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[ 映画の感想文のようなモノ ]
映画「スター・ウォーズ/エピソード1/ファントム・メナス」
小説「スター・ウォーズ/ファントム・メナス」の感想のようなモノを読む

1999.08.08

 どうでもいいんですが、この映画、サブタイトルをどっちかひとつに絞ってほしい、と思っているのは、わたしだけでしょうか? できれば、「エピソード1」をけずってもらって、「ファントム・メナス」を日本語で「見えざる脅威」かなんかにしてもらえると、シリーズの他の作品とのつりあいもとれると思うのですが、いかがなもんでしょう?  
 さて、やっと見てまいりました。  
 で、毎度おなじみ「ネタばらし」の山ですので、各自覚悟して読んでください。  
 まず、最初にはっきりいってしまいましょう。思ったとおり、たいして面白くありません。たしかに、映像はすごいです。劇場で見れば、音もすごいでしょう、ドルビーの劇場なら。感想終わり。  
 ってわけにはいかないか。  
 映像はすごいんですが、特に目新しいものはありません。バトル・ドロイドやグンガンの大軍はフルCGでしょうが、「ジュラシック・パーク」を見たときほどの衝撃はありません。マットペインティングも、たぶんすごいんでしょうが、CGにしろマットペインティングにしろ、「それとわからなければ、わからないほどすごい」というジレンマを抱えているわけですから、損といえば損な役回りかもしれません。  
 ポッド・レースのシーンにしても、たぶん1作目よりも高度な技術を使っているのでしょうが、ハラハラ感は1作目のデス・スターへの突入シーンや、3作目のスピーダー・バイクのシーンの方が、ずっとあります。  
 おはなしの方も、ノベライズの感想文のようなモノで書いたとおり、キャラクターに魅力がありません。期待していたジャー・ジャー・ビンクスは、うるさいだけだし(笑)  
 ノベライズの方では「誰が主人公かわからない」と書きましたが、映画を見るかぎり、主人公はクワイ=ガン・ジンだったようで、彼を中心にして物語りが進行します。でも、最後には死んじゃうわけですから、次回からの主人公は、たぶんアナキンということになるんでしょう。  
 で、このクワイ=ガンが、立派なジェダイ・マスターだということですが、やっぱり年老いたオビ=ワンのような貫禄はありません。どちらかといえば、ハン・ソロの役柄に近いような感じでしょうか。もちろん、あんなに軽くはありませんが。小説の方では、この人の性格設定が、評議会に入れるほどの実力の持ち主なのに、評議会に逆らうような意見をしょっちゅう言い出すので、いまだに評議会入りできない男、というような感じにしていましたが、そのあたりが、あまりはっきり出ていません。というよりも、評議会のメンバーにしろ、クワイ=ガンやオビ=ワンにしろ、ジェダイのすごさが、ほとんど出ていない。全体のおはなしの導入部なんだから、そのあたりはもっとはっきり出しておくべきだったんじゃないでしょうか?  
 オビ=ワンといえば、今度のオビ=ワンは目が青いんですが、1作目ではたしか、ブラウンじゃありませんでした?  
 クライマックスの盛り上がりも、なんだか中途半端な感じがします。クライマックスが三個所で進行してしまうから、散漫な感じになってしまったのかもしれません。  
 期待のダース・モールも、あんまり活躍してくれませんし。だいたい、彼があんなに小柄だとは思ってませんでした。って、わたしの勝手な想像がいけないんですけどね。まあ、クワイ=ガンが結構でかいからいけない、って気もしましたけど。  
 ストーリー展開という意味では、小説の方がおもしろかったような気がします。なにしろ、小説ならば、各登場人物の心理描写を細かく行うことができますから、映画ではわかりにくい点も、きちんと表現できるんですよ。それに、映画の場合は、上映時間の都合なんぞで、カットしなければならないシーンなんかもありますが、小説はそんなことはないし。  
 たとえば、アナキンがかなり強いフォースの持ち主だ、という部分の説明が、映画ではせいぜいクワイ=ガンがそう感じた、ぐらいにしか表現されていません。そのせいで、なぜクワイ=ガンがアナキンのフォースの強さを感じ取ったのかが、いまひとつ、見ている側には実感できない部分もあります。小説では、ポッド・レースのシーンをはじめ、いくつかの場面でちゃんと描写されていますから、それなりに感じ取れるんですが。  
 まあ、この作品は、最初から辛い立場にあったわけですから、わたしに限らず、世間の採点が辛くなってしまうのはしかたがないことかもしれません。なんせ、「あのスター・ウォーズの、そもそもの発端」ということで、観客はみんな、一作目で得た衝撃を、再び求めてしまうわけですから。ところが、これが麻薬とおんなじで、前と同じ刺激じゃぁ、もう物足りなくなってるわけですから、並大抵のことじゃあ満足できない、と。  
 一作目のオープニングで、頭上を延々と伸びていく戦艦の腹部を見ながら「おい、まだ続くのか!」と思ったあの衝撃は、いまだに忘れることができませんから。  
 文句ばかりじゃなんですから、気に入ったところも書いておきましょう。  
 まず、音楽。ったって、使っている音楽がいい、とかいうことではありません。あのダース・ベイダーのテーマを使ってないんですね、ちゃんと。こりゃまあ、当然といえば当然なんですが。で、はっきり覚えていないのですが、ラストでクワイ=ガンを荼毘に付すシーンで、ヨーダが「アナキンの将来に不安を感じる」とかいうようなセリフをはくんですが、そのときだけ、一瞬あのテーマが流れたような・・・・  
 あと、エンドロールが終わったあとに、バックの音楽が終わり、幕が閉じようとしている後ろで、ダース・ベイダーの「スコー、パー」がかすかに入るんですね。これが気に入った(笑)  
 あと、細かい突っ込みをいくつか入れておきましょう。これは、映画のおもしろさとか、そういったものとはまったく別の、ギャグに近いものですので、読み飛ばしても結構です。  
 まず、エピソード4でのオビ=ワンは、アナキンが成長してダース・ベイダーになってしまった、ということを知っていたはずなのです。しかも、ルークがその息子だということも知っていた。なのに、なんでルークを鍛えたんでしょう? 下手すりゃアナキンの二の舞になる可能性もあったはずなのに。なにがオビ=ワンを駆り立てたんだ?  
 それと、これは誰でもわかっていることでしょうが、実は今回登場したダース・モールは、最初から死ぬために出てきたんですね。彼が死なないと、シス卿が新しい弟子としてアナキンに目をつけることができなくなりますから。  
 あと、アナキンの父親は誰だ、という疑問に対しては、シス卿という意見が多いでしょうが、とりあえず「ヨーダじゃねぇの?」というギャグもお忘れなく。  
 最後に、今後の展開として気になったことをひとつ。  
 エピソード3のラストまでに、アナキンはダース・ベーダーになってしまうのでしょうか? そこまできちんとやってしまうのでしょうか? もしそうなると、後の世代の観客が、ちゃんとエピソード1から見てしまったときには、エピソード5のダース・ベイダーの「わたしがお父さんだよ」というセリフの衝撃が、薄れてしまうと思うのですが。  
 それはまあ、お約束ってことでいいのかな。  


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