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[ エッセイのようなモノ ]
正しい「感想文のようなモノ」の書き方

2001.12.21

 さて、今回の「エッセイのようなモノ」は、こちらの「感想文のようなモノ」とタイアップしてお送りする。  
 なんでこんなことをしようと思ったのかというと、わたしがいつもどうやって「感想文のようなモノ」を書いているのか、みなさんに知っていただこうかな、と思ったからである。というのはもちろん建前で、例によってネタがないだけなんですが(笑)  
 もちろん「感想文のようなモノ」を書くときに、いつもこういうやり方をしているわけではない。いろいろなやり方の中には、こういうやり方もあるんだぞ、というひとつの例として読んでいただきたい。  
 もし小中学生ぐらいの人で、読書感想文を書くのは苦手だ、という人がいたら、こういう姑息な手段もあるから試してごらん、ということだ。学校の先生に知られたら、怒られちゃうかもしれないが。でも、決して間違ったやり方だとも思わないんですけどね。  
 やり方は簡単。  
 まず読む前に、その本の情報を少し仕入れる。仕入れる情報は、ほんの少しでOK。本の帯だとか背表紙、見返りのあたりに、あらすじなんぞが書いてあるから、それを読む。後ろの方に「あとがき」とか「解説」なんてものがついている場合もあるので、それにも目を通す。「あとがき」や「解説」の場合、ときには内容にまったく触れていないものもあるし、逆に結末まで書いてあるようなとんでもないものもあるので、その点は注意していただきたい。  
 その本の作者に関する情報も少しあると良いかもしれない。同じ作者のほかの本を読んだことがあればベストだが、読んだことがない場合は、とりあえずその人がなんというタイトルの小説を書いているとか、こういう賞を取ったことがあるとかいう情報があれば十分だろう。ほとんどの本は、どこかに作者の略歴だとか、他に出版されている本があればそのタイトルなんぞが書いてある。翻訳ものの本の場合は、翻訳者のことも書いてある。全然知らない作者の場合には、とりあえずそのあたりに目を通しておくと良い。感想文を書くのには、何の役に立たない場合もあるが。  
 作者に関する情報は「解説」やら「あとがき」やらで仕入れることができる場合もある。  
 このようにして仕入れた情報で、まずはその本のおおまかな内容を頭に思い描く。この本はきっとこういう内容なんだろう、と勝手に想像してみるわけだ。  
 そして、本を読みはじめる前に、こんな内容なんだろうと思った、ということを感想文として書いてしまう。あるいは、こんなことが書いてあったらいいなぁとか、解説にこういうことが書いてあったから、その部分が楽しみだとか、そういったことを書く。これで原稿用紙の一枚や二枚はかせげる。作者はこういう人らしい、というようなことも書けば、もう一枚ぐらいはごまかせる。  
 次に実際読むわけだが、そのときには当然、読む前に書いた感想文の内容と、照らし合わせながら読むわけだ。まあ、いちいち確認しながら読む必要はない。自分が書いた事前感想文だから、ある程度は覚えているだろうし、忘れていたって、本を読み終えたあとにもう一度確認すれば問題ない。  
 事前感想文と照らし合わせながら読むと、「当たった!」とか「はずれた!」とか「そう来たか」とか、いろいろと楽しむことができる。もちろん、読み進むうちに、読む前にはわからなかった情報がどんどん入って来るから、それにあわせて自分の予想も変わってくるだろう。そういうこともできるだけ覚えておけば、後で感想文を書くときの役に立つ。  
 で、読み終わったら、本来の感想文を書くことになる。そのときには、事前に想像していたことが、あっていたのか間違っていたのかはわかっているはずだから、それについて書く。あたっていてうれしい場合もあるだろうし、はずれた方がよかったと思う場合もあるだろう。自分の予想を上回る内容だったら、その本は面白かったことになる。自分の方が面白い内容を考えたなぁ、と思ったら、それをそのまま書いてしまえば良い。ただし、そういう場合でも、もしそれが学校に提出するような読書感想文だったら、あまり強く「面白くなかった」と書かない方が無難だろう。「こうだったらもっと面白かったのに」程度にしておいた方が、先生のウケは良い。  
 こうして、読み終わってから感じたことを感想文の後半に書けば、原稿用紙二、三枚は埋まる。合計で三枚から五枚ぐらいになる。  
 もちろん、事前感想文を最初から感想文の形で書く必要はない。とりあえずメモの形で自分の予想を書いておいて、全て読み終わってから、事前の予想と実際の内容とを照らし合わせながら、文章にしていっても構わない。  
 これであなたも、立派に「感想文のようなモノ」をでっち上げられる、かもしれない。  



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