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[ エッセイのようなモノ ]
ァライッ!

2006.04.11

 わたしの記憶が正しければ、わたしが英語の勉強を始めたのは、中学一年からのはずである。もう少し正確にいうと、小学校を卒業したころに、父親だったか母親だったかに「中学に行くと英語の勉強があるんだから、予習をしておきなさい」と言われて、無理やりアルファベットを覚えさせられた記憶がある。おかげで、26個もあるアルファベットは全部暗記した。今でも全部書けるし、読める。これはかなり自慢してもいいと思うが、いかがなもんだろう。  
 それからおよそ30年が経過している。たぶん、そのぐらいは経過している。英語と同じぐらい、算数が苦手なので、あまり自信はない。もしかしたらもう少し経過しているかもしれないし、まだ二三年しか経過していないのかもしれない。わたしの感覚では、まだ一年も経過していないのではないか、という気がしなくもない。実際、そのぐらいの成果しかない。  
 まあ、仮に30年経過していたとしても、30年間毎日ひたすら英語の勉強をしていたわけではないので、それだけの成果が出ていなくてもしかたないのかもしれない。成果から換算すると、およそ一週間は英語をみっちりやった計算になる。繰り返すが、わたしは算数も苦手である。  
 それでも、ときどき思い出したように英語の勉強をすることがある。英会話スクールに通ったことはない。そんな金も時間もない。  
 基本的には独学、といえば聞こえは良いが、結局は得意の「フリ」をしているだけなのかもしれない。英語の勉強をしているフリ。  
 一時期は、家にいる間はずっとラジオでFEN(今はもう名前が変わったはず)を流し続けていた。とりあえず、英語に慣れるためにはそれが良い、と聞いたか読んだかしたからだ。どのくらいの期間、それをやっていたのかは覚えていないが、効果は絶大だった。おかげで今では、聞いただけで「これは英語だ」と理解できるまでになった。  
 語彙の少ない子供向けの英語の本を、辞書を使わずに読むと良い、と聞いたか読んだかしたときには、それを実践した。日本語の本を読むときだって、知らない単語は出てくるが、前後の文脈でなんとなく理解して読んでいるのだから、英語もそれと同じである、という論理である。このときに、何冊ぐらいの本を読んだかは覚えていないが、二冊や三冊ではなかった。少なくみつもっても十冊、多くても十一冊ぐらいか(笑) この効果も絶大だった。おかげで今では、見ただけで「これは英語だ」と理解できるまでになった。  
 最近、家では、ニンテンドーDSの「えいご漬け」というソフトで遊んでいる。このソフト、というかDSのせいかもしれないが、手書き入力の認識力がいい加減で、時々、間違った文字を入力しても勝手に正しい文字にしてくれることがある。いや、もちろん逆の場合もあるが。こっちは「L」と書いたのに「R」と判断してくれちゃったりして。しかも「R」の方が正しかったりして、おかげでサクサク進むのはありがたいが、ランクはちっとも上がらない。  
 そもそも、いまだに「L」と「R」の発音の区別はつかない。いや、理屈はわかってます、中学で習ったから。「L」は、舌を上の歯の裏側に当てるように突き出す。「R」は口の中で舌がどこにも当たらないようにして巻く。だから、やってみろ、と言われれば、できないことはない。  
 しかし、それを耳で聞いて区別できるか、というと、これがなかなか難しい。さっぱり区別がつかない。正直いって、「LIGHT」と「RIGHT」と「WRITE」の違いは、聞いてもさっぱりわからない。まあ、発音するのも怪しいが。  
 以前、英語ができる知り合いに聞いたのだが「LIGHT」は「ライト」、「RIGHT」は「ァライト」、「WRITE」は「ゥライト」と発音するつもりで言うと、それっぽく聞こえるとか。嘘かホントかは知らない。しかもその場合、「ト」はほとんど発音しないらしい。つまり「ライッ」に近いとか。そうなると今度は「LIE」だの「RYE」だのと区別がつかないような気がするのだが、どうもそういうものではないらしい。  
 まあ、実際にはこの知識、言う分には役に立つかもしれないが、結局聞くときにはほとんど役に立たない。  
 そもそも、それぞれの意味を把握していなければ、たとえ聞き分けられても、それこそ意味がない。  
 まあ、日本語だって「は」を「wa」と読んだり、「お」と「を」の違いがあったり、よその国に文句は言えないのだが。  
 なお、「L」と「R」の舌の動きを、交互に高速でやる練習をしておくと、ベッドの上で役立つかもしれない。子供はわからなくてよろしい。  



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