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1998.01.06
パトリシア・コーンウェルの「検屍官シリーズ」の、何作目だ、これ?
今回も、主人公のケイ・スカーペッタは、謎の殺人犯と闘うことになる。しかも今回は、謎の伝染病まで絡んでくる。
このシリーズは、リアルな描写が売りで、現場検証や検屍のシーンは、いつも緊迫感に満ちている。人物の描写も見事で、いつ読んでも関心させられる。
しかし、このシリーズには大きな欠点もある。主な登場人物たちがみな、疲労し、苦悩しているため、全体のトーンが暗いのだ。
とにかくみんな悩んでいるし、疲れている。
それでもみんな、精力的に動き回り、日々平和と安全のために努力している。わたしには絶対にできない。
もっともこの欠点は、わたしのような楽天家が読んだ場合にのみ感じられるもので、そうでない方には、まったく欠点として写らないかもしれない。
それはいいのだが、今回の作品で気になることがひとつある。
事件は、謎の連続殺人から始まる。被害者を切り刻む憎むべき殺人が、アメリカで連続する。その手口から、過去にイギリスで発生した事件と同一犯人であることが予想され、主人公はイギリスに行く。
だがやがて、それとよく似た事件が発生し、一部では同一犯人の手によるものと考えられるが、実際には別の犯人が、連続殺人を真似て起こした事件ということになる。結局ストーリーは、この最後の事件の犯人を追うことに終始する。本来の連続殺人の方は、結局解決しないのだ。次回に続くってことなんだろうか? 気になってしかたがない。
このシリーズは、一作一作が一話完結の形で書かれているため、基本的にはどの作品から読んでも構わないのだが、一作毎に主人公たちの関係やそれを取り巻く環境が少しずつ変わってくるので、できれば順に読む事をお勧めする。
そういえばこのシリーズ、映画化されるって話しがあったような気がするんだが、どうなったんだろう?
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