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[ 小説の感想文のようなモノ ]
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小説「ハリー・ポッターと賢者の石」
J・K・ローリング著(静山社)
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映画「ハリー・ポッターと賢者の石」の感想のようなモノを読む

2001.12.11

 いや、今ごろ読んだんですよ、面目ない。本来この「感想文のようなモノ」は、可能な限り新しい作品を取り上げる、という趣旨なんですが、映画を見ちゃった関係で、久しぶりに映画と原作のタイアップをやろうかな、と。  
 で、この作品、日本での初版の発行は1999年の12月。ちょうど二年前に出たことになります。わたしが持っているのは2001年11月発行で、初版308刷です。版数と刷数の違いはわからないんですが、わずか一年で、ホントにそんなに出版されてるんですねぇ。いや、疑うつもりはないんですが。  
 なにしろ全世界で3600万部売れたという作品ですし、映画化だってされたわけですから、その作品がホントはちっとも売れてない、なんてことはないでしょう。でも、ほんの一年の間にこれだけ版数を重ねているのを見ると、わたしのように疑り深い性格だと「ホントに?」と思ってしまうわけです。なにしろほら、、数字に関する嘘平気で書く男ですから、わたしは(笑)  
 以前読んだ本に書いてあったことなんですが、出版社によっては、嘘の版数を書いて、あたかも何度も重版しているようにみせることで、売上を伸ばそうとする、卑怯なところもあるらしいんですよ。まあ、そういうことはめったにないと思うんですが。  
 まあ、実際にかなり売れているようですから、疑うのはやめましょう。  
 さて、まずは不満を先にいっちゃいますか。  
 まず、悪いけどこの本値段が高すぎ。しっかりした装丁だし、内容も悪くありませんから、「高すぎ」という言い方は失礼かもしれません。ただ、この作品は本来子供のために書かれているはずなんですね。もちろん、大人が読んでも充分に楽しめる作品である、ということは、マスコミ等でいろいろといわれていますから、未読の方もご存知でしょう。それでも、基本的には子供たちが読むために書かれた作品なんです。  
 その本が、定価1900円というは、ちょっと考え物じゃないでしょうか?  
 この値段、大人だって買うのにかなり悩みますよ。それが子供だったらどうでしょう。どう間違えたって、気楽に買うというわけにはいかないでしょう。  
 できればこの半分ぐらいの値段にしてほしかった。子供ががんばってお小遣いをためて、買える値段に。  
 で、ふと気になったのが、この本、ホントに日本の子供たちは読んでいるのか、ということ。子供が気楽に買える金額じゃない、ということは、いったい誰が買っているのか、ということ。もちろん、親が買って子供に与えている、ということも考えられますし、プレゼントにも最適かもしれませんが。  
 マスコミのあおり方を見ていると、ほとんどが大人向けのような気がして。ブームになっているのは大人たちの間であって、子供たちはそれほど騒いではいないんじゃないか、という気がしてしかたがありません。  
 もしもここを読んでいる小学生の方がいらっしゃいましたら、まわりでどのぐらいの人たちがこの本を読んだか、調査をして教えてもらえませんか? 読んでどう思ったか、なんてのも教えてもらえると、おじさんはうれしいです。  
 さて、相変わらず感想らしい感想がありませんが(笑)  
 くやしいけど面白いです。ベストセラーになるのもわかります。クライマックスには驚きもありますし、そこに至るまでの伏線も、きちんと張られています。  
 読んでいる時には「こんなエピソードいらないんじゃないか」と思っていても、あとになってちゃんとつながってくるあたりは、なかなかみごとです。個人的には、もう少しエピソードを削ってもよかったんじゃないか、という気もしますが、これが世界的ベストセラーなのですから、間違っているのは明らかにわたしの方でしょう。  
 ハラハラドキドキもふんだんにありますし、ラストの軽い爽快感も、気持ちの良いものです。残されている謎も、今後に期待という形にしてあって、もうこれはお話し作りの見本のような作品かもしれません。  
 実際には多少不満もあるのですが、それを払拭してしまうだけの面白さのある作品ですから、細かい点には目をつぶりましょう。値段が高い、本がでかいということ以外は(笑)  
 この作品、作者が最初に書いたのは、第七巻の最終シーン、つまりシリーズ全体のラストシーンだそうです。その原稿は、現在金庫に厳重にしまいこまれているとか。これはつまり、わたしが提唱している「好きなところ、思いついたところから書きましょう」というやり方が正しいことが証明された、ということです。このやり方なら、世界的ベストセラー作家も夢じゃないぞ、と(笑)  


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