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[ 小説の感想文のようなモノ ]
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小説「OUT」
桐野夏生著(講談社)
全国書店ネットワーク e-hon

1998.01.17

 1998年の「このミステリーがすごい!」で一位を獲得。週刊文春「ミステリーベスト10」で二位を獲得したミステリー。しかも作者は乱歩賞受賞者ってことで。  
 実はわたしは本来、その手の小説は読まないんですけどね。二千円もするハードカバーだし。何で買ったんだろう。まあ、半分はこのホームページのためなんですけど。  
 で、読んだ結果なんですが・・・・  
 どうしてわたしは、こういうのを立て続けに読んでしまうんだろう。  
 「接触」といい「ブレイン・ヴァレー」といい、この「OUT」といい、登場人物はみんな苦悩してます。全体にトーンは暗いです。前二作が、専門用語の羅列だったのに比べて、この「OUT」はそうではないんで、さくさく読めることは読めるんですが、なにしろ登場人物が苦悩している。いや、苦悩というのとはちょっと違うな。出てくるほとんどの人の性格が、色々な意味で切れてる部分があって、まあ、実際の人間もそういうもんだ、と思えば、そうなんですが。  
 物語は、殺人を犯した主婦と、そのパート仲間を中心にして進みます。主人公は、パート仲間の一人で、しっかり者といった感じの主婦です。この主婦が、パート仲間のために、死体を解体してあげるわけですが、なぜそんなことをしたのかは、本人にもよくわかっていないようなので、読者にわかるはずもありません。  
 とにかく、最初から最後まで、低いトーンで物語が進みますが、途中で展開が変な方向に進みます。死体の解体を請け負っちゃうようになるんですから、「この先どうなるんだ?」って気持ちが大きくなります。最終的に犯人は捕まりません。少なくとも、作品の中では逃げおおせる形で幕が閉じます。  
 そういう作品も、嫌いじゃぁないんですけどね。ただ、この作品の場合、わたしは主人公たちに共感できなかったので、逆に捕まってほしかった。さもなければ、死んじゃうとか。まあ、読者が「次はこうなるだろう」と思った方向に進むような小説では、おもしろいとはいえないのでしょうが。  
 次は、もうちょっと明るい小説を読みたいなぁ。  


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