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[ 映画の感想文のようなモノ ]
映画「アザーズ」
監督:アレハンドロ・アメナーバル 主演:ニコール・キッドマン

2002.05.08

 トム・クルーズがプロデュースして、その元奥さんニコール・キッドマンが主演しているという、芸能界ってのはなんなんだかなぁ、と思ってしまうような作品ですが(笑)  
 クルーズにしてもキッドマンにしても、別に未練があってこんな仕事をしているわけじゃないでしょう。おそらくは、この映画の企画の時点ではまだ離婚話しは(腹の中ではどうだか知りませんが)出ていなかったのでしょう。確かに作品のイメージからしても、キッドマンが主演というのはあっていますから、変更する気にはならなかったんじゃないでしょうか。まあ、噂ではクルーズはあんまり現場に出てこないプロデューサーだそうですから、現場でやりにくかった、なんてこともなかっただろうと思いますが。  
 それはそれとしてこの作品……  
 これからこの作品を観ようと思っている方は、間違ってもこの先を読んではいけません。また、これまでに映画を何本も観ている人、少しでも勘が働く人は、この作品を観る前にオチを予想してはいけません。あなたが予想したオチは、たぶん当たってますから(笑)  
 ということで、ここから先は既に観ている人か、この作品を観る気がない人だけを対象にお送りします。  
 あ、ついでにいうと、あの作品も既に観ている人が対象です。こっちは観たけどあっちは観ていない、という人は、早くあっちも観てください。って、あっちを観てない人には、こう書いちゃったら、オチがわかっちゃいますね。困ったなぁ。まあ、そういう人は運が悪かったと諦めてください(笑)  
 さて、この映画のオチは、あの作品のオチと一緒です。もちろん、同じオチの作品を作っちゃいけない、ということはありません。あの作品もそうでしたが、この作品もオチへ行くまでの展開は見事です。見事なんですが、いかんせんあの作品からまだ二年半しかたってないんです。まだ記憶に残っちゃってるんです。それがとっても残念。  
 わたしは、映画が始まったあたりから、  
 「まさかあれと同じオチじゃないよな」  
 と心配しながら観てたんですが。そう思いながら観ると、随所にそれを暗示させるシーンがあります。  
 家のまわりがいつも霧に囲まれていることとか、そのために森の中で迷ってしまうシーンとか。かもめの鳴き声も聞こえないとか、世間から取り残されてしまったようだ、なんてセリフも、知らずに観ていれば不安をかきたてる要素なんですが、そう思って観ていると、なるほどな、と思ってしまいます。知らないで観ていれば恐怖を感じるはずのシーンが、そう思いながら観ると怖くないんですね。面白いもんです。  
 で、結局同じオチだったわけです。それがホントに残念。ひょっとして、あの作品よりも先にこの映画を観ていれば、この映画の方が面白かったかもしれない、とも思ってしまうわけです。  
 が、オチがわかってみるとこの映画、突っ込み所が山ほどあるんですよ(笑)  
 幽霊でも針が指に刺さると痛いのか? とか、幽霊でも暗いところではよく見えないのか? とか、幽霊がメシ食うのか? とか。  
 まあ、わたしはあいにくまだ幽霊になったことがないもんで、本当のところはわかりませんが。  
 まだあります。明るいところがダメだったのはなんでなんだ、幽霊だからだとすると、子供はだめなのに大人は大丈夫なのか、とか。  
 他にも、娘はあの夜のことを覚えていたようだし、自分が観ているのが幽霊ではない、ということもわかっていたようだから、自分たちの方が幽霊だとわかっていたんじゃないのか、とか。  
 娘が老婆に見えたのは何でだ、という謎や、父親は結局どこに帰っていったんだ、というも残ってますし、あの墓はどうやら使用人たちの墓だったようですが、じゃああの家族の墓はないのか、というのも謎です。実はわたし、あの墓石に刻まれていた文字が、ちゃんと読めなかったんですよ。あれは結局誰の墓だったんでしょう。  
 で、そういう風に考えていくと、わたしとしてはこの映画よりもあっちの方ができがよかったように思えてしまうんですね。  
 ラストも、あっちの方が暖かかった。もちろん、暖かかったからむこうの方が良いということではありません。  
 この映画、実はラストが一番怖い。あの、窓の向こうにいる三人が、結局このままあの家に居座るわけですから。  
 最初にあのラストを観たときは、出ていった家族は、もっと現代に近い時代の人たちの方がいいんじゃないか、と思ったんですが、今考えると、あれはあれで正解なんですね。あの家は、これから幽霊屋敷として名を馳せていくわけですから。  


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