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[ 小説の感想文のようなモノ ]
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小説「クリムゾンの迷宮」
貴志祐介著(角川ホラー文庫)
全国書店ネットワーク e-hon

1999.04.18

 この本、角川ホラー文庫に入ってるし、帯にも「日本ホラー界の新たな地平を切り開く」って書いてあるんですが、こういうのもホラーっていうのかなぁ。  
 と思って辞書で調べてみたら、  
 HORROR 恐怖(のふるえ)、激しい憎しみ、嫌悪、恐ろしいもの、ぞっとするほどいやな物(人)  
 と書いてありましたから、ちゃんとホラーでしょう。  
 まあ、考えてみれば、クーンツあたりが書いていても、おかしくないようなないようですし。(ここは笑うところです(笑))  
 それでいくと、帯に書いてあるのは、ちょっといいすぎじゃないか? って気はしないでもありませんが、これは別に作家本人が言ってる言葉じゃありませんし、誇大広告は世の常ってことで。  
 ただ、実際には恐怖よりも、不安な感じの方が多いような気がします。特に前半は、いったい誰が何のために、という謎や、これからどうなるんだ、という疑問が全体の雰囲気を形作っていますので、恐怖感は後半になるまであまりありません。その、後半の恐怖にしても、クーンツ的。ただし、これはわたしにとっては誉め言葉ですので、念のため。  
 目覚めると、見知らぬ場所にいて、なかば強制的にサバイバルゲームをやらされることになる。といった展開が、新しいものなのかどうかは別にして、ゲームの進行に、携帯式のゲーム機を使っているところなんぞは、少し目新しいかな、と思います。が、ここでアメリカと日本の違いなんでしょうか。クーンツやキングあたりの作品だったら、はっきりと任天堂のなんとやら、とか、セガのこの機械とか、書くのでしょうが、この作品では架空のゲーム機のようです。  
 ようです、というのは、わたしがその手の機械にうといからで。「POCKET GAME KIDS」という機械、どこかの会社が出してましたか? それとも、赤外線ポートのある携帯式ゲーム機ってのが実在しないからひねり出したのかな?  
 まあ、感じとしては、版権の問題とか、関連会社がらみの問題とか、そういう問題のような気がしましたが。  
 しかも、ディズニーのキャラクターの名称が、伏せ字になってる。まあ、ディズニーは著作権問題にかなりうるさいところだそうですから、そういう使い方をしただけでも文句が来るのかもしれません。  
 ヘタしたら、このページに「ディズニー」という名前が出てきてる、ってことだけで。ってことは、いくらなんでもないでしょうが。  
 さて、今回はめずらしく、内容にはまったく触れてませんが(笑)  
 気になるのは、ゲームを画策した、裏にいる奴の設定。これはこれでいいんでしょうが、そのあたりをもう少し出した方が、恐怖感は増したんじゃないでしょうか?  
 って、ちまたの噂では、わたしにホラー小説の怖さを批判する資格はないってことになってるようですが(笑)  
 この手のおはなしでは、複数の登場人物の中に、スパイのようなキャラクターがいる、というのは定石のようなもので。じゃあ、誰がそうなのか、というのは、そのつもりで読んでいるとすぐわかります。わたしなんぞは、そう思わせておいて、じつは違うんだろう、なんぞと、裏の裏の裏ぐらいまで読もうとしてしまうので、損をするんですが。  
 あと、ラストも最近のクーンツっぽくて、はっきりした終わり方をしていません。わたしだったら、最後まで戦わせちゃいそうな気がするんですが、そのあたりが、プロとド素人の違いなんでしょうね、きっと。  


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