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[ 小説の感想文のようなモノ ]
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小説「悪党パーカー/人狩り」
リチャード・スターク著(ハヤカワ文庫)
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映画「ペイバック」の感想文のようなモノを読む

1999.05.09

 1976年に出版されたリチャード・スタークの作品の再刊です。  
 実は、以前にドナルド・E・ウェストレイクにはまったことがありまして。そのときに、リチャード・スタークやタッカー・コウの作品も捜したのですが、その当時には手に入りませんでした。  
 それが今回再刊されたのですから、うれしい限りです。  
 知らない人には、ウェストレイクにはまったことが、なんでスタークやコウにつながるのか、わからないでしょうが、実はこの三人、同一人物なんですね。欧米では、こういうことがよくあります。スティーブン・キングリチャード・バックマンは、ここでも紹介したことがありますが、ディーン・クーンツもかつてはいくつも名前を使い分けていました。  
 秀逸なのは、エラリー・クイーンでしょうか。この人物、もともと従兄弟どうしのふたりの共同の筆名で、それすらも秘密にしていたんですが、あの有名な「Xの悲劇」「Yの悲劇」「Zの悲劇」と「ドルリー・レーン最後の事件」を発表するときには、バーナビー・ロスという別名を使いました。もちろん、世間には内緒です。で、なんとふたりがそれぞれレーンとロスになって、頭巾をかぶって直接激論を戦わせたりしたこともあったのだそうです。  
 この手の使い分けは、作品のジャンルを変える場合や、シリーズ物の主人公を新たに作る場合に行われるようです。  
 日本では、あまりやってる人はいないようです。有名なところでは、作家・栗本薫と評論家・中島梓が同一人物ですし、他にも何人かはいるようですが・・・・  
 それはそれとして、リチャード・スタークの「悪党パーカー/人狩り」です。  
 再刊された理由は、再刊された本書の表紙を見れば一目瞭然。メル・ギブソンの最新作「ペイバック」の原作なんですね。もっとも、本書の原題は「PAYBACK」ではありません。本のタイトルに近い「THE HUNTER」というタイトルです。「ペイバック」というのは、「返済する/返報する」といった意味で、これはこれで、この作品のタイトルとして正しいでしょう。  
 って、映画の感想文じゃなかったな、これは。  
 妻と仲間に裏切られて、仕事の儲けを取り上げられた上に、命まで取り上げられそうになった強盗のプロが、死のふちからよみがえって、という内容です。  
 読んでいて疑問に思ったのが、この主人公、なんでこんな女を奥さんにしたんだろう、ということ。読んでいるかぎり、あんまり魅力のある女性にはみえません。犯罪を犯すときの役に立つってことでもなさそうだし。まあ、この女を女房にした時点で、主人公の悲劇は始まっていた、といってもいいのかもしれません。  
 奥さんがあまり魅力的に見えないからか、出てくるほかの女性に、かなり魅力があります。まあ、魅力というよりも、色気といった方がいいのかもしれないけど。  
 主人公パーカーも、この作品だけを見る限り、魅力的といっていいかどうか、多少の疑問が残りますが、目的が目的だけに、残忍なところが前面に出てしまうのは、しかたのないことかもしれません。  
 この手のおはなしの場合、「犯罪は割に合わない」って教訓を伝えるために、仕事は成功するのに、別の問題がおきて、結局儲けはなくなってしまったりする場合もあるのですが、もちろん、大成功するパターンもあります。どちらがいいかは、その作品の雰囲気や展開によるでしょう。  
 この作品の結末がどうなるかは、読んでのお楽しみ、ということにしましょう。  


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