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[ 小説のようなモノの書き方 ]
内容を小説っぽくする
予告は大切に

1998.03.03

 お話しの作り方のその他の手として、映画や小説の予告や宣伝文句を利用する、というのがあります。誰か小説家の人もやっている手らしいのですが、その人いわく「これは、量産しなければならないプロが、最後の手段として使うもので、これといった締め切りのない素人はやるべきではない」ということなのですが、それはちゃんとした小説を書いて小説家を目指そうという人に向けた言葉で、とりたててプロになろうという考えもなく、なんとなく「小説のようなモノ」を書こうという場合には無視してもいいでしょう。  
 さてやり方です。  
 たとえば、小説の帯や裏表紙なんぞに、その作品のあらすじが書いてあります、もちろんこれはその作品のとっかかりだけで、最後まで書いていないどころか、真ん中まですら書いていないことが多いのはご存知の通りです。ってことで、そのあらすじをもとにして、自分なりに「きっとこんな話しだろ」と想像するわけです。最初のエピソードだけ使用して、他のお話しを作ってしまうような感じになりますから、「ネタの集め方」で紹介した「エンディングを自分の気に入ったものに変えてしまう」というやり方や「お話しのようなモノの作り方」で紹介した「他人の作品の一部を使って前後を作る」という方法に、少し近いかもしれません。ただ、あらすじを利用する方法というのは、お話しの全体の内容を、(なかば意識的とはいえ)そうとは知らずに借用するのだ、ということでしょうか。  
 登場人物の名前なんぞは、わかる場合もありますし、わからない場合もあります。わからない場合には、自分で勝手に登場人物の名前をつけてしまうのはいうまでもありません。  
 場合によっては、できあがったお話しが、もとネタとして使用したあらすじのお話しとまったく一緒になってしまう可能性もありますが、可能性としてはほとんどゼロに近いでしょう。もしまったく同じになってしまった場合は、もとネタを書いている作家のレベルが素人の自分と同じなんだ、と嘲笑うか(笑)、自分のレベルがプロと同じぐらい高いんだ、と満足するか。どちらにしても、もとネタにした作品の内容はちゃんと確認しておきましょう。まあ、普通は敵はプロですから、こっちが考えた内容の方が面白くないことの方が多いんですけどね。  
 そしてもし、もとネタとほとんどもしくはまったく同じ内容になってしまった場合、残念ながらその作品を小説にしたとしても、それを発表するわけにはいきません。「お話しのようなモノの作り方」でも説明した通り、「盗作」「二番煎じ」のそしりを受けることは間違いありませんから。  
 もちろん、もとネタとして使用するあらすじは、自分が好きなジャンルや興味のあるジャンルを選んでください。その方が話しは作りやすくなりますから。そうは言っても、すきなジャンルがアクションものだったりする場合、あらすじはほとんど役にたたなくなります。そういう場合は二番目や三番目に興味のあるジャンルに行くしかないかもしれません。ただ、全然関係のないジャンルの作品でも、あらすじだけ取り出せば、他のジャンルに流用することは可能でしょう。  
 小説や映画ではありませんが、麻雀漫画といジャンルがあります。あれの不思議なところは、ほとんどすべての問題の解決に、麻雀を使うということです。たとえば、老舗の跡継ぎ問題とか、多額の借金の解決とか、夫婦の仲がうまくいっていないのまで、麻雀で解決してしまいます。で、麻雀漫画の場合、キーになるのは麻雀の展開であって、麻雀勝負をはじめる理由になった問題は、ほとんど付け足しのような感じになります。そこで、問題の解決方法として、麻雀の代わりにカンフーなんぞを持ってくると、昔のジャッキー・チェンの映画になります。料理で解決すれば、「クッキングパパ」かなんかになるでしょう。セックスで解決する話しにすれば、ポルノ映画になります(笑) だから、そこにべつの何かを持ってくるだけでも、違うジャンルの話しってのはできちゃうものなんです。ただ、この場合、発表できるかどうかはギリギリの線かもしれませんが、あらすじがにかよった作品なんて、世の中にゴロゴロしてますよねぇ。ですから、発表しようという場合には、半分は賭けのつもりで発表した方がいいかもしれません。  


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