1999.08.15
この映画はR指定(18歳未満の観覧不可)なので、感想文のようなモノも当然18歳未満お断り・・・・なわけはありません。お年寄りから小さなお子様まで、どなたにも楽しんでいただけ・・・・るわけもありませんね。まあ、どうせいつもの調子ですから、いつものつもりで読んでください。
予告やテレビのCMを見ると、この作品はかなりいやらしい作品のような感じを受けるのですが、はっきりいって、そんなことはありません。そういうつもりで見に行くと、ガッカリしてしまうでしょう(笑) それが望みだったら、アダルト・ビデオを借りてくることをおすすめします。
さて、スタンリー・キューブリック監督といえば、多少難解な感のある作品を作ることで有名ですが、この作品も、見終わったあとにいくつもの疑問が残ります。ひらたくいうと、「結局”あれ”は何だったの?」という感じです。
あいにくわたしは、キューブリック監督の作品は「2001年宇宙の旅」「時計じかけのオレンジ」「シャイニング」しかまともに見ていないので、はっきりしたことはいえませんが、この監督の作品の作り方として、観客に疑問を提示して作品を終わらせる、というのがあるようです。で、この作品はまさにそんな感じ。
雑誌なんかに載っていたあらすじの感じでは、妻からある告白をされた主人公が、怪しげな秘密クラブに入り込んで、すごい体験をしてしまう、といった感じを受けていたのですが、その秘密クラブに入り込むまでで、全体の半分ほどを費やしています。漠然と見ていると、ムダなシーンが多いような感じがするのですが、そのムダに見えるシーンで、全体の雰囲気を盛り上げていっていますので、そのあたりの手法はみごとです。
たとえば、主人公が貸衣装を借りに行くシーンなんぞは、そのシーンを見ている間は、「なんでこのシーン、こんなに長いんだ? もっと短くできるだろうに」と思ってしまうのですが、そこが素人の浅はかさ。ちゃんと後で意味を持ってきます。ただ、その意味の持ち方がまたストレートではなく、作品の雰囲気を盛り上げるための意味だったりするので、なけりゃなくてもおはなしとしてはつながってしまうのですが。
まあ、基本的には、この監督の作品を、おはなしとしてとらえてはいけないんでしょう。というよりも、おはなしの部分だけを切り離して考えようとすると、無理が出てくるのだと思います。キューブリック監督の作品は、作品全体でひとつの作品である、と。あたりまえのことですが(笑)
おはなしと映像と効果音と音楽と、それらすべてのものがひとつになって、キューブリック監督の作品になっているわけで、そういう意味では、どれかひとつを取ってお手本にしようとか、感想を書こうとかいうのは、たぶん大きな絵の一部分だけを、クローズアップして真似たり感想を書いたりするのと似ているのでしょう。つまり、意味がない。
というわけで、わたしにはちゃんとした感想を書くことはできません。っていつものことですが。
ただ、疑問がいくつか。
あの主人公は、本当にこれまで、浮気をしたことも、しようと思ったこともなかったのでしょうか? 本当に、奥さんのことを信じきっていたのでしょうか? まあたぶんそうなんでしょうね。だからあんなことになっちゃったんでしょう。同じ男としては、信用できませんが(笑)
他にも、最後にベッドにあったマスクは、誰が置いたんだろう、ということとか、この作品には謎が多すぎて、いちいち書いていたらきりがありませんから、やめますが。
監督のご冥福をお祈りいたします。
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