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[ 小説の感想文のようなモノ ]
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小説「妖魔をよぶ街」
テリー・ブルックス著(ハヤカワ文庫)
全国書店ネットワーク e-hon

1999.12.29

 本書を書店で見つけたとき、なぜ手に取ってみる気になったのか、最初はよくわかりませんでした。でも「まあいいか」ということで買って帰って、もう一度表紙を眺めていて、作者の名前を知っているんだ、ということに気がつきました。で、誰だったっけなぁ、と考えていたら、「スター・ウォーズ/エピソード1/ファントム・メナス」のノベライズを書いた人だ、ということに気がつきまして。それまで気がつかなかったというのも、うかつなはなしですが。解説を見るとこの人、この手のお話が多いようです。  
 ファンタジーと称される作品を読むのは、考えてみれば久しぶりでした。以前は多少読んでいたのですが、そのころ読んでいたファンタジーは、ほとんどが「剣と魔法、剣士とドラゴン」の物語でした。昔はそういうファンタジーがほとんどでしたし。  
 で、そのころに、それに刃向かって、剣と銃、魔法と科学が同居した世界のお話を考えまして。科学は科学として存在して、なおかつ魔法も存在する。武器は剣だけではなく、銃もある。ドラゴンやら魔獣のようなものも出てくる、というお話でした。主人公は銃を腰に下げたハンターで、名前はマックライド・デルスタイン・ゴザイ。つまり、今わたしが使っている名前の由来となった物語です。もう二十年ちかく昔のことです。  
 あいにくわたしが考えた作品は、文章になることはありませんでした。実際には、何度か途中までは書いたのですが、生まれついての怠け者だもんで、いつも途中で挫折してしまったのです。で、そのうちに「ファイナル・ファンタジー」というゲームが、「剣と銃、魔法と科学」の世界を使ってしまいまして。わたしが考えていたのとは、ちょっと違ってはいたのですが、いまさら書いても「FF」のパクリといわれるのが関の山。というより、書こうとしてもわたしが「FF」のイメージにひきずられちゃうんですね。おそらく、今後もマックを主人公にした物語が書かれることはないでしょう。ちなみにその作品「風のハンター」というタイトルでした。  
 って、そういうはなしをするコーナーじゃないな、ここは。  
 本書の舞台はほぼ現代のアメリカ。登場人物のほとんどは、魔法だの魔物だのは信じていません。そんな中で、魔力を持った少女がいろいろなことに悩みながらも、成長していくお話です。  
 なかなか面白く読めたのですが、いくつか疑問もあります。ってことで、ここから先にはネタばれがありますので、注意してください。  
 主人公ネストの設定で、彼女は記録を出すほどのランナーということになっているのですが、読んだ感じでは、これが生かされているシーンがないようです。何かをするときに足の速さが発揮されるとか、そういうシーンはほとんどありません。なんで足が速いという設定にしたのか、不思議です。まあ、この作品はシリーズ物だそうなので、今後その設定が生かされてくるのかもしれませんが。  
 あと、ラスト近くになって思ったのですが、どうもこの作品、作者が「ファントム・メナス」のノベライズの作家だからってこととは関係ないと思うのですが、「スター・ウォーズ」を彷彿とさせる部分が結構あります。特に「わたしがお父さんだよ」なんぞは思い切りそんな感じですし、<言霊の騎士>ジョン・ロスはオビ・ワンのイメージがありますし、ピックにはR2やC3POの雰囲気があります。あ、オビ・ワンは、ジョン・ロスよりも、おばあちゃんの方かもしれませんが。  
 あ、あとジョン・ロスの見る夢の雰囲気が、「ターミネーター」の未来の雰囲気に似てるかな。って、このあたり、わたしが勝手に想像してるだけですけど。  
 ジョン・ロスの設定が、個人的には好きですが、続編を読むことはないでしょう。  


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