凄まじいものです。「誰に聞いても」って、いったい誰に聞いたんだ、と突っ込みを入れたくなってしまいます。  
 さて、ここから先は、例によって例のごとく、これから見ようと思っている人には、知らない方がいいだろうと思われる情報満載でお送りしますので、各自の判断で読んでください。  
 まず、二機のシャトルのうちの一機が墜落しますが、あの時点では、「こりゃ全員死んではいないな」ということが予想できます。なぜならば、主人公ハリーの娘の恋人が、そのシャトルに乗っているから。  
 あんなやり方で殺すには、彼はあまりに重要な登場人物すぎます。本当に殺すのならば、もっと彼ひとりにスポットを当てた殺し方をするはずです。で、もちろん彼を含めて何人かは死んでいませんし、ちゃんと、「ここに出てくるしかないだろ」という場面に登場します。  
 しかし、ここで不思議なことに気づきます。地球の管制センターでは、どうやってかはわかりませんが、彗星上にいる掘削機の位置がわかっているようなのです。ハリーたちの掘削機がふっとんだとき、管制センターでは「発信が途絶えた」といったような情報が流れますから。だったらなんで、もう一台が近づきつつあることがわからなかったんでしょう? 電波が届きにくかった、というのは理由になりません。なんせ、二台目の登場シーンを見ればわかる通り、二台目の掘削機は高台にいたんですから。あそこの電波が届かないようなら、下にあったハリーたちの掘削機の電波なんて、絶対に届かない。逆をいえば、下の方にあった掘削機の発信が届くのならば、上の方を走っていた掘削機の電波は絶対に届くはずなんです。その時点で、墜落したシャトルに生き残りがいたことはわかったはずなんだが。  
 それに加えて、生き残りの連中が、ハリーたちと合流しようと、野越え山越え、一所懸命進んで行きますが、なぜ彼らにハリーたちの居場所がわかったんでしょう? ハリーたちは、予定着陸地点をはるかにオーバーしていたはずなのに。  
 さて、おおかたの予想通り、最後の最後になって、核爆弾の遠隔操作ができなくなります。つまり、誰かひとりが残って、ボタンを押さなきゃいけない、と。で、誰が残るかってことですが、こりゃもう二人にひとりのどちらかでしかありえない。いや、はっきりいって、こいつしかいない、という状況ですね。そう、彼を殺すならここですよ(笑) 彼ひとりにスポットをあてて、感動をもりあげて殺してあげなきゃ。  
 そしてもちろん、彼を殺してハリーだけが帰るわけにはいきません。そんなことをすれば、今度はハリーが娘に殺されるシーンを入れなきゃいけなくなる。そうなれば、ハリーが「見送って来る」といった時点で、ハリーがなにをしようとしているのかも、一目瞭然。感動の別れのシーンを盛り込んで、華々しく散っていきます。  
 ひょっとして、ブルース・ウィルスって、映画の中で死んだのはじめてじゃありません?彼の映画をすべて見てるわけじゃないんで、なんともいえませんが、わたしが知ってる限りはじめてのような気がします。  
 で、他のメンバーはいざ脱出ですが、緊張を盛り上げるためにシャトルのエンジンがかからないのはいいとして、入ってくるときに、周りの小さいゴミにあれだけ苦労したのに、出ていくときにはすんなり出て行ける、という点。これはまったく謎というより、ご都合主義です。  
 しかもそのあと、みごとに彗星がまっぷたつになるのはいいとして、あれだけの大爆発が地球のすぐそばであったにもかかわらず、その衝撃波は来ないし、小破片は大気圏ですべて蒸発したとかいうし。地球になんの影響も出ないってのは、納得がいきません。その点では、「ディープ・インパクト」の方がまだましかな。  
 で、地球に帰還した彼らは、バクテリア汚染の心配とか、そういったことはまったくないらしく、出迎えてくれた人々と、普通に抱き合ったりしてます。そんなもんなんでしょうか? それ以前に、あれだけボロボロになったシャトルで、よくまあ大気圏に突入できたな、と。  
 まあ、いろいろと文句はつけましたが、二時間半、そこそこ楽しめます。なによりも、メンバーの個性がひとりひとり出ていて、ギャグも満載。しかも、日本の誇るあの女性アーチストが、なくてもいいようなシーンにちらっと出てきて、熱演してくれるのを見ると、涙が出てきて止まりません(笑)  
 ああ、それともうひとつ。  
 途中で、アメリカの大統領専用機が出てきます。もちろんあの「エアフォース・ワン」です。昔ならば字幕に「大統領専用機」と出たところでしょうが、「エアフォース・ワン」とかな書きされていて、ハリソン・フォードのおかげだなぁ、と変に感心してしまいました。  
 ぜひ劇場で、とはいいませんが、迫力のある画面が多いので、劇場で見たほうが楽しめるでしょう。  


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