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[ 映画の感想文のようなモノ ]
映画「ベイブ 都会へ行く」

1999.03.30

 映画には、「続編に秀作なし」というジンクスがあります。もちろん、そのジンクスにあてはまらない映画も、たくさんあります。「ターミネーター」「エイリアン」「リーサルウェポン」など、ちょっと考えただけでも、二作目以降も傑作を排出しているシリーズはいくつもあります。最近の日本映画なら「ガメラ」シリーズが、このジンクスを打ち破っています。「ダーティ・ハリー」も、二作目あたりまでなら、傑作といっていいでしょう。もちろん、人それぞれ好みもあるでしょうから、一概に決めつけることはできないでしょうが、一般的にはやはり「続編に秀作なし」というジンクスがあるのも事実です。  
 さて、「ベイブ」の続編です。  
 前作で、牧羊犬ならぬ牧羊豚として優秀な成績を収めたベイブが、農場に戻ってくるシーンから、物語は始まります。  
 じつはわたしは、ここでいきなり疑問を感じてしまいまいた。  
 いや、ベイブが世間の注目するところとなるのは当然ですから、出迎えの大観衆や居並ぶマスコミは、全然問題じゃないんです。むしろあたりまえといえばあたりまえ。疑問だったのは、奥さんが迎えに出てきたこと。  
 前作で牧羊犬コンクールが行われている時に、奥さんは友達と旅行に出かけていたはずなんですね。で、コンクールが開催されていた場所は、犬のフライが走って往復できる程度の距離。つまり、農場からはそれほど離れてはいなかったはずなんです。それなのに、なんで奥さんの方が先に帰ってる?  
 これはまあ、あのパレードは当日じゃなかった、ということにしておいてもいいですが、なんだか少し疑問でした。  
 それはそれとして。  
 豚であるうえに、あまりに優秀な成績を収めたベイブに、マスコミが注目しないはずはありません。ショーやテレビの出演依頼が、たくさん寄せられますが、ホゲットさんは無視します。ところが、ベイブのドジでホゲットさんが怪我をして、銀行への払いができなくなって、農場の経営が危うくなります。で、エズメ奥さんとベイブは、ショーに出演するために、都会に出て行くわけです。  
 今まで田舎でのんびり暮らしていた人と豚ですから、都会の慌ただしさにうまくついていけるはずがありません。ってなことで、お約束のドタバタが始まるわけです。  
 わたしはこの映画、イギリスの片田舎でのはなしだと思っていたのですが、どうやらそうではなかったようで。ホテルの窓から見える町の遠景が、これがもうめちゃくちゃで最高です。誉めてます(笑)  
 この景色を見せられた瞬間に、「ああ、これは童話なんだな」とはっきり認識させられるわけです。しかも、ホテルの後ろには「永遠」と漢字で書いたでかい看板があるし。  
 この続編は、前作よりもドタバタコメディの感じが強くなっています。ベイブは、相変わらず優しい性格をしていますので、その優しさに救われる部分はたくさんありますが、出てくる他の動物たちに、少々無理があります。なんせ、都会に住んでる動物たちですから、みんなひねくれちゃってるわけですよ。  
 前作は、非常によくできた童話でした。もちろん、原作がそうなっていたからですが、この続編はどうか、というと、よくできた童話というにはこれはちょっと無理があるような気がします。コメディとしては非常に面白いのですが、一作目のイメージを持って見てしまうと、だいぶがっかりする部分があるでしょう。  
 この作品が「続編に秀作なし」というジンクスに当てはまるかどうかは、見た人の判断にまかせます。わたしとしては、当てはまると思います。前作が良すぎたって気もしますが。  


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