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[ 映画の感想文のようなモノ ]
映画「リーサル・ウェポン4」

1998.08.23

 五年ぶりだか六年ぶりだかの、シリーズ最新作です。このシリーズは、じつは一作目だけはビデオで見まして、そのあとはわたしの中では「ぜひ劇場で」にランクされているシリーズです。  
 普通、シリーズも四作目にもなれば、しかも数年ぶりの新作ともなれば、多少感じが変わってしまったり、テンションが落ちたりしそうなものなんですが、このシリーズは違います。そういえば、「エイリアン」も久しぶりに四作目を作ったんでしたっけ。  
 このシリーズと「エイリアン」シリーズには大きな違いがありまして、「エイリアン」シリーズの方は毎回監督が変わることで、映画の雰囲気を変えてシリーズを続けてきましたが、「リーサル・ウェポン」シリーズの方は、一作目から一貫してリチャード・ドナーが監督をやっているために、全体のトーンが常に一致しています。  
 たしかに、一作目に比べると少しずつコメディ色が強くなってはいますが、それもわたしの感覚では良い方向に向かっているような感じです。  
 じつはちゃんと覚えていないのですが、このシリーズで一作目から三作目の間って、映画の中ではたしか半年か一年ぐらいの間のはなしだったように記憶しています。たしか、一作目でマータフが「あと半年(だか一年だか)で引退だから」とかなんとか言っていて、三作目でついにその日を迎える、というシーンがありましたから。  
 ところが、この四作目が、それからどれぐらい後の話しなのかが、あまりよくわかりません。とはいっても、じつはちゃんと調べればわかるようにはなってるんですけどね。  
 マータフの子供たちがちゃんと成長していて(って、あたりまえか)、最初がどのぐらいの年齢設定で、今回どのぐらいなのかを確認すれば、ちゃんとわかるはずです。  
 で、このシリーズのおもしろいところは、一作毎にレギュラー(というか、その回はゲストキャラクターなのに、次回からレギュラーになる)が、ひとりずつ増えてまして。  
 二作目ではレオ・ゲッツが、三作目ではローナ・コールが登場し、その後仲間として活躍します。今回もリー・バターズという若手が登場して、なかなかいい味を出していますが、残念なことに、他のふたりのときほどインパクトはありません。というよりも、レオ・ゲッツにインパクトがありすぎたような気がしないでもないんですが・・・・  
 前の作品とのつながり、という意味では、他にも色々あります。一作目、二作目ではヘビースモーカーだったリッグスが、二作目のラストで禁煙を誓い、三作目では禁煙に苦しんでいたのが、四作目ではだいぶ安定しているとか、以前はトレーラー・ハウスに住んでいたリッグスが、今ではちゃんと家を建てて暮らしているんだけど、その横にきちんとトレーラー・ハウスがくっついているとか(ただ、あのトレーラー・ハウスって、二作目でボロボロにされた記憶があるんですが、三作目ってどうしてましたっけ?)、家の中には、一作目から飼ってる犬のほかに、三作目でついてきた犬も一緒にいたりとか、二作目あたりで出てきたカウンセラーが、はじめのころはしきりにリッグスにカウンセリングを受けることを勧めていますが、四作目ともなると、逆にリッグスから逃げるようになっていたりとか。そういった部分は、気がつかなくても充分おもしろいのですが、気がつくともっとおもしろく映画を見ることができます。  
 さて、じつはこのシリーズ、字幕で見ると少しつらい部分があります。吹き替えで見ても、無理がある部分が多少存在します。  
 主要人物たちが、結構同時にまくしたてる。それが字幕だと、全部はわからなくなります。しかもそれがギャグだったりすると、日本語に直したときに直訳するわけにいかなかったりして、こういうときにはやっぱり英語が理解できた方が、より映画を楽しめるんだろうなぁ、と自分の頭の悪さを実感してしまいます。  
 まあ、字幕でもかなり笑わせてくれますけどね。どういう部分がおもしろいかは、劇場で見てください。中には、「そんなばかな」ってなシーンもありますが、この映画にはそれを許せてしまうテンポの良さと、他の部分でのリアリティがあります。  
 余談ですが、二作目と三作目の吹き替え版をテレビかなんかで見たときに、どちらだったかでレオ・ゲッツの声を青野武がやっていて、これがまたすごい。本物以上にレオ・ゲッツしていて、大爆笑した記憶があります。  
 伏線の張り方も丁寧といえば丁寧、ベタベタといえばベタベタなんですが(笑)たとえば、ラスト近くの銃撃戦の最中に、車が一台海に落ちます。それを、やけにきっちり写してるんですが、そこだけ見ると変に浮いて見えます。ところが、そのあとでちゃんと意味が出てくるんですね、その車に。  
 ベタベタといえば、アクション物の映画でよくあるパターンで、車に乗った登場人物(通常、主役ではなく、小物の悪党だったり、主役の仲間だったりしますが)が、踏み切りの手前で停車していると、悪い奴の車が後ろに現れて、線路の中に押し込んでしまう、というシーンがあります。近づいてくる列車。焦ってブレーキを踏んだり、バックして抵抗しようとする被害者。この手のシーンは、かなりあります。この作品にもそういうシーンがありますが、わたしはこの手のシーンを見るたびに、「なんで必死になってそこにとどまろうとするんだろう。サイド・ブレーキはずして、さっさと向こう側にわたっちゃえばいいのに」と思っていたのですが、リッグスも(というか監督のドナーも、かな?)そう思っていたらしくて、ちゃんとそうやって逃げてくれます。  
 あと、エンドロールのバックの映像が、全部アルバムに張ってある写真になっているのですが、前半は映画の中の登場人物たちのままの写真なのですが、後半は撮影風景やスタッフたちのようで、なかなかいい感じがしました。本編とは全然関係ありませんけど。  
 この作品は、基本的にドタバタアクションですから、細かい点をどうこう言う気はありませんし、あまり気になる部分もありませんでした。でもまあ、いくつか。  
 まず、マータフの家が焼かれて、主要人物たちが危ない目にあっているときに、子供が助けてくれるシーンがあります。まあ、その子供は、もともとマータフの家にいた子供ですから、出てきてもおかしくないんですが、その前後の展開を見ると、「なんでおまえだけ残ってるんだ? いままでどこにいたんだ?」と思わず突っ込みを入れたくなります。まあ、良心的に考えれば、リチャード・ドナーがそのあたり手を抜くとは思えませんから、それを説明するシーンは上映時間の都合でカットされてしまったのかもしれません。  
 もうひとつ。マータフのワイロ疑惑のはらし方が、「そんな、唐突な」って感じで、少し無理矢理な感じがします。もしかしたら、三作目までに伏線が張ってあったのかもしれませんが・・・・  
 ということで、このシリーズは個人的には非常にお勧めのシリーズです。一作目から三作目まではビデオが出ているはずですから、一気に三本見てから劇場に足を運ぶと、面白さも倍増すること間違いなしです。  


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