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小説「レギュレイターズ」 リチャード・バックマン著(新潮社) |
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1998.08.08
十年以上前に死んだ作家、リチャード・バックマンの遺作です。なんでも、作者が生前に残した原稿が発見されたのだそうで・・・・ というようなことを書くと、リチャード・バックマンを知らない人は「へぇ、そうなのか」と思うでしょうし、知っている人は「スティーブン・キングもよくやるなぁ」と思うでしょう。 ってことで、リチャード・バックマンというのはスティーブン・キングのことです。知ってる人にはあたりまえのことでしょうし、知らなかった人には興味のないことなのでしょうから、ばらしたところで問題はないでしょう。 なんでも、最初はバックマンがキングであることを内緒にしていたのだそうですが、それがばれた時点で(なのか「ばらした時点で」なのかは知りませんが)、キングはバックマンが死んだことにして、この世からきれいに葬り去ったのだそうです。それがなぜ、今回復活させる気になったのかは、最後にわかります。とにかく、この作品は、スティーブン・キングの作品ではなく、あくまでもリチャード・バックマンの作品なのです。それにははっきりとした意味がありますが、それはまたあとで。 実をいうとわたしは、バックマンの作品は「痩せゆく男」を途中まで(笑)読んだだけで、ちゃんと最後まで読んだのははじめてなんですが、最初からキングと同一人物だとわかって読んでいるせいか、単にスティーブン・キングの作品を読んでいるような気がしてしまいました。といえるほど、キングの作品を読んでいるわけでもないんですけどね。 この作品は、スティーブン・キング著「デスペレーション」の姉妹編ということになっているのですが、「関連のある作品なら、最初からキングの名前で書けばいいのに」と、思わず突っ込みたくなってしまいます。もっとも、それは読み終わるまでの感想で、読み終わった今では、続編ではなく姉妹編、というところに作者のはっきりしたこだわりがあることがわかります。まあ、続編といってしまってもいいんじゃないの? という気もしますが。 たしかに単純な続編ではありません。登場人物の名前は、すべて「デスペレーション」の登場人物と同じになっているのだそうです(って、わたしはチェックする気にはなりませんでしたから、確認はしてませんが)。名前は同じになっていても、性格設定や相互の人間関係の設定は違っているのだそうです。変えていない部分もあるそうですが、わたしはチェックしていません。暇な人がいたら是非チェックしてみてください。 「デスペレーション」のラストがそうだったように、この作品も、ラストには若干の感動を与えてくれますが、その前の、解決の方法に、わたしはショックを受けてしまいました。考えてみれば、その方法以外に解決方法はないのでしょうが、それにしても・・・・ 「セブン」や「ゲーム」よりも、わたしにはよっぽどショックでした。 ただ、そのショックを和らげてくれるようなエンディングがラストについていて、少し涙を誘います。ただ単に怖がらせるだけで終わってしまう作品ではありませんが、それが良いかどうかは、読者の求めているものが何か、という点にかかってくるでしょう。個人的にはこういう作品の方が好きなんですが・・・・ 読み終わったあとの感じとしては、「リング」「らせん」「ループ」の三部作に近いかな、という感じでしょうか。特に、「リング」と「ループ」のつながりと感じが似ています。あるいは、「ドラゴンクエスト」と「ドラゴンクエストV」のつながりというか。これはちょっと違うか・・・・ ただし、それは途中でわかるわけではありませんし、はっきりと記されているわけでもありません。物語が普通に終わって、エピローグとして最後に手紙が入っていて、それを読んだ時点ではじめて、「え、もしかして、そういうことだったの?」と思う程度です。そういう意味では、「リング」と「ループ」の関係や「ドラゴンクエスト」と「ドラゴンクエストV」の関係の方が、うまいといえばうまいです。 余談ですが、わたしはついうっかり「ドラゴンクエスト」シリーズを「V」からやってしまったために、感動が半減してくやしい思いをしたものです。 内容としてのつながりは、どちらが先でどちらが後、というのははっきりしません。どちらかがメインでどちらかがサブ、という関係でもありません。そういう意味では確かに正続という関係でもなく、裏と表、といった感じでもありませんから、これはやはり、あくまでも姉妹編ということになるのでしょう。そして、それこそが、キングとバックマンの関係にもつながるのだろうと思います。 この作品を読み始める前に、わたしなりに姉妹編ということの意味を考えていたのですが、それは思い切り裏切られてしまいました。まあ、裏切られたからといって、悔しいと思えるほどの考えではなかったのですが・・・・ わたしが考えていたのは、同じアイデア、同じ登場人物(ただし同じなのは名前のみ。設定は自由)、同じ敵、という条件で二人の人(って、じつは同一人物なんですけどね)が小説を書いた場合、こういう風に内容が違う、という参考になる作品かな、という感じだったのですが、その考えは甘かったようです。 「レギュレイターズ」の終わり方を見ると、ひょっとしてキングとバックマンの関係というのは、「デスペレーション」と「レギュレイターズ」の関係と同じようなものなんだと言いたいのかな、と思えてきます。 このふたつの作品を使って、作者はキングとバックマンの関係をはっきりさせたかったのではないでしょうか。というよりも、このふたつの作品のアイデアを考え付いた時点で、バックマンの存在を利用しない手はないな、と思ったのかもしれません。 どちらが表でどちらが裏ということでもなく、どちらがメインでどちらがサブということでもなく。光と影でも、主と従でもなく。キングにはキングの世界があり、バックマンにはバックマンの世界がある。もしくは、キングがいる世界と、バックマンのいる世界とが、それぞれ存在する。そういった雰囲気で読むと、面白いかもしれません。 どちらが主でどちらが従ということはありませんから、たしかに特に順番というものはないのですが、もし読むのならば「デスペレーション」を先に読むことをおすすめします。なんで、ってことはありませんが、やっぱり「ドラゴンクエスト」は「T」からやるべきでしょう、ってのと一緒です。 ただし、二冊あわせて五千円をこえるのがネックです。しかも重いし(笑) |
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