縦書きで読む
[ 映画の感想文のようなモノ ]
映画「ワイルド・ワイルド・ウェスト」
監督:バリー・ソネンフェルド 主演:ウィル・スミス/ケビン・クライン

1999.12.12

 昔のテレビシリーズを映画でリメークする、というのが、昨今多いようです。詳しいことはわかりませんが、たぶん劇場版の「スーパーマン」が世に出て売れてから、この傾向が強くなったのではないでしょうか?  
 中には、「スタートレック」のようにかつての役者を再度集めて作った作品もありましたが、ほとんどはまったく別物といってもいいような作品だったりして。当たったものもあり、当たらなかったものものあり。「逃亡者」は当たった部類でしょうが、当たらなかったものというと、たぶん山ほどあるんじゃないかなぁ、と。しかも、ドラマだったものを映画化するならまだしも、元はアニメだった「ディック・トレイシー」あたりは、あたったのかあたらなかったのか、難しいところかもしれません。  
 「じゃじゃ馬億万長者」あたりが映画化された時点で、「こりゃもうネタがないのかな?」と思ったものでした。よく考えてみれば、まだ「タイムトンネル」はあるし、「コンバット」だってあるし、たぶん他にもいろいろあるはずでしょうが、それ以前に、昔のテレビ番組の映画化が多いって時点で、アメリカの映画業界、ネタぎれなのかなぁ、という気がしないでもありません。なんでも、今度ディズニーが「ターザン」やるそうだし。なんでいまさら、って気もします。ちょっと見たいような感じではありますが。  
 考えてみると、この傾向は、日本ではあまりないようです。日本で昔人気があったテレビシリーズを映画化したって作品、何かありましたっけ? 個人的には「隠密同心」なんか、映画化したらおもしろいと思うのですが、いかがなもんでしょう?  
 で、この作品も、かつてテレビシリーズだったそうですが、残念ながら、わたしは元の作品を知りません。日本でもわたしが子供のころに放映されていたらしいのですが、見た記憶がありませんでした。  
 もっとも、この映画版の方は、多少テレビと設定が違っているところもあるのだそうで。まず、主役のウェストは、テレビ版では黒人ではなかったそうですし。出てくる発明も、もっととんでもないものばかりだったようです。映画の方の発明だって、とんでもないものが多いんですけどね。  
 この映画を見ていて思い出したのが、宮崎駿監督の「天空の城ラピュタ」でした。どこが? と思われるかもしれませんが、「ラピュタ」の方の設定が「19世紀ごろのSF作家が未来を想像したらこうなんじゃないか」という世界なのだそうで。言い換えてみれば、古い時代の科学や常識をベースに、その時点で考えうる設定のSF、ということです。  
 この作品でも、基本的に動力は蒸気ですし、移動の基本は馬か鉄道。こんな世界ですから、本当ならあんな巨大な蜘蛛みたいな乗り物を造るのは、困難なはずなんですが。そこはそれ、コメディですし。  
 ただ、もちろん映画としての欠点も多少あります。  
 まず、出てくるおねえちゃんたち。いや、ドクター・ラブレスの配下にいるおねえちゃんたちは、それはそれでいいんです。スケベオヤジが、まわりにはべらせておきたくなるようなおねえちゃんたちで、しかも強い、ときてますから、まあ一時期の007シリーズのノリといってもいいでしょう。それに比べて、ヒロイン役のはずのリタが、何のために出てきてるんだか、存在理由がいまひとつわかりません。ほとんど、いなくてもストーリーには影響ないような役だし。あと、個人的な好みとしては、機関士のおっさんに、もう少し活躍してもらいたかったかな、と。いい味出してたんだから、もうちょっと出番があってもよかったような気がします。  
 はっきりいって、傑作というのは難しい作品ですが、はじめからばかばかしいつもりでいれば、それなりに観れるとは思います。  


Copyright(c) 1997-2007 Macride 感動したい、笑いたい、今の気分にぴったりの人気作品を検索してくれる、便利な映画・ビデオ・DVD総合ナビゲーター!
ご意見ご感想は メール 掲示板
以下はみなさんからいただいた感想です
俺にも言わせろ!という方、自分の書き込みを削除したい方は