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[ 映画の感想文のようなモノ ]
映画「8mm」
監督:ジョエル・シューマッハー 主演:ニコラス・ケイジ

1999.11.07

 ニコラス・”エリック・アイドル”・ケイジ主演のミステリーです。ジャンルとしては、「セブン」なんぞに代表される、ちょっと恐い感じの話です。恐いというよりも、人によってはかなりの嫌悪感を抱くかもしれません。  
 ニコラス・ケイジ扮する探偵は、財政界あたりに多少顔の利く私立探偵で、どうやら結構腕がいいらしいのですが、彼の顔って、あんまり腕利きの探偵って雰囲気に見えないんですよね。これはまあ、わたしの個人的な感想ですから、反論のある方もいらっしゃるでしょうが。  
 で、ある大物が死んで、その遺品の中にあった8mmフィルムの内容が、真実かどうかを調べてもらいたい、と未亡人から依頼されます。そのフィルムの内容ってのが、SMといえば聞こえはいいけど、はっきりいってレイプから始まって、最後には女性を殺してしまう、といういわゆる「スナッフ」というたぐいの内容で、未亡人としては、死んだ夫がそんなものを持っていた、という事実がショックでたまらない。しかも、どう見ても出てくる女性は本当に死んでいるように見える。  
 未亡人としては、探偵に調べてもらって、実はすべて演技で、彼女は元気に生きてます、という回答が欲しかったのでしょう。  
 探偵の調査が進むにつれて、アメリカの裏ポルノ業界の暗い部分が出てきます。  
 日本で「裏ビデオ」というと、ボカシのないビデオのことですが、アメリカではボカシのないのが当たり前なわけですから、「裏ポルノ」なんてぇ世界があるのか? と思う方もいらっしゃるでしょうが、アメリカの場合、まず幼児を扱ったものは御法度になりますから、その手のものは裏業界が取り扱います。それに、普通のポルノでは飽き足りなくなって、リンチから殺人にいたるような内容や、屍姦なんぞに走る人もいるそうで、その手のものも裏扱いになります。  
 この作品には、そういったマーケットがかなり出てきますから、画面そのものの暗さ以上に、内容的な暗さが伴います。まあ、はっきりいって、見てて楽しい映画じゃないことだけは確かです。  
 さて、例によっていくつか疑問点をあげておきます。ここから先は、ネタバレ覚悟で読んでください。  
 まず、疑問というよりも文句をひとつ。問題のフィルムを、作った連中が回収して、燃やすシーンがあります。フィルムをリールから引き出して、山のようにしてガソリンだか灯油だかをかけて……というシーンなのですが、ここで引き出されたのが、どう見てもフィルムじゃないんですね。あれは、誰がどう見てもビデオテープなんですよ。いくらなんでも、そりゃひどすぎるでしょ。8mmのフィルムが、もう手に入らないってことならわかりますが、まだそんなことはないだろうし、それっぽいモノを小道具として作るぐらいのことはできるでしょう。  
 疑問としてはまず、中に出てくる「マシーン」と呼ばれる男のことです。この男、SM系のポルノに出て、かなり稼いでいるはずなのに、あまりいい家に住んでいません。なんででしょう?  
 あと、ラストで、主人公の奥さんが死んだジャネットの家を知っていたのが、どうしてなんだ、という説明が、ちょっと曖昧です。もちろん、主人公がすべてを話したんでしょうが、一瞬わけがわかりません。まあ、あのエンディングのおかげで、作品全体がほんの少しだけ救われるところもありましたから、よしとしますが。  
 これは疑問とか文句じゃないんですが、調査を依頼した未亡人が、実は自殺してなかった、というオチがあったら、それはそれですごかったんじゃないか、とチラッと考えてしまいましたが、よく考えて見たら、そんなことをしても意味はありませんでした(笑)  
 女性は見ない方がいいかも。  


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